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ポケットの中で映画を温めて https://blog.goo.ne.jp/yasutu_1949

今までに観た映画などを振り返ったり、最近の映画の感想や、本その他も綴っていきます。

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2015/07/04

1件〜100件

  • ジャン=リュック・ゴダール監督の逝去の報に接し

    ジャン=リュック・ゴダール監督が9月13日死去したと報道された。91歳だった。十代の頃、それこそ夢中になった監督である。フランソワ・トリュフォーと共にヌーベルバーグを代表するゴダールを知って、初めて観た作品は何だったかと記憶を遡る。『気狂いピエロ』(1965年)を封切りで観た時には、もうゴダールの作品を2番館、3番館で観ていたので何が最初なのかはよくわからない。それらの作品は、『女は女である』(1961年)、『女と男のいる舗道』(1962年)、『軽蔑』(1963年)、1963年公開の『小さな兵隊』。そして、『恋人のいる時間』(1964年)、『アルファヴィル』(1965年)。もっとも『勝手にしやがれ』(1960年)は案外、後の方で観たと記憶している。大半の内容をもう忘れてしまっているけれど、中でも『女と男の...ジャン=リュック・ゴダール監督の逝去の報に接し

  • アキ・カウリスマキ・5~『パラダイスの夕暮れ』

    『パラダイスの夕暮れ』(アキ・カウリスマキ監督、1986年)を観た。ゴミ収集人で独身のニカンデルは、毎日同じ仕事の繰り返しでも真面目に働いている。ある日年上の同僚から、独立してこの仕事を起ち上げようと誘われる。その日、うっかり腕に怪我をしたままスーパーに行ったニカンデルは、それを見たレジ係のイロナに手当てをしてもらう。独立に気乗りしたニカンデルは、英語リスニング教室まで通い出したが、勤務中同僚は、突然に心臓発作で亡くなってしまう。ショックを受けたニカンデルは、飲食店で大量に酒を飲んで暴れ、その挙げ句、留置場の厄介になる。留置場を出たニカンデルは、職場に掛け合って、同室だった失業中の男メラルティンを採用してもらい、二人はコンビとしてゴミ収集をし出す。スーパーのゴミ収集時、裏口にいたイロナを見たニカンデルは、...アキ・カウリスマキ・5~『パラダイスの夕暮れ』

  • 『回転』を観て

    『回転』(ジャック・クレイトン監督、1961年)を観た。ミス・ギデンスは、ロンドンの裕福な男性から甥と姪のための家庭教師として採用される。郊外の古い屋敷に到着したギデンスを、幼いフローラと世話人のグロース夫人が迎えた。少し経って、寄宿学校を退学させられた兄のマイルスが屋敷に戻ってくる。兄妹はギデンスになつき平穏な日々が続いていたが、ある日、庭から屋敷の塔を見上げたギデンスは、いるはずのない男が彼女を見下ろしているのに気づき、そこに行くとマイルスだけがいた。数日後、夕方に突然フローラがいなくなり、ギデンスが池の端まで探しに行くと、池の草むらの向こうに黒衣の女が立っていた。やがてギデンスは、屋敷で何かと不気味な人影を目撃するようになり、また、兄妹の行動にも割り切れぬものがあると気づかされる。そのためギデンスは...『回転』を観て

  • 『映画はアリスから始まった』を観て

    『映画はアリスから始まった』(パメラ・B・グリーン監督、2018年)を観てきた。ハリウッドの映画製作システムの原型を作った世界初の女性映画監督アリス・ギイの生涯に迫るドキュメンタリー。世界初の劇映画「キャベツ畑の妖精」など監督・脚本家・プロデューサーとして1000以上もの作品を手がけ、クローズアップ、特殊効果、カラー映画、音の同期といった現在の標準的な映画製作技法を数多く生み出したアリス・ギイ。リュミエール兄弟やジョルジュ・メリエスと並ぶ映画黎明期のパイオニアでありながら、これまで映画史から忘れ去られてきた。ベン・キングズレー、ジュリー・デルピー、アニエス・バルダ、マーティン・スコセッシといった映画人や、生前のアリス自身へのインタビューや、彼女の親族へのインタビュー、未編集映像などを通し、その功績と人生を...『映画はアリスから始まった』を観て

  • 『天国にちがいない』を観て

    『天国にちがいない』(エリア・スレイマン監督、2019年)を観た。スレイマン監督は新作映画の企画を売り込むため、故郷であるイスラエルのナザレからパリ、ニューヨークへと旅に出る。パリではおしゃれな人々やルーブル美術館、ビクトール広場、ノートルダム聖堂などの美しい街並みに見ほれ、ニューヨークでは映画学校やアラブ・フォーラムに登壇者として招かれる。友人である俳優ガエル・ガルシア・ベルナルの紹介で映画会社のプロデューサーと知り合うが、新作映画の企画は断られてしまう。行く先々で故郷とは全く違う世界を目の当たりにするスレイマン監督・・・(映画.comより)まず登場人物の主役は、スレイマン監督本人であるということ。その本人である人物が、ナザレの自宅、パリ、ニューヨークの町並みの中で、景色を見、そこの人々を見、多少の関わ...『天国にちがいない』を観て

  • アキ・カウリスマキ・4~『真夜中の虹』

    『真夜中の虹』(アキ・カウリスマキ監督、1988年)を観た。フィンランドの北の地の鉱山で働いてきたカスリネンと父だったが、閉山となり仕事がなくなってしまった。父はカスリネンにキャデラックを譲り自殺してしまう。カスリネンは有り金を全部下ろし、仕事を求めて南の地に向かってキャデラックを走らせる。途中、ハンバーガーを買うための財布を見た地元の二人組がカスリネンを殴り、その有り金すべてを奪って逃げてしまう。仕方なくカスリネンは日雇い仕事を始め、その日の食べ物と教会宿泊所に寝る場所を求める。そんなある日、駐車違反を取り締まり中の女性イルメリと出会う。二人は食事に行き、その日はイルメリの家に泊まる。イルメリは夫と離婚して息子リキと暮らしていて、家のローン返済のためにいくつもの仕事を掛け持ちしていた。カスリネンは仕事を...アキ・カウリスマキ・4~『真夜中の虹』

  • 『恋人たちの場所』を観て

    『恋人たちの場所』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督、1968年)を観た。アメリカから、ある豪華な別荘に洒落た身なりの女性ジュリアがやって来る。そして彼女は、空港で会ったイタリア人のバレリオのことを思い返す。バレリオは主婦であるジュリアに一目で夢中になり、住所と電話番号のメモを渡していた。別荘の部屋でテレビを付けたジュリアは、オートレース・エンジニアの彼が出ているのを見て、教えて貰った番号に電話する。ジュリアは、別荘にやって来たバレリオを相手に、理由も告げずに2日間だけの恋愛を許す。そして二人は親密になり、いつしか逢瀬を重ねて行き・・・男性がマルチェロ・マストロヤンニで、女性がフェイ・ダナウェイ。この二人がのっぴきならぬ思いで愛を交わす。ただ観客からすると、状況説明が不足していてどうもその愛がシックリ来ない。...『恋人たちの場所』を観て

  • アキ・カウリスマキ・3~『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』

    『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』(アキ・カウリスマキ監督、1987年)を観た。大企業の社長の座を自分のものにするため弟クラウスは、社長の飲み物に毒薬を垂らす。社長は亡くなり、その妻と愛人関係のクラウスは重役のポロニウスと結託する。ポロニウスは、会社株の51%を所有することになった社長の息子ハムレットを骨抜きにしようと娘オフェリアを近づかせる。案の定、ハムレットはオフェリアに夢中になり、だがオフェリアは“結婚するまでは”と身体を触らせない。ハムレットの母と再婚したクラウスは社長となり、この会社を利用して多額の保険金を搾取しようと企む。一方、ノホホンとした感じのハムレットは、会社のことはよくわからない振りをして、実はこの計画を盗聴していた。そんなある夜、ハムレットの前に父の亡霊が現われ、毒殺されたから自分の仇...アキ・カウリスマキ・3~『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』

  • 『君を想い、バスに乗る』を観て

    『君を想い、バスに乗る』(ギリーズ・マッキノン監督、2021年)を観て来た。最愛の妻を亡くしたばかりのトム・ハーパーはローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の壮大な旅に出ることを決意する。行く先々で様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、妻と交わしたある“約束”を胸に時間・年齢・運命に抗い旅を続けるトム・・・(オフィシャルサイトより)オフィシャルサイトほか映画紹介サイトでは、なぜトムが決心しこのような旅をするのか、その目的を先に知らしてしまっている。作品では、その最終目的をラスト近くまで明かしていないのに無神経なことをするなぁと思い、その部分はカット。妻を亡くした90歳のトム・ハーパーは50年暮らしたスコットランド最北端の村ジョン・オ・グローツから、イギリス最南端の岬ランズ・エンドを目指し...『君を想い、バスに乗る』を観て

