自分の中のさまざまなものが失われていくこと。それは死と同意義である。/村上春樹著『ノルウェイの森』(上巻)
村上春樹著『ノルウェイの森』(上巻)(講談社文庫) ざっくりとした内容 *ハンブルク空港に着陸しようとしている飛行機のスピーカーからBGM「ノルウェイの森」が流れるところから話は始まる。この曲は現在37歳の「僕」に自分が失ってきた多くのものを呼び起こさせる曲なのだ。いつの間にか薄れてしまう死者の記憶は僕の心の奥底を揺り動かす。「起きろ、起きて理解しろ、どうして俺がまだここにいるのかというその理由を」。だから僕はそれを理解するために文章を書くのだ。 *1966年春。「僕」が直子に会ったのは高校二年生の春だった。直子はキズキの恋人であり、キズキは「僕」の親友であり、三人はいつも一緒にいた。しかし5…
2019/02/23 13:04