「魂の退社」 稲垣恵えみ子
以前、ときたまテレビでも見ていた朝日新聞論説委員の著者が50歳を期に退社するに至った顛末。勉強していい学校へ入り、大企業に就職して仕事に頑張る。その仕事の中で、この生き方、なんか違うと思う小さな違和感が次第に大きくなり、高松総局へ転勤になったころから一度、この人生を下りたいと思うようになる。きっかけは高松での暮らし。香川県の人はうどん食べて無駄遣いせず、世帯当たり貯蓄高は2008年の統計で全国一。都会のように遊ぶところもないので山歩きするうち、歩き遍路の老人と出会う。讃岐は88所の最後の国、札所の寺院は涅槃の道場と呼ばれている。苦労して歩いて来て最後に澄み切った笑顔になる。物を持つのが幸せではなく、捨てていくのが幸せでいないかと、啓示を受ける。それから何年もかけて決心を固め、50歳を期に退職する。潔ぎいいなあと...「魂の退社」稲垣恵えみ子
2021/02/28 17:34