  • 『ベイビー・ブローカー』を観て

    今日封切られた是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』(2022年)を観て来た。古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨンが〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追ってい...『ベイビー・ブローカー』を観て

  • アキ・カウリスマキ・2~『白い花びら』

    『白い花びら』(アキ・カウリスマキ監督、1998年)を観た。フィンランドの小さな村でキャベツを作る幸せな夫婦、ユハとマルヤ。ある日、村にシェメイッカと名乗る男が車で通りかかる。車が故障したという男は畑にいたユハに助けを求め、ユハは快く車の修理を引き受ける。しかしシェメイッカは隙を見てはマルヤを誘惑、マルヤも彼を強く意識するようになる。再びシェメイッカが2人を訪れ、マルヤはシェメイッカと駆け落ちするが、2人が結ばれたあとシェメイッカの態度は豹変し・・・(映画.comより)ユハとマルヤの夫婦は、田舎に住んでいてもキャベツを作り売っては、手を取り合って子供のように幸せに暮らしている。そんな中、偶然にも通りすがりの男、シェメイッカのオープンカーが故障してしまう。親切なユハは車の修理を請け負って、その日はシェメイッ...アキ・カウリスマキ・2~『白い花びら』

  • アキ・カウリスマキ・1~『コントラクト・キラー』

    『コントラクト・キラー』(アキ・カウリスマキ監督、1990年)を観た。ロンドンで暮らす孤独なフランス人アンリは、長年務めた職場をあっさり解雇されてしまう。絶望して自殺を図るもことごとく失敗した彼は、ギャングのアジトを訪れて自分自身の殺害を依頼する。死を待つアンリだったが、パブで花売りのマーガレットに出会って恋に落ち、生きる希望を取り戻す。しかし、殺し屋はすでに差し向けられていて・・・(Wikipediaより)人付き合いもしない内向的な孤独な男、アンリ。これをジャン=ピエール・レオが演じる。ジャン=ピエール・レオと言えば、フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』(1959年)から始まって、ジャン=リュック・ゴダール監督の作品などで馴染みの俳優。その彼が無口ながら味わい深い演技をする。もっともア...アキ・カウリスマキ・1~『コントラクト・キラー』

  • ロベール・ブレッソン・9~『湖のランスロ』

    『湖のランスロ』(ロベール・ブレッソン監督、1974年)を観た。時は中世。城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロだったが、グニエーヴルにその気はない。仲間のゴーヴァンはランスロを心配するものの、権力を手に入れようと企むモルドレッドは罪深きランスロを貶め、自分の仲間を増やそうと暗躍する。団結していたはずの騎士の間に亀裂が入り始め、思わぬ事態が引き起こされるのだった・・・(テアトルシネマグループより)アーサー(アルテュス)王伝説に由来する円卓の騎士ランスロと王妃グニエーヴルの不義の恋。この恋に終止符と打つと神に誓ったランスロだったが、グニエーヴルの方は絶対諦めない。そ...ロベール・ブレッソン・9~『湖のランスロ』

  • ロベール・ブレッソン・8~『たぶん悪魔が』

    『たぶん悪魔が』(ロベール・ブレッソン監督、1977年)を観てきた。裕福な家柄に生まれた美貌の青年シャルルは、自殺願望にとり憑かれている。政治集会や教会の討論会に参加しても、違和感を抱くだけで何も変わらない。環境破壊を危惧する生態学者の友人ミシェルや、シャルルに寄り添う2人の女性アルベルトとエドヴィージュと一緒に過ごしても、死への誘惑を断ち切ることはできない。やがて冤罪で警察に連行されたシャルルは、さらなる虚無にさいなまれていく・・・(映画.comより)DVDには成っているが、ブレッソンのこの作品と『湖のランスロ』が日本初公開ということでミニ・シアターに行ってきた。作品の舞台はパリ。銃弾を2発受けて死んだ青年の6ヶ月前に遡り、その後の日常や行動を追っていく。で、その感想はと言うと、97分の作品がとても長く感じら...ロベール・ブレッソン・8~『たぶん悪魔が』

  • 『エール!』を観て

    『エール!』(エリック・ラルティゴ監督、2014年)を観た。フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家。16歳の高校生ポーラの家族は、両親のルドルフとジジ、そして弟が聾唖者である。家畜を育ててチーズの販売で生計を立てる家族にとっては、ポーラは健常者との通訳、仲立ちとして必要だった。ポーラは、気に入る男生徒ガブリエルがコーラス部を希望したため、自分もオーディションを受け入部する。ポーラの歌声に才能を感じる音楽教師トマソンは、ある日、パリにある音楽学校のオーディションを彼女に勧める。ポーラは家族のことも考え内緒で、3ヶ月後のオーディションに向け歌の練習をトマソンの自宅で始めた。その頃、近く行われる村長選に父ルドルフが立候補すると言いだして家族は大忙しとなる。そんな中、ポーラは両親に歌のことを打ち明ける。ポーラの歌声を聴く...『エール!』を観て

  • 『希望のかなた』を観て

    『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ監督、2017年)を観た。フィンランドの首都ヘルシンキ。トルコからやってきた貨物船に身を隠していたカーリドは、この街に降り立ち難民申請をする。彼はシリアの故郷アレッポで家族を失い、たったひとり生き残った妹ミリアムと生き別れになっていた。彼女を探し出してフィンランドに呼び、慎ましいながら幸福な暮らしを送らせることがカーリドの願いだった。一方、この街に住むヴィクストロムは酒浸りの妻に嫌気がさして家出し、全てを売り払った金をギャンブルにつぎ込んで運良く大金を手にした。彼はその金で一軒のレストランを買い、新しい人生の糧としようとする。そのレストランの三人の従業員たちは無愛想でやる気のない連中だったが、ヴィクストロムにはそれなりにいい職場を築けるように思えた。その頃カーリドは、申請空し...『希望のかなた』を観て

  • 『恋愛専科』を観て

    『恋愛専科』(デルマー・デイヴィス監督、1962年)を観た。名門女子大で「恋愛専科」という本を生徒に貸したが問題となり、自ら職を辞して、愛を知るためにローマにやってきた女教師のプルーデンス。船で知り合った金持ちの紳士ロベルトに紹介された下宿先で建築を学んでいるアメリカ人留学生ドンと出会い、恋に落ちる。プルーデンスはドンと一緒に夏のバカンスを楽しむが、二人の前にドンのかつての恋人で画家のリーダが現れ、プルーデンスにかつての関係を見せつける。ドンの心に未練があることを知ったプルーデンスはローマを離れ、帰国することを決意する・・・(ハピネットの内容説明より)ローマの名所旧跡から始まってイタリア北部マジョーレ湖を巡る、まさしくトロイ・ドナヒューとスザンヌ・プレシェットによる観光映画。と言っても単なる観光ものという感じで...『恋愛専科』を観て

  • 『尼僧ヨアンナ』を再度観て

    『尼僧ヨアンナ』(イエジー・カヴァレロヴィチ監督、1961年)を観た。17世紀中頃のポーランド辺境の寒村。スーリン神父は悪魔祓いのために、宿屋の下男の案内で尼僧院に行く。これまでに4人の神父が悪魔払いに来たが全員失敗している。そのため、スーリン神父が5人目として派遣されてきた。スーリン神父に会った尼僧長ヨアンナは、自分に8つの悪魔が取り憑かれている、と言う。だから助けてほしいと願うヨアンナだったが、笑い声を上げて後ろ姿から振り返る時は別人となっていた。悪魔となって喋るヨアンナは壁伝いに歩き回り、部屋から出ていく時、壁に手形を残していく。村人たちが見守る中、尼僧たちが広間に集まる。そこでは、4人の神父たちによって悪魔祓いの儀式が始まるところで、スーリン神父は壇上でその様子を見ていた。聖水をかけられ、悲鳴を上げなが...『尼僧ヨアンナ』を再度観て

  • イエジー・カヴァレロヴィチ監督の『夜行列車』を観て

    『夜行列車』(イエジー・カヴァレロヴィチ監督、1959年)を観た。サングラスをかけた中年男イェジーは、ワルシャワ駅から北上しバルト海沿岸の避暑地へ向かう夜行列車に乗ろうとする。生憎、指定券を忘れた彼だが、独りになりたいために女性車掌と交渉し、15,16号室の指定席を確保する。しかしこのコンパートメントに行くと、若い女性が占有していて決して席を空けようとはしなかった。結果、イェジーは見知らぬ女マルタと個室を共にすることになり、夜行列車はいろいろな人々の思惑を乗せて走り出した・・・同室になったイェジーとマルタは仕方なく会話を交わすが、話は噛み合わず、ギクシャクした感情のまま列車に身を委ねる。なぜイェジーは独りになりたかったか。マルタはなぜ孤独そうなのか。列車の狭い通路で新聞を読む客の記事には妻殺しで逃亡中の事件が載...イエジー・カヴァレロヴィチ監督の『夜行列車』を観て

