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  • アサヒサウナ(青森県弘前市)

    私は、この弘前の城下に三年いたのである。弘前高等学校の文科に三年いたのである。その頃、私は大いに義太夫に凝っていた。甚だ異様なものであった。学校からの帰りには、義太夫の女師匠の家に立寄って、さいしょは朝顔日記であったろうか、何が何やら、いまはことごとく忘れてしまったけれども、野崎村、壺坂、それから紙治など一とおり当初は覚えこんでいたのである。どうしてそんな、がらにもない奇怪な事をはじめたのか、私はその責任の全部を、弘前市に負わせようとは思わないが、しかし、その責任の一斑は弘前市に引受けていただきたいと思っている。 (太宰治『津軽』より) バスタ新宿を22時20分発、弘前駅に着いたのは翌朝8時2…

  • ヘソリンガスのオーバーフロー

    俺はよく「生まれてこなければよかった」と口にするけれど、こんな適当な言葉にあっさりと呪われて、「お前は自己肯定感が低すぎる」なんて言ってくる人がたまに現れる。 だけど大体のケースで、こっちはこっちであんたのことを「生まれてきたのが失敗だった人」だと見なしているから、そこで精神のバランスはとれている。 特にネットで語られる自己肯定感の高さというのは、おそらく自己啓発セミナーの類やねずみ講の勧誘と結びついているので、ヤク中というかヘソリンガスのオーバーフローというか、無敵の精神状態を指すことが多い。 痛みを感じることは大事だよ。 俺が面倒くさくても肩のリハビリに通っているのは、痛み止めを常用する体…

  • 紅林弘太郎のサヨナラ打と懐古趣味

    オリックス紅林弘太郎がプロ初のサヨナラ打。紅林は20歳2カ月。オリックスの選手で20歳以下のサヨナラ打は、61年6月11日東映戦(ダブルヘッダー第1試合)で20歳7カ月の岡村浩司が9回2死からサヨナラ安打を打って以来、球団61年ぶりとなった。 (日刊スポーツ) 岡村 浩二(おかむら こうじ、1940年11月10年-)は、香川県丸亀市出身の元プロ野球選手(捕手)。 1972年の登録名は岡村 幸治、1974年の登録名は岡村 浩司(ともに読み同じ)。 (wikipedia「岡村浩二」の項より) 去年の日本シリーズでは、紅林がヒットを打つたびに「清原和博(西)以来」「坂本勇人(巨)以来」の文字が記録欄…

  • 毎日サウナ(群馬県前橋市)

    ・薪ストーブの穏やかなサウナ ・セルフロウリュあり、小声やジェスチャーで「お願いします」「もうちょっと」 ・サウナ室内に照明なし、扉から射しこんでくる浴室の光 ・でかい檜の水風呂が18℃、桶型の一人用水風呂が9℃ ・どちらの水風呂にも天井から水が流れ落ちている ・休憩用の椅子はたくさん ・ほうじ茶、デトックスウォーター、麦茶の3種類がフリードリンク ・平日昼でもアウフグースあり 特に桶型の水風呂は痛覚まで刺激してくれて、出た後は全身に清涼感が残った。 この水風呂があれば、灼熱の群馬の夏も乗り越えられるだろう。 サウナは下段の入口近くで、ストーブ内で薪が燃える様子を見ていると、一番気持ちが落ち着…

  • 素朴な疑問かどうかは俺に決めさせろ

    「興味はないけど」と前置きしてからブツクサ言ってくる奴は、興味はあるけど実力がない奴。 「素朴な疑問なんですが」と話しかけられると、素朴かどうかを決めるのは、本来投げかけられたこちら側なのではないかと思う。 しかしまあ、東京方言ではそんな表現が正統なのかもしれない。 郷に入れば郷に従えだ。 田舎にはその田舎の言葉があるのだ。 今日はずっとイライラしていて、そのイライラを押し殺しているだけで終わってしまった。 そしてなにも残らなかった。

