生まれ出ずる悩み
明子は腹のなかの子供が一体誰の子か疑った。明子はすでに結婚していた。結婚はお見合いのようなものだった。相手は兄の知人だった。明子には前から交際していた恋人がいたが、兄の強い勧めで、兄の知人と結婚することにした。その恋人との交際もそれで途切れることになった。結婚した相手は、出張の多い会社に勤めていた。新婚早々から家を空けることが多かった。子供のまだいない明子は終日、所在無く家にいることに退屈した。ぼんやりしてうちに以前付き合っていた恋人のことが気になりだした。「あの人は今どうしているのだろうか」と。気になりだすと、じっとしていられなくなり、ある日、思い切って彼に手紙を書いた。すると彼から手紙が返ってきた。手紙には、懐かしいな、幸せにしてる?と書かれてあった。さらに、一度会いたいな、とも添えられてあった。幾度...生まれ出ずる悩み
2025/01/31 10:38