  • イエジー・カヴァレロヴィチ監督の『影』を観て

    『影』(イエジー・カヴァレロヴィチ監督、1956年)を観た。ドライブする男女の目の前で、並行する列車から男が飛び降りた。驚いた二人がその場に行ってみると、男の顔は潰れ、身許の手がかりになるものはなかった。この男を検死した医師クニシンはこれがキッカケで、戦時中に起こった地下抵抗組織に関するある事件を語った。当時、地下抵抗組織に属していたクニシンは、ワルシャワ郊外の修理店を連絡所として活動を続けていた。ある日、武器調達資金を得るために、クニシンの班はドイツ軍と関係があるポーランド人の店を襲った。しかし、金を手にしようとした丁度その時、突如、別の一隊がやってきて、お互いに敵と誤認した同士で激しい銃撃戦となった。そして、クニシンを除いて二グループの全員が死傷してしまった。偶然にしては筋立が上手すぎ、クニシンはそれ以後、...イエジー・カヴァレロヴィチ監督の『影』を観て

  • 『英雄の証明』を観て

    上映中の『英雄の証明』(アスガー・ファルハディ監督、2021年)を観てきた。イランの古都シラーズ。ラヒムは借金の罪で投獄され、服役している。そんなある時、婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所できるラヒムにとって、それはまさに神からの贈り物のように思えた。しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは、金貨を落とし主に返すことを決意する。そのささやかな善行がメディアに報じられると大きな反響を呼び、ラヒムは「正直者の囚人」という美談とともに祭り上げられていく。ところが、SNSを介して広まったある噂をきっかけに、状況は一変。罪のない吃音症の幼い息子をも巻き込んだ、大きな事件へと発展していく・・・(映画.comより)冒頭、刑務所から2日間の休暇を貰ったラヒムは、遺跡修復作業に従事している義兄ホセインを...『英雄の証明』を観て

  • 『夜』を観て

    『夜』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1961年)を観た。ある日の午後、作家のジョヴァンニと妻リディアは、病床の友人トマーゾを見舞った。トマーゾの病気は回復の見込みがない。トマーゾはジョヴァンニの親友であるが、リディアにとっても親しい間柄だった。以前トマーゾはリディアを愛したが、彼女はすでにジョヴァンニを愛し結婚していた。彼女は作家夫人として何不自由のない毎日を送っていたが、その生活に得体の知れぬ不安が徐々に広がっていった。結婚前二人を結びつけたはずの愛を見失ったと感じたとき、彼女の心にポッカリと一つの空洞があいた・・・(映画.comより)末期症状のトマーゾを見舞った二人は、ジョヴァンニのサイン会場に行く。同行したリディアは夫と分かれ、ひとりミラノの街を歩き、これと言った目的もないのにタクシーで郊外のうら...『夜』を観て

  • 『CODA』を観て

    『コーダあいのうた』(シアン・ヘダー監督、2021年)がアカデミー賞の作品賞を受賞したためか、手頃な時間帯の上映になったので観てきた。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが・・・(映画.comより)マサチューセッツ州の港町に住む女子高生のルビー。貧しい漁師のロッシ家は、ルビー以外の父フランクと母ジャッキー、それに兄レオが聴覚障害。ルビーは新学期を迎え、一目で好きになったマイルズが入ろうとするコーラス部へ自分も入部する。その後、...『CODA』を観て

  • 『ベルファスト』を観て

    本年度のアカデミー賞絡みで評判の『ベルファスト』(ケネス・ブラナー監督、2021年)を観てきた。北アイルランドの首都ベルファストで生まれ育った9歳のバディは、家族や友だちに囲まれ、充実した毎日を過ごしていた。そして、映画や音楽を楽しみ、たくさんの笑顔と愛にあふれた日常は、彼にとって完ぺきな世界だった。しかし、1969年8月15日を境に穏やかな日々は、突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの暴徒が、街のカトリック住民への攻撃を始めた。住民同士が顔なじみで、まるでひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々のなか、バディの両親は故郷を離れるべきかどうか悩む・・・(映画.comより修正)主人公バディは母と兄のウィルと一緒に暮らしていて、父親はイギリスに出稼...『ベルファスト』を観て

  • 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観て

    話題の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(ジェーン・カンピオン監督、2021年)をNetflixじゃなく、劇場に行って観てきた。舞台は1925年のモンタナ州。フィルとジョージのバーバンク兄弟は、牧場の経営で成功を収めていた。兄弟はある牛追いの道中、宿屋のオーナーで未亡人のローズ・ゴードンと出会う。心優しいジョージはローズとすぐに心を通わせるようになり、結婚することになる。ローズは兄弟の牧場に移住し、ローズの息子ピーターに医学と外科学を学ばせるために、ジョージの金で大学へ通わせることになる。しかし、亡き師ブロンコ・ヘンリーに強く影響されているフィルは、ローズが金目当てでジョージと結婚したと勘繰って嫌悪感を抱き、ローズはそのフィルの粗暴な振る舞いと嘲弄するような態度に不安を募らせる。ある日、ジョージは両親と知事を招いて晩...『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観て

  • 『避暑地の出来事』を観て

    ずっと観たいと思っていた念願の『避暑地の出来事』(デルマー・デイヴィス監督、1959年)をやっと観た。アメリカ東海岸メイン州の避暑地の島。かつては名門だったハンター家のリゾート・ホテルに、20年ほど前、救命監視員として雇われていたケン・ジョーゲンソンが妻と娘を連れて休暇にやって来た。今はビジネスに成功しているケンに対して、ハンター家のバートは落ちぶれた状態にある。ケンの娘モリーとバートの息子ジョニーはすぐに親しくなり、次第に愛し合うようになる。片や、昔恋仲だった関係のケンとバートの妻シルヴィアは、再会して恋の炎が再燃していく。ある日、ジョニーとモリーは小型ヨットで沖に出かける。しかし、やがて激しい風雨にさらされヨットは転覆し、二人は小島で一夜を明かす。翌日、救出されたモリーを母ヘレンは激しく怒り、ジョニーと今後...『避暑地の出来事』を観て

  • イングマール・ベルイマン・4~『不良少女モニカ』

    『不良少女モニカ』(イングマール・ベルイマン監督、1953年)を観た。スウェーデンの港町。陶磁器店の配達係をしているハリーは、カフェで、煙草の火を借りるモニカと知り合う。八百屋で働くモニカが「今夜映画に連れてって」と、ハリーに誘う。要領も悪く大人しいハリーは、モニカとの出会いに幸せを感じる。映画を観たあと二人は湾の見える丘に行き、恋は急速に進んでいく。その後、ハリーの家を訪れたモニカだったが、ハリーの父が帰ってきて二人の抱擁は中断される。狭いアパートで家族と暮らすモニカは、酔っぱらいの父親と喧嘩をし家出を決意する。その足でハリーの家へ行くけれど、家にモニカを泊まらせるわけにもいかないハリーは、二人して父親の所持している船の船室に向かう。一夜を過ごしたハリーは、翌朝、寝過ごしてしまってそこから職場へ向かったが、雇...イングマール・ベルイマン・4~『不良少女モニカ』

  • 『僕の村は戦場だった』を再度観て

    プーチンの命令でロシア軍がウクライナに侵攻している。だから、敢えて『僕の村は戦場だった』(アンドレイ・タルコフスキー監督、1962年)を観てみた。川岸でずぶ濡れになっていた12歳の少年イワンが部屋へ連れて来られ、ガリツェフ上級中尉から質問を受ける。イワンは説明を拒み、司令部のグリャズノフ中佐へ電話することを要求する。ガリツェフがグリャズノフに電話すると、中佐はイワンが書き記したものをすぐに司令部へ届けるよう命じる。翌日、司令部からホーリン大尉が迎えに来て、イワンは司令部へと戻って行った。イワンの今回の情報は極めて重要なものだったが、グリャズノフ中佐はこれ以上イワンに危険な任務を続けさせることは出来ないと判断し、彼に幼年学校へ入ることを命じる。だが、イワンはそれを拒み、幼年学校へ送られるぐらいならパルチザンになろ...『僕の村は戦場だった』を再度観て

  • 『ヘンリー八世の私生活』を観て

    『ヘンリー八世の私生活』(アレクサンダー・コルダ監督、1933年)をDVDで観た。イングランド国王ヘンリー8世は、二番目の王妃アン・ブリンを不義密通の罪で処刑台に送る手筈を整えた。ヘンリーは、この王妃が亡くなれば自分は独身として、すぐにでも侍女のジェーン・シーモアとの結婚ができると計算していた。1536年。晴れて、王妃となったジェーン・シーモアだったが、翌年、彼女は王子を産んでまもなく産褥死する。政治戦略もあり、側近クロムウェルはヘンリー8世にドイツ・クリーヴス公爵の娘アン・オブ・クレーヴズを娶るよう勧める。アンの肖像画で気に入り、結婚を決めたヘンリー8世だったが、実際のアンを見たヘンリーはひどく失望し、すぐに離婚する。元々、ヘンリー8世は二番目の王妃アン・ブリンの従妹で侍女であったキャサリン・ハワードが気に入...『ヘンリー八世の私生活』を観て