  • 皐月賞でアスクビクターモアが勝ったら俺は遠くに行くんだ

    あけぼの湯の、音量をどこまで上げてもなにを言っているのか聴き取れないテレビと一緒にサウナに入った後、やっぱり銭湯のサウナはこれだよなと思った。 サウナ代200円を含めての690円。 日常性や習慣性、そういうのを持って入る価格の、本来は限界値のように思える。 これだって実際は、家に風呂があるのに贅沢してるとは感じているもの。 光熱費の上昇に、東京の銭湯ではサウナ代の値上げが、何軒からもSNSからアナウンスされている。 すべてが見事にインフレしてくれればいいが(いいのか?とも思っているが)、少なくとも給料は上がらない。 それが収支の均衡点から出された金額であっても、日常性を失った価格設定をせざるを…

  • 立川市の西国立駅

    はじめて来た銭湯を楽しんだあとの出口、今から10年先の俺を頭から踏んづけて10センチ縮めたくらいのおっちゃんから話しかけられる。 「ここは入れ墨いいのかね」 「いや、すいません、ちょっとわかんないんですけど」 「訊いてきてくれないかな」 おっちゃんはどうも現役ではなさそうだが、やんちゃをしていた時期があったのだろう。 それにしても、もう靴を履いてしまった俺をお遣いにして、中に戻って訊いてきてくれとは図々しいではないか。 「そこの受付で訊けば教えてもらえますよ」 と、さっきまで居た店内を指をさして俺は外に出た。 しばらくすると帰り道の背中からおっちゃんが「OKだってさ!ありがとう!」と大声で結果…

  • 佐々木朗希に完全試合を達成された話

    オリックスは10日、太田椋内野手(21)と佐野皓大外野手(25)が9日に実施した新型コロナウイルスのPCR検査で陽性判定を受けたと発表した。 (デイリースポーツ) 例によって曜日に影響されない生活をしていて、したがって晴れがましく桜花賞が行われる今日も労働していて、昼に自由意思でとった休憩時間に佐野皓大と太田椋がコロナに罹ったことを知った。 これで試合はやれるのかと思ったけれど、味噌ラーメンと半チャーハンのセットを食べ終わっても試合中止の報は出てこなかった。 ただでさえ相手は佐々木朗希なのだ。 しんどい思いで職場に戻った。 ロッテ佐々木朗希投手(20)がプロ野球28年ぶりの完全試合を達成した。…

  • 「人生最後の日もサウナへ」

    年寄りだから昔の話をする。 あれは2040年2月19日(日)のことだった。 俺は東京競馬場にいた。 2010年ごろの俺は、「人生最後の日は中山競馬場で」などと言っていた気がするが、当時からすでに脳は緩んでいたので定かではない。 おそらくは最終レース、最後方から逆転の追い込みが届くダート1200に人生の一発逆転ファイナルレースを見出して、そんなことを言っていたのだろう。 しかし一生とは高速馬場の東京芝2400であり、前の位置をとった馬たちがそのまま逃げ切るだけの60年間だった。 最後の日まで競馬ができるのは、病院で管につながれた終焉よりは幸せなのかもしれない。 ここまでくればもはや糖尿を気に病む…

  • 天才のいないテントサウナ

    遠くへ行きたい。 どこでもいいから遠くへ行きたい。 遠くへ行けるのは、天才だけだ。 (寺山修司『若き日の啄木』より) そこそこ山奥までは来たけれど、朝出発して、朝到着して、朝のうちにテントサウナを開始できるくらいの距離。 汗を流す合間に休憩しながら、お互いに「うちの子の勉強が…」「男の子と女の子の双子とは…」「どうしてサウナピアに行けるんだ…」なんて話をしたりされたり、焼きそばやあんこが入ったホットサンドを食べたり喜んだり、そんな我々はとことん庶民であって、この日の参加者に天才はいなかった。 でもいいじゃないか、天才なんかいなくたって。 そもそも天才なんて存在するの? いたところで、天才が天才…

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