手を伸ばせば⋯⋯ 12
初めは違う女かと思った。見間違いじゃないかと。車が渋滞に嵌り動かなくなったところで、何とはなしに窓の外を見ていると、一人の女が視界に入り、その後ろ姿に既視感を覚えた。どこかで見たことがあるような⋯⋯。ショップのウィンドウを覗いている小さな背中。その背中が向きを変え、横顔が見えた時、既視感なんかじゃない。実際に知っている女に似ているんだ。と、即座にある人物が頭に浮かんだ。────牧野。だが、目に映る女は、...
2021/05/29 00:00
2021年5月 (1件〜100件)
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