  • 『ドライブ・マイ・カー』を観て

    新型コロナのため、去年夏の封切り時点でためらってパスした『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、2021年)が、余りにもここのところ新聞記事になるので気になり、丁度いま上映している劇場があったので久し振りに映画館に行って観てきた。舞台俳優・演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻がある秘密を残したまま突然この世を去ってしまう。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は愛車のサーブで広島へと向かう。そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすうちに、それまで目を背けていたあることに気づかされていく・・・(MOVIEWALKERPRESSより)まず、あらすじを丁寧に書きたい思いがあるが、やはり現在の作品のためにそれはやめ...『ドライブ・マイ・カー』を観て

  • 『危険な関係』(1959年)を観て

    『危険な関係』(ロジェ・ヴァディム監督、1959年)を観た。外交官バルモンとその妻ジュリエットが自宅でパーティーを開き、そこには大勢の知人たちが訪れた。この夫婦はみんなの間では、女性との恋愛を楽しむバルモンと、一方は貞淑な妻ジュリエットで通っていた。だが実は、二人はそれぞれ複数の愛人を作って、その情事の報告をし合うことを楽しんでいた。バルモンはパーティーで、17歳の従姉の子セシルが妻の愛人だったアメリカ人のコートと婚約したことを知る。そこで妻ジュリエットはバルモンに、コートを出し抜いてセシルを口説き落とすよう勧める。一方、セシルは貧学生のダンスニを好いていて、彼との結婚に憧れていた。しかしダンスニは、学業や兵役の後にしか結婚を考えていなかった。バルモンは、セシルがクリスマスを過ごすために友達と来ていたスキーリゾ...『危険な関係』(1959年)を観て

  • 『パサジェルカ』を観て

    若い頃から一度は観たいと思っていた『パサジェルカ』(アンジェイ・ムンク監督、1963年)をやっと観た。海洋を航海中の、一隻の豪華客船。乗客の一人であるドイツ人女性リザは、長らく夫と共にアメリカ合衆国で暮らしており、十数年ぶりに故国に帰省する途中である。やがて、船は英国の港に寄港する。舷側から乗り込んでくる船客たちを眺めていたリザは、一人の女性に目を留める。様子のおかしくなったリザに、事情を知らない夫ワルターが大丈夫かと問いかける。リザは戦争中、アウシュヴィッツ強制収容所の看守の一人だった。先ほど見かけた女性を、リザはかつて自分が何かと手助けした女因マルタではないかと疑っていた。戦争中にマルタとの間に生じたできごとをワルターに黙っていたリザは、夫にその想い出を語り始める。<アウシュヴィッツ強制収容所>リザは194...『パサジェルカ』を観て

  • 『スリー・ビルボード』を観て

    今回、『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督、2020年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドが、前回にも同賞を受賞している『スリー・ビルボード』(マーティン・マクドナー監督、2017年)を前々から観たいと思っていて、この機会に観てみた。ミズーリ州の田舎町エビング。7か月前に何者かに娘を殺されたミルドレッドは、一向に進展しない捜査に腹を立て、大通りに面した3枚の広告看板に、警察署長のウィロビーを批判するメッセージを掲げる。人情味あふれるウィロビーを敬愛する町の人々はミルドレッドを敵視するようになり、捜査を進展させようとしたはずが、孤立無援になっていく・・・(MOVIEWALKERPRESS)ティーンエイジャーの娘アンジェラがレイプされた上に焼殺された母親のミルドレッド。犯人の手掛かりを掴め...『スリー・ビルボード』を観て

  • 『ミナリ』を観て

    『ミナリ』(リー・アイザック・チョン監督、2020年)を観てきた。1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカのアーカンソー州の高原に家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、いつまでも少年心の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと好奇心旺盛な弟のデビッドは新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に思いもしない事態が立ち上がる・・・(公式サイトより)ジェイコブは、森の空き地にあるトレーラーハウスを拠点として、その空き地を韓国野菜の畑にしようと夢見る。片や、妻のモニカは、幼い息子のデビッドが心臓を患っていることもあっ...『ミナリ』を観て

  • 『ノマドランド』を観て

    『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督、2020年)を観てきた。リーマンショックのあおりを受けて、長年住み慣れたネバダ州の住処を失った60代のファーン。彼女はキャンピングカーにすべての思い出を詰め込んで、車上生活者=現代のノマド(遊牧民)として過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを決意する。行く先々で出会うノマドたちと心の交流を深め、一日一日を懸命に乗り越えながら、誇りを持って生きる彼女の自由な旅は続いていく。(MOVIEWALKERPRESSより)工場閉鎖の後、もう誰もいなくなったその地からファーンはキャンピングカーでの生活を選び、去る。その胸のうちには、亡くした夫への想いの傷も秘めている。といっても、ギリギリのやりくりのため、行く先々で仕事を探さなければならない。それはアマゾンでの仕分けだったり、国立公園のキャ...『ノマドランド』を観て

  • グラウベル・ローシャ・3~『バラベント』

    『バラベント』(グラウベル・ローシャ監督、1962年)を観た。ブラジルのバイーヤ沿岸で暮らす黒人漁師たち。その祖先はアフリカから奴隷として連れて来られ、子孫たちは今も黒人密教を崇拝、悲劇的かつ運命論的な神秘主義に囚われ、神の国を待つ人々特有の従順さで貧困、文盲、搾取などを受け入れている。イエマンジャーは海の女神でイレースの母、漁師たちを守り、時には罰を下す海の支配者。“バラベント”とは大地と海が一変し、愛や生活や社会が変貌する激しい瞬間のこと。と、タイトルの後に字幕が出る。村の男は都会に出ても仕事はなく、できることは魚を捕ることだけである。その地引き網漁は網元の親方に支配されていて、村人は食べていけるのがやっとの状態である。警察に追われ破壊活動分子と思われているフィルミノが都会から村にやって来る。以前、村人から...グラウベル・ローシャ・3~『バラベント』

  • グラウベル・ローシャ・2~『アントニオ・ダス・モルテス』

    昔観たことのある『アントニオ・ダス・モルテス』(グラウベル・ローシャ監督、1969年)を観た。ブラジル東北部、アラゴアス州の荒涼とした村。カンガセイロのコイラナ大尉や若い聖女と共に大勢の信者たちは激しく踊り歩く。カンガセイロを憂慮する警察署長のマトスは殺し屋“アントニオ・ダス・モルテス”を呼び寄せる。町の地主(コロネル)は盲目でありながら、権力を振るって影響力を与えている。そのコロネルは、コイラナ大尉が虐げられた民衆を解放しようとしていることに対し、ダス・モルテスに助けを求めなかった。だがダス・モルテスは、マトスの要請によりコイラナ大尉と決闘し、相手に深手を負わせる。荒野で聖女と対峙したダス・モルテスは、聖女から、荒野の民だった祖父母、両親、兄弟を己から殺されたと聞く。それを聞いたダス・モルテスは、許してほしい...グラウベル・ローシャ・2~『アントニオ・ダス・モルテス』

  • グラウベル・ローシャ・1~『黒い神と白い悪魔』

    『黒い神と白い悪魔』(グラウベル・ローシャ監督、1964年)を再度観た。民衆が虐げられていた大地主制度下のブラジル。貧しい牛飼いのマヌエルは、妻のローザと老母の三人で細々と暮らしている。ある日、彼が地主の所へ牛運びの金をもらいに行った折、ひどい仕打ちを受けて地主を殺してしまう。追手により老母を殺されたマヌエルはローザを連れて山へ逃れ、山中で大勢の信者を従える聖セバスチャンの教えに共感する。やがてセバスチャンは、信者と共に地主や政府軍と戦うようになる。それに対し地主たちは殺し屋のアントニオ・ダス・モルテスを雇い討伐に向かわせる。そんなある日、折から現れたダス・モルテスは信者たちを皆殺しにし、片や、赤ん坊を信仰の犠牲にされたローザは聖セバスチャンを刺し殺す。ダス・モルテスから見逃されたマヌエルとローザは、コリスコ大...グラウベル・ローシャ・1~『黒い神と白い悪魔』

  • 『突撃』を観て

    『突撃』(スタンリー・キューブリック監督、1957年)を観た。1916年、独仏戦争。戦線は膠着状態となり、前線では強固な要塞と塹壕が造られていた。その頃、パリから師団司令部に来たブルラード大将は、ミロウ将軍に「前線を完全突破するため、明後日までに“アリ塚”を奪え」と司令部が決定したと伝える。ミロウ将軍から命令を伝達された歩兵連隊長のダックス大佐は、「無謀な攻撃は兵士を犠牲にするだけ」と抗弁するが、作戦は実行に移される。しかし、ドイツ軍の応戦が激しくて隊は前進できなくなる。それを知ったミロウ将軍は我慢ならず、味方陣地に砲撃を加えるよう命令する。だが砲兵指揮官は署名文書がなければと抵抗し、結果、隊は敗退し元の壕に退却する羽目になる。ミロウ将軍は作戦が失敗したことに怒り、翌日、軍法会議を召集することに決定した・・・3...『突撃』を観て

