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  • ベルクソン『時間と自由』(中村文郎・訳 岩波書店)

    キーボードの前にチンパンジーでも座らせて「無限の時間」むちゃくちゃに叩かせると、そのうち必ず『ハムレット』と全くおなじ文章列が出来上がるだろう、という話がありますね。ピアノの前でむちゃくちゃ弾かせていればいずれショパンのノクターンが演奏される、みたいなバリエーションもたまにはあってもいいとは思うのだけれど、ともかく、こういうちょっと遠大な小話は、前提がやや機械論的過ぎて粗削りなのだけれど、思考実験としてはなかなかよく出来ている。 どうしていきなりチンパンジーの『ハムレット』なのだろう。ベルクソンとはほとんど関係ないのに。きっとどことなく無限感覚に浸りたい気分だったのだ。こういう切り出したかでな…

  • 団鬼六『美少年』(新潮社)

    美少年とは何か。これは極めて難しいけれど大変麗しい問題だ。一度は落とし処をさぐっておきたいテーマでもある。 ただ、美少年を思想のように語るのは間違っている。鼻や顎にノギスを当てたり人体は本来何等身が美しいのだなどと美学談義を始めるのも間違っている。ミケランジェロとかレオナルドダヴィンチの作品をやたら援用して論じたてるのも間違っている。昔の美輪明宏や羽生結弦がどの程度美少年であるかなどと評定まがいの俗談を始めるのも間違っている。間違っているというよりも、ひどく野暮におもえるのだ。そしてその野暮なことをこれからやろうとしている。 確かに「美少年」という存在者はむかしから人間の理想美を観念的肉体的に…

  • 小松和彦『日本の呪い(「闇の心性」が生み出す文化とは)』(光文社)

    日本史の古層を掘り下げてみれば、さまざまな「呪い」の痕跡がある。桓武天皇の遷都、犬神憑き、崇徳天皇や菅原道真の怨霊、丑の刻参り、「呪詛」の染み込んだ項目は存外少なくないようだ。怨霊とか呪詛などというと、いわゆる「トンデモ本」の守備範囲みたいに思われかねないけれども、現代に固定されたカメラをずっと引いて人類史全体を見回してみると、呪いの感情が生々しく実感されていた期間の方が圧倒的に長いのではないかと思う。 いまだって、「呪い」の感覚は形をかえて根強く残っている。 婚礼で「お開き」とか言ったり受験生の前で極力「落ちる」などと言わない忌み言葉の慣習、4と9の付く部屋番号を作らない社会合意の例などはむ…

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