  • 『燃ゆる女の肖像』を観て

    昨年暮れの『燃ゆる女の肖像』(セリーヌ・シアマ監督、2019年)の評価が高いとあって、県下で現在も上映している所があったので高速道路を使って行ってきた。画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンパスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋に落ちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた・・・(公式サイトより)舞台は、18世紀のフランス・ブルターニュの孤...『燃ゆる女の肖像』を観て

  • 『スパイの妻』を観て

    今ごろになってだが、『スパイの妻<劇場版>』(黒沢清監督、2020年)を上映中の所があったので観てきた。太平洋戦争開戦を控えた1940年の神戸。福原聡子は、貿易会社を営む夫・優作と何不自由なく幸せに暮らしていた。国家総動員法下、貿易商という職業柄当局に目をつけられながらも、洋風の生活洋式で通し舶来品を楽しみ、趣味の9.5mmフィルム撮影に興じたりと時勢に頓着しない優作を、聡子の幼馴染である陸軍憲兵の泰治は快く思わなかった。ある時、優作は甥の文雄を伴って満州に出かけ予定よりも遅く帰国した優作の様子を、聡子はいぶかしみ疑いを抱き始める。実は、優作は満洲で知った国家機密についての秘めた計画を持っていた。憲兵の泰治が二人を追い詰めていく中、文雄の拘留をきっかけにすべてを知った聡子は“スパイの妻”と罵られる覚悟で、愛する...『スパイの妻』を観て

  • 『日曜はダメよ』を観て

    『日曜はダメよ』(ジュールス・ダッシン監督、1960年)を観た。ギリシャの港町に、アメリカ人のホーマーがやって来た。“ギリシャ栄枯盛衰の研究”が目的だったが、上陸してまず酒場に入ったホーマーは、言葉が通じないために町の男たちと大ゲンカ。そこへ割って入ったのが金髪でグラマーなイリアだった。陽気な彼女は英語のほか、仏、露、伊語と外国語がペラペラ。しかも習ったところは「ベットの中」とアッケラカンと答えるイリアにホーマーはびっくり仰天。「ならば僕がお堅い娘に変身させる!」と、一大決心を固めるが・・・(DVDパッケージより)ホーマーはよその国に来て、やめとけばいいのに売春婦のイリアに、教養のある女性に変わってほしいと奮闘する。ホーマーの熱意にほだされたイリアも、今までの生活を閉じ込めようと努力するが、そんなに事はうまく運...『日曜はダメよ』を観て

  • 『冬の小鳥』を観て

    『冬の小鳥』(ウニー・ルコント監督、2009年)を観た。1975年のソウル。新調してもらったよそ行きの洋服を着て、9歳のジニは大好きな父に連れられ郊外にやってくる。高い鉄格子の門の中では、庭で幼い子供たちが遊んでいる。ジニは父親と離され子供たちがいる部屋に通されるが、状況が分からず思わず外に飛び出してしまう。目に入ってきたのは、門のむこうに去る父の背中。そこは、孤児が集まるカトリックの児童養護施設だった。自分は孤児ではないと主張するジニは、父に連絡を取るよう院長に頼む。出された食事にも手をつけず、反発を繰り返すジニ。ついには脱走を試みるが、門の外へ足を踏み出しても途方にくれてしまうのだった。翌日、教会へ行くために子供たちは着替えていた。頑なに周囲に馴染もうとしない反抗的なジニを疎みながらも、気にかける年上のスッ...『冬の小鳥』を観て

  • 『レディバード・レディバード』を再度観て

    一連の傑作揃いのケン・ローチ作品の中でも、特に強烈な印象を受けた『レディバード・レディバード』(1994年)を再度観てみた。生活のためバーで歌っているマギーの店にスペイン系のジョージが訪れ、彼はマギーの魅力に惹かれる。ジョージは弱者の権利を守ろうとし、そのために母国パラグアイから亡命した。そんなジョージにマギーは次第に心を開き、愛する子供たちと離ればなれになったいきさつを話し始める。マギーは、父親がそれぞれ違う四人の子供と貧しいながらも幸せに暮らしていた。だが、次の新しい夫サイモンによる暴力に耐えかねて友人の家近くに隠れ住んだが、たまたま留守の時に火事が起き、長男のショーンが重傷を追ってしまった。これがきっかけとなりマギーは養育能力なしと判決を受けて、今は子供たちと引き離されて住んでいる。マギーは、ジョージの親...『レディバード・レディバード』を再度観て

  • 『レイニング・ストーンズ』を再度観て

    随分と前に観た『レイニング・ストーンズ』(ケン・ローチ監督、1993年)を再度みてみた。失業中のボブは、娘のコリーンの聖餐式のために白いドレスを買ってやりたいと願っている。彼は仲間のトミーと羊泥棒をしたり、金になることなら何でもやるがうまくいかない。下水道掃除に行った先の教会のバリー神父から、生活さえままならないのに娘の聖餐式にそこまで見栄を張る必要はないと諭されるが、ボブは耳を貸さない。ある日ボブは、妻のアンとコリーンを連れて洋品店を訪れたが、ドレスの値段を聞いて驚く・・・(MOVIEWALKERPRESSより修正し一部抜粋)場所は、イングランド北西部のマンチェスター。ボブは、7歳の娘コリーンが初聖体拝領を受ける時のドレスを新調するために、失業中で生活もにっちもさっちもいかないのに、金を工面しようと悪戦苦闘す...『レイニング・ストーンズ』を再度観て

  • 『なんでもないや』~「君の名は。」から

    最近フッと、『君の名は。』(新海誠監督、2016年)のエンディング曲のメロディが出てきて頭から離れなかったりする。なので、その『なんでもないや』をついYouTubeでよく聴いたりもする。元のRADWIMPSは当然としても、上白石萌音の歌にも感動していいなと思う。ただそれよりも心に沁みるのは、なぜかこちらだったりする。なんでもないや/RADWIMPS【君の名は。】(cover)『なんでもないや』~「君の名は。」から

  • 『リフ・ラフ』を再度観て

    レンタルビデオ店がビデオテープの頃、ケン・ローチ作品が観たくて探したりしていた。その中のひとつの『リフ・ラフ』(ケン・ローチ監督、1991年)を今回、また観てみた。刑務所から出所したばかりのグラスゴー出身の青年スティーヴはロンドンに出て、古い病院を豪華アパートに改築する工事現場の職を見つけた。そこは全国から職を求めてやって来た労働者たちの掃き溜めだった。スティーヴは、親分風を吹かす現場監督のミックの下でそつなく仕事をこなすシェム、ラリー、モーの三人と打ち解けて仲間となる。仕事の賃金は安く、労働条件は劣悪だった。ある日、スティーヴは工事現場にバッグが落ちているのを見つけ、持ち主のスーザンに届ける。最初はスティーヴを警戒した彼女も次第に打ち解けていく。場末のパブで歌う彼女は、歌手になるのが夢だった。スティーヴはラリ...『リフ・ラフ』を再度観て

  • 『女ともだち』を再度観て

    『女ともだち』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1956年)を再度観た。場所はイタリアのトリノ。クレリアは洋装店の支配人として着任するため、ローマからやって来る。宿泊するホテルに着くと、隣りの部屋で若い女が自殺未遂を起こす事件に遭遇する。警察の聴取を受けたクレリアのところに自殺未遂者ロゼッタの友達モミーナが訪れて、ロゼッタの行為の原因を知るための協力をクレリアに頼む。これが切っ掛けとなって、クレリアはモミーナの女友達ネネ、マリエッラとも知り合う・・・正直言って、しんどい作品である。5人の会話体の物語に、その相手となる男たちも絡んでくる。その物語の先は、どこへどのように落ち着くかは後半になるまでわからず、観ていても常に不安定さがつきまとう。それがアントニオーニの狙いと言ってしまえばそれまでだが観ている方は落ち...『女ともだち』を再度観て

  • 『原節子の真実』を読んで

    『原節子の真実』(石井妙子著、新潮社:2016年刊)を読んだ。14歳で女優になった。戦前、戦後の激動の時代に112本の作品に出演、日本映画界に君臨する。しかし42歳で静かに銀幕を去り、半世紀にわたり沈黙を貫いた。数々の神話に彩られた原節子とは何者だったのか。たったひとつの恋、空白の一年、小津との関係、そして引退の真相――。(新潮文庫の裏表紙より)作者である石井妙子は、本名・会田昌江が原節子として映画界に関わっていく事柄に、その出生以前の親のことまで遡って追っていく。その内容は、膨大な資料を読み漁り、他の者では真似ができない原節子に寄り添った緻密な内容となっている。原節子は1920年に2男5女の末っ子として横浜で生まれる。父親は生糸問屋を営み裕福だったが、世界恐慌以降生活は困窮していく。家計を助けたいという思いか...『原節子の真実』を読んで

  • 『さすらい』を再度観て

    『さすらい』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1957年)の内容の記憶があやふやなので、この際もう一度観てみた。場所は北イタリア、ポー河沿いのフェッラーラ地方で、そこの寒村ゴリアーノ。製糖工場に勤めるアルドは、イルマと同棲して七年になり、二人の間には娘のロジーナがいる。ある日、役場に行ったイルマは、別居している夫がシドニーで亡くなったと知らされる。アルドはこれを機に結婚しようとするが、イルマは拒否する。そしてイルマはアルドに、もう一緒には暮らせないと言う。理由は、好きな若い男がいるからと言う。アルドは動転し、こんなに愛しているのにどうしてなのか、と問い詰める。イルマは、アルドを愛しているがもうダメなのだ、と意志が固い。逆上したアルドは村人が大勢いる路上で、イルマの顔を何度も平手打ちする。そしてその後アルドは...『さすらい』を再度観て

  • 『情事』を再度観て

    なぜかミケランジェロ・アントニオーニ監督の作品が気になり、随分と前に観た『情事』(1960年)のDVDをネットで取り寄せた。ローマに住む外交官の娘アンナには、恋人として建築家のサンドロがいる。だが二人の愛は、もはや冷えかかっている。夏の終わり、二人はアンナの親友クラウディアも交え、上流階級の友人たちとシチリア島沖のエオリエ諸島へヨット・クルージングに出かけた。アンナやクラウディアたちは海で泳ぎ、その後、岩肌で覆われた小島に上陸する。アンナは元々サンドロの言う愛に不安感を持っていて、島でそのことを問い質し、その直後になぜか忽然と行方不明となる。サンドロとクラウディアは他の者たちと島中を必死に探したが、アンナの姿はどこにもない。溺死したとしても死体は見つからず、警察の捜査も打ち切られてしまう。しかし、クラウディアと...『情事』を再度観て

  • 『ヴェラの祈り』を観て

    『ヴェラの祈り』(アンドレイ・ズビャギンツェフ監督、2007年)を観た。アレックスと妻ヴェラとの間には会話が少ない。アレックスはひと夏を過ごすために、ヴェラ、息子キール、娘エヴァを連れて田舎の亡き父の一軒家へ行く。着いて一段落した家族は林にクルミを獲りに行く。夕食後、ヴェラがアレックスに告げる。「赤ちゃんができた。あなたの子じゃない」アレックスは動揺し、どう対処していいのかわからない。アレックスは兄マルクに、「話がしたい、そっちへ行く」と電話し兄の所へ向かうが、途中で引き返す。翌日、アレックスの友人ヴィクトルらが食事にやってくる。そこへ兄マルクから、「今、駅にいる」と電話が入る。迎えに行くアレックスに、息子のキールも一緒についてくる。車中、キールは言う。「ニーナおばさんとサーカスに行って帰ってきた時、家にロベル...『ヴェラの祈り』を観て

  • キム・ギドク監督、死去の報

    キム・ギドク監督が昨日11日、新型コロナウイルス感染症によりラトビアで亡くなったという。思えば、『サマリア』(2004年)が上映された時に新聞記事で知り観に行った。そして、その斬新な作風に魅了され、それ以後、旧作を含め1本の未公開作品を除いて、今年公開の『人間の時間』(2018年)までの22本の監督作品はすべて観た。中には首を傾げたくなるような作品もあったが、大半は強烈なインパクトを与える作品群だった。まだ59歳だというのに、今後、もう新作が作成されることがないと考えると残念で仕方ない。これもひとつの運命かと思うと諦めるしかない。それにしても、もったいない話である。合掌キム・ギドク監督、死去の報

  • 『エレナの惑い』を観て

    『エレナの惑い』(アンドレイ・ズビャギンツェフ監督、2011年)を観た。モスクワ、冬。初老の資産家と再婚した元看護士のエレナは、生活感のない高級マンションで、一見裕福で何不自由のない生活を送っている。しかしその生活で夫が求めるのは、家政婦のように家事をし、求められるままにセックスをする従順な女の姿だ。そんな生活の中で、彼女は夫の顔色をうかがいながらも、唯一の自己主張のように、前の結婚でもうけた働く気のない息子家族の生活費を工面している。しかしそんな日常は、夫の急病により一変する。「明日、遺言を作成する」――。死期を悟った夫のその言葉と共に、彼女の「罪」の境界線がゆらいでいく。そして、彼女がとった行動とは・・・(公式サイトより)ゆったりと流れる日常生活。端から見ると初老夫婦の何気ない生活のなかにも、じっくりとみて...『エレナの惑い』を観て

  • 清水宏・8~『花形選手』

    『花形選手』(清水宏監督、1937年)を観た。関と谷は大学陸上部のランナーで好敵手。中でも関は校庭で昼寝していても、ひとたび起てば力を発揮する花形選手である。学生たちは演習のための行軍に出発した。いつしか村童たちも従っている。突撃で一番乗りの谷が、子供たちを煽って「勝った方がいい」と囃し立てて関を怒らせる。落伍した木村と付き添った森を捜しに戻った関は、男女の子供を連れた若い門付け女に出会う。関は女の子に柿を与えた。夜、木賃宿や民家に分宿した学生隊。女の子が柿が原因で病気になった。女は薬代に窮して一夜、体を売らねばならぬ。関は行商人たちに絡まれるが、森と木村に任せて女の後を追う。そこへ出て来た学生隊一同。隊長の難詰。谷の友情の鉄拳制裁。翌朝、彼らは帰路についた。昨夜の行商人たちは追われていると思って、一散に逃げて...清水宏・8~『花形選手』

  • 清水宏・7~『風の中の子供』

    『風の中の子供』(清水宏監督、1937年)を観た。小学校5年生の善太と1年生の三平兄弟は、夏休みを迎えて大はしゃぎだった。ところが2年生の金太郎が、三平の父親が会社をクビになり警察に連れて行かれるとよからぬことをいい出した。不安な三平は、兄の善太や母親にことの真相を問うがはっきりしない。父は会社を辞め、私文書偽造の嫌疑をかけられてどこかに連れていかれてしまった。三平の不安はつのった。やがて三平はおじさんの家にあずけられ、ホームシックにかかって、いたずらばかりをしておばさんを困らせた。柿の木に登ったり、タライに乗って流されたり、母や兄の住む町へ行くという曲芸団の一行にもぐりこんだりする三平にほとほと手をやいたおばさんは、三平を母のもとへ追い返した。親子三人でなんとか生きて行こうと奮闘する母の気持ちなど知らない三平...清水宏・7~『風の中の子供』

  • 『異端の鳥』を観て

    久しぶりに映画館に行ってきた。観た映画は、チェコ・ウクライナの『異端の鳥』(ヴァーツラフ・マルホウル監督、2019年)。東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける―。(公式サイトより)この作品は九つのエピソードで綴られる。その内容と言えば、この少年が行く先々で異端とみなされ、一般の村人たちに排除される残虐性に満ち溢れている。その象徴として、いろいろな鳥がそのエピソードに関して出てくる。幼い少年の、出生がユダヤ人である烙印された少年の、偶然に行きゆく先々の運命。そこには生きるため...『異端の鳥』を観て

  • 『ピアニストを撃て』を観て

    『ピアニストを撃て』(フランソワ・トリュフォー監督、1960年)を観た。パリの酒場でシャルリがピアノを弾いている。そこへ、強盗仲間に追われた兄のシコが逃げてくる。4人兄弟のシャルリは末っ子のフィドと二人で地道に暮らしていて、一方、二人の兄リシャールとシコは悪の道にはまっている。だから二人は、運送車を襲ってかすめ取った札束を独り占めしようとして、仲間のエルネストとモモから追われている。店が終わったシャルリは偶然に、ウエイトレスのレナを家まで送っていくことになった。レナはシャルリに秘かに思いを寄せていて、シャルリも、途中で手を握ろうとしたが臆病なためにできない。レナの部屋には、シャルリが輝かしかった頃の演奏会のポスターが貼ってあった。シャルリは、本名をエドゥアール・サローヤンといい、元々、一流のピアニストだった。彼...『ピアニストを撃て』を観て

  • 『島の女』を再度観て

    『島の女』(ジーン・ネグレスコ監督、1957年)を観てみた。ギリシャのイドラ島に近いエーゲ海上。漁師リフの船で海綿とりをする若い女、フェドラはある日、海底で“いるかに乗った少年”を形どるブロンズの彫像を見つけた。島の医師ホーキンスは彫像が古書に記されてある宝物だと教え、彼女に引き揚げ権利を金持ちに売り渡すよう進めた。フェドラは自分が経済的に独立し、弟ニコを将来大学に入れたいと思っていた矢先なので心を動かされた。フェドラは金持ちの外国人を探しにアテネへ行き、アメリカの考古学者コルダー博士に面会を申込み、カフェで待ち合わせた。が、そのカフェに来ていた古美術蒐集家のパーマリーが博士を出し抜いて、彫像の取り引きを申し出た。パーマリーはフェドラとイドラ島へ行き、リフを仲間に、彫像の引き揚げにかかった。一方、コルダー博士も...『島の女』を再度観て

  • 『九月になれば』を観て

    『九月になれば』(ロバート・マリガン監督、1961年)を観た。ニューヨークの若き実業家ロバート・タルボット。彼は毎年9月、ローマの恋人リーザとイタリア避暑地の海沿いの別荘で1ヵ月ほどヴァカンスを楽しむ。だが今年は7月に突然イタリアにやってきたタルボットは、早速「別荘で会おう」とリーザに電話する。そのリーザ、タルボットがいつまでもプロポーズしないため諦めてイギリス人のスペンサーと結婚しようとしていたところ。驚いた彼女はとりあえず、急いで別荘に向かうことにした。こちらは、別荘を管理している執事のクラベル。主人の留守中は別荘をうまく利用しようと、その間はリゾートホテルとして営業している。そこへ主人のタルボットがやってきて、クラベルは大慌て。タルボットは、自分の別荘に若い娘たちがはしゃぎながら部屋に入っていくのを見て、...『九月になれば』を観て

  • 忘れ得ぬ作品・12~『橋』

    いつの頃か、多分二十歳頃かそれ以前、テレビで観て強烈な印象を受けたまま記憶から離れない作品がある。それをもう一度、確認してみたいとDVDを購入した。題名は『橋』(ベルンハルト・ヴィッキ監督、1959年)、西ドイツ作品である。第二次世界大戦末期のドイツのある村。戦況が悪化していたナチス・ドイツは、人員を確保するために今まで徴兵条件に入れていなかった子供も召集する。学校に通うハンス、ヴァルター、ジギ、カール、ユルゲン、アルバート、クラウスの7人の少年たちは、兵士に憧れを抱きながら徴兵されるのを心待ちに、いつも通りの授業を受けていた。ハンスが音読しているとき、窓から校舎の外を見たヴァルターは、地区長の父親が自分に内緒で母親を疎開させようとするのを見、追いかける。しかし、母親の乗った列車は発車し、母親とは離ればなれにな...忘れ得ぬ作品・12~『橋』

  • 清水宏・6~『恋も忘れて』

    『恋も忘れて』(清水宏監督、1937年)を観た。横浜。一人息子の春雄と暮らすお雪は、立派な大人に春雄を育てようと、借金の清算のためホテルで働いている。ホテルと言っても実質はチャブ屋である。お雪は仕事場のダンスホールに行き、自分たちの待遇について女給たちと相談する。気っぷがいいお雪はみんなを連れマダムと直談判をするが、マダムは逆に、客をもっと増やせと言い要求に応じない。お雪は「今日は休む」と一旦は家に帰るが、春雄のことを思い、また店に出向く。船着き場の倉庫が小学校1年の春雄の遊び場である。ロープで拵えたブランコに春雄が乗って他の子たちと遊んでいると、大将格の小太郎がやって来て、「誰に断って乗っている」とそのブランコを独り占めにする。体力的には小太郎が上だが、負けていない春雄はみんなに「ウチに来ないか、お菓子ごちそ...清水宏・6~『恋も忘れて』

  • 『スキャンダル』を観て

    今年2月の作品『スキャンダル』(ジェイ・ローチ監督、2019年)を半年遅れで観てきた。2016年、アメリカニュース放送局で視聴率NO.1を誇る「FOXニュース」に激震が走った。クビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェン・カールソンが、TV業界の帝王と崇められるCEOのロジャー・エイルズを告発したのだ。騒然とする局内。看板番組を背負う売れっ子キャスターのメーガン・ケリーは、自身の成功までの過程を振り返り心中穏やかではなくなっていた。一方、メインキャスターの座を狙う貪欲な若手のケイラは、ロジャーに直談判するための機会を得て・・・(公式サイトより)実話を基にしたこの作品は、本国アメリカでは当然分かっているだろう前提で作られている可能性があり、その分、分かりづらいところもある。整理すると、元ミス・アメリカだった...『スキャンダル』を観て

  • 清水宏・5~『東京の英雄』

    『東京の英雄』(清水宏監督、1935年)を観た。東京郊外。少年・寛一の家族は、仕事で帰りが遅い父と婆やだけで、裕福な家なのに寛一は夕食を一人でする。父・嘉一は金鉱発掘の看板を掲げる事務所で資金を集めているが、思うような成果が上がらない。それでも寛一は、父親の帰りが遅いのは金持ちの証拠だと考えている。寛一が淋しそうだのと婆やの助言もあって、嘉一は“求妻”の新聞広告を出す。再婚相手に選んだ春子は、寛一より年下の加代子と秀雄の二人の子連れであったが、それでもめでたく婚礼の運びとなる。嘉一は、明るい家庭ができ事業に専念できると喜んだが、数日後、新聞に資金募集の内面を暴露される。そのため、嘉一は集めた出資金を持ち逃げして失踪する。出資者である群衆が事務所に殺到し、とうとう自宅にまで押し寄せる。対応に追われた再婚早々の春子...清水宏・5~『東京の英雄』

  • 清水宏・4~『港の日本娘』

    サイレント映画、『港の日本娘』(清水宏監督、1933年)を観た。横浜(ハマ)。港を見下ろす女学校に通う仲良しの砂子とドラ。下校時を狙って、オートバイに乗った青年ヘンリーが二人に近づいて来る。砂子に声を掛けるヘンリーに、ドラはすねるが、彼に惹かれた砂子はそれ以降、オートバイに乗せてもらい海や山へとドライブを楽しむようになる。そうしている内、気の変わりやすいヘンリーは、今度は新しい女シェリダン耀子と付き合いだす。そして、与太者たちとも一緒に行動するようになった。そんなヘンリーをドラは諭し、隠し持っていたピストルを取り上げる。ある夜、船で催されるダンスに耀子と行ったヘンリーは、酔いつぶれた彼女とともに教会に入っていく。そこへヘンリーを迎えに波止場まで来た砂子が、教会のドアを開ける。酔っている耀子は砂子を嘲け笑う。砂子...清水宏・4~『港の日本娘』

  • 『ロスト・バケーション』を観て

    ちょっと気分転換に、サメ映画『ロスト・バケーション』(ジャウマ・コレット=セラ監督、2016年)を観てみた。医学生のナンシーは休暇を利用して、メキシコの“秘密のビーチ”へサーフィンするために一人訪れる。そこは、地元の人間しか知らないビーチで、亡くなった母親の思い出の地だった。地元の青年サーファー2人以外は誰もいない入江。ナンシーはサーフィンを思う存分楽しむ。日が暮れかかり、地元サーファーが一緒に帰ろうと誘うが、ナンシーはあと一回と断る。青年たちが海岸を車で帰る最中、一人で波乗りするナンシー。しかしその時、突然ナンシーは何者かに一気に水中に引きずり込まれ・・・海底でもがくナンシー。水中は見る見るうちに紅く染まる。獰猛な巨大なサメがナンシーを襲う。近くにたまたま、それこそ巨大過ぎる腐敗したクジラの死骸が漂っている。...『ロスト・バケーション』を観て

  • 清水宏・3~『簪(かんざし)』

    『簪(かんざし)』(清水宏監督、1941年)を観た。山奥の温泉宿。ここの2階に逗留している学者先生、傷痍軍人らしき若い男・納村(なんむら)、新婚夫婦、それに2人の孫を連れた老人の4組。ある日、蓮華講の集団が泊まりにくる。集団のうるささに、ひとしきり文句をたれる学者先生。集団が帰った後、学者先生と納村は温泉に浸かった。その湯船で、納村は落ちていた簪を踏んで足裏を怪我してしまう。学者先生が宿の主人に抗議すると、簪をなくしたので探して欲しいという手紙が、蓮華講の女性から宿に届く。宿の主人の連絡で、その女性、恵美がやってきて怪我のことを詫びる。簪の持ち主は美人である必要があるとの持論の学者先生のとおり、納村のため、恵美が美人だったことに他の逗留者も喜ぶ・・・実は、恵美は東京で愛人生活をしていて、どうもそれに嫌気が差して...清水宏・3~『簪(かんざし)』

  • 『ビー・マイ・ベイビー』から『マリーゴールド』へ

    以前に書いたことがあるが、中学生の時に洋楽ポップスに目覚め、こんな凄い世界があるのかと夢中になった。当時は1960年代の前半であり、その時期は今でも通用する曲が次から次へと出てきて、まさしく黄金時期。そんな中でも、今だにYouTubeで聞いて感動するのが、ザ・ロネッツの『ビー・マイ・ベイビー』。もっとも好いている曲は相当数あるが、やはりこの曲は無条件、手放しでのめり込める。【YouTubeより】~BeMyBaby-TheRonettes-1963-この頃、やはり年を取ってくると、過去のノスタルジー的なことに目が行ってしまって未来志向が徐々におろそかになる傾向がある。だから最近の曲で、どんなのがいいのかさっぱり分からなくなってしまっている。でも久々に心に打たれ感動したりするのが、この『マリーゴールド』。【YouT...『ビー・マイ・ベイビー』から『マリーゴールド』へ

  • 清水宏・2~『有りがたうさん』

    以前にも観たことがある、『有りがたうさん』(清水宏監督、1936年)を観てみた。鉄道のある町まで天城街道を峠二つ越えて走る定期乗合バスが、南伊豆の港町を出発する。東京に売られてゆく若い娘と母親、いわくありげな黒襟の女、偉ぶった髭の男、その他が客として乗り込む。運転手は若い青年で、バスに道を譲ってくれる人たちに「ありがとう」と挨拶をすることから“有りがたうさん”と呼ばれている。出発したバスの車内では、男の客が娘の母親に向かって、「娘さんで良かった、男の子だったら働こうにも働き口がない」と世間話をする。それを聞いていた運転手も「この頃は毎日失業者が村に帰ってくる」、と合わせる。それに対して、“有りがたうさん”のすぐ後ろに座っている黒襟の女が、「それでも帰る家がある人は幸せだよ、私なんかは帰る家も分からなくなってしま...清水宏・2~『有りがたうさん』

  • 清水宏・1~『按摩と女』

    『按摩と女』(清水宏監督、1938年)を観た。按摩の徳市と福市は新緑の季節になると、この山あいの温泉地に南の温泉場からやって来てくる。二人はそれぞれの贔屓の旅館を足場とし、徳市が“鯨屋”にあいさつをすると早速仕事の声が掛かった。それは今日ここに来るとき、歩いていた二人を追い抜いていった馬車の乗客の若い美しい女性からであった。若い女性は、ここに来たわけとか、いつまでいるのかとの徳市の問いに、謎めいた返事しかしない。徳市は目が見えなくても、東京から来たというこの女性に惹かれていくものがあった。そんな中、この温泉地で宿泊客が被害にあう盗難事件が起きる。徳市は、状況からしてどうも東京の若い女性の仕業では、とも思い・・・清水宏の代表作ということで、成る程と思う。筋はある程度あるが、一般的な物語としての筋道は問題としていな...清水宏・1~『按摩と女』

  • 成瀬巳喜男・24~『娘・妻・母』

    『娘・妻・母』(成瀬巳喜男監督、1960年)を観た。東京は山の手らしき所。坂西一家。長男の勇一郎と妻和子には子がいて、母あき以外に三女春子も同居している。そんな時、夫と何となくうまく行っていない長女早苗が遊びに来ていて、運悪くその里帰り中に夫が事故で亡くなってしまう。その後、早苗は離縁され、実家に戻って来て生活費を入れながら住むことになる。坂西家には、嫁いでいる二女薫や、結婚して他に住んでいる次男礼二も何かと出入りしている。勇一郎は、妻和子の叔父である鉄本庄介の町工場に資金を投じている。その鉄本がもう少し融資してくれるよう、勇一郎に金の無心をしてくる。夫に死なれた早苗は実は、夫の生命保険の金100万円を手にしている。鉄本に頭を下げられた勇一郎は、早苗から50万円を融通してもらう。姑とうまく行っていない二女薫は、...成瀬巳喜男・24~『娘・妻・母』

  • 『ユンボギの日記』~大島 渚

    『ユンボギの日記』(大島渚監督、1965年)を観た。小学校4年生のユンボギは、母が父との不仲で家を出てしまい、父は病気のため仕事ができず、妹2人と弟1人の面倒を見ながら物乞い同然の生活を送っている。ユンボギは、いつも母が帰って来てほしいと願いながら、日記を綴る。貧しさに苦しみながらも担任の先生や同級生の同情に感謝し、非行に走らず、懸命に生きている。ある日、妹のスンナが貧しさに耐えかねて家出してしまい、ユンボギは更に孤独を感じ、いつか母とスンナを探しに行きたいと望む。(Wikipediaより)この作品は、大島渚がテレビドキュメンタリーの仕事のために訪韓した際に撮影した浮浪児たちの写真を映像として、朗読を主にナレーションで綴った短編映画である。ユンボギの日記(予告編)映画は短編であるため、内容を具体的に知ろうと思い...『ユンボギの日記』~大島渚

  • 『今日から』~森高千里

    ここの所、観た映画作品の感想が滞っている。映画は好きだからDVD等によって観ていないわけではないが、感想が書きにくい作品と思うと、ついつい日にちが経ってしまう。そうなると、その時の印象も鮮明度が落ちてしまい、余計ずるずるとなってしまう。それが何作か続いている。となると、書くより書かない気楽さが先にたち、開放感も手伝ってYouTubeで音楽を聴いて過ごしてしまう。そして、昔とっても好きだった森高千里も聴いたりしてみたりする。そんな中、『今日から』の歌詞が身に響く。“今日も一日が始まるそしていつもの繰り返しだけど今こんな日が幸せなんだと思う・・・・今日からは毎日を大切に生きていこうそう今日から”【YouTubeから】森高千里『今日から~セルフカヴァー』『今日から』~森高千里

  • 『女帝 小池百合子』を読んで

    話題の本、『女帝小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋社:2020年5月刊)を読んだ。彼女は平成のはじまりに、華々しくテレビ界から転身して政治家となった。二世、三世ばかりの政界で、たとえ政権交代があろうとも、沈むことなく生き抜いた。「権力と寝る女」、「政界渡り鳥」と揶揄されながらも、常に党首や総理と呼ばれる人の傍らに、その身を置いてきた。権力は入れ替わる。けれど、彼女は入れ替わらない。そんな例を他に知らない。男の為政者に引き立てられて位を極め、さらには男社会を敵に見立てて、階段を上がっていった。女性初の総理候補者として、何度も名を取り上げられている。ここまで権力を求め、権力を手にした女は、過去にいない。なぜ、彼女にだけ、それが可能だったのか・・・(本書、序章平成の華より)そもそも、この作品化の動機は、小池がカイロ大...『女帝小池百合子』を読んで

  • 成瀬巳喜男・23~『女が階段を上る時』

    『女が階段を上る時』(成瀬巳喜男監督、1960年)を観た。圭子は銀座のバーで雇われマダムをしている。一緒に働いていたユリは上得意だった美濃部の融資で独立し、ついでに客もさらったため、圭子のバーは売り上げが落ちている。そのユリと偶然に会った圭子は、ユリからの話で、実は借金で首が回らず狂言自殺をして借金取りから逃れようと計画していることを知る。しかしユリは、狂言のつもりが実際に死んでしまう。そして葬式中に、美濃部からの使いのものが借金取りに来たりしてユリの母親を苦しめる・・・圭子は交通事故で夫を亡くしている関係上、水商売で生計をたてて実家にも仕送りをしたりしている。それでもオーナーは、体を張って売り上げをあげろと注文する。そう言われても圭子としては、そこまでする気はない。嫌気がさした圭子は別のバーに移るが、そこでも...成瀬巳喜男・23~『女が階段を上る時』

  • 「ミニシアターを救え!」プロジェクト について

    新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が、今月末まで延長された。自分は責任を取らず、国民に犠牲を強いる一方のそのやりかたに疑問を持っているがここでは言わない。新型コロナウイルスの自粛要請によって、ミニシアターは存続の危機を迎えている。私は映画を愛しているから、その関連でミニシアターの行く末についてが非常に気がかかる。そのことを少しでも知ってもらうために、#SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクトをリンクしておきたい。発起は丁度、1ヶ月前である。呼びかけ人が34人・団体。賛同者は、388人・団体で、ざっと数えてみると映画監督が70名以上、俳優は50名以上となっている。もっとも、肩書きがダブっているので正確には表せない。この賛同者を眺めていると、不思議な印象を持つ。映画評論家の類、例え...「ミニシアターを救え!」プロジェクトについて

  • 成瀬巳喜男・22~『浮雲』

    『浮雲』(成瀬巳喜男監督、1955年)を再度観た。幸田ゆき子は昭和18年農林省のタイピストとして仏印へ渡った。そこで農林省技師の富岡に会い、愛し合ったがやがて終戦となった。妻と別れて君を待っている、と約束した富岡の言葉を頼りに、遅れて引揚げたゆき子は富岡を訪ねたが、彼の態度は煮え切らなかった。途方にくれたゆき子は或る外国人の囲い者になったが、そこへ富岡が訪ねて来ると、ゆき子の心はまた富岡へ戻って行った。終戦後の混乱の中で、富岡の始めた仕事も巧くゆかなかった。外国人とは手を切り、二人は伊香保温泉へ出掛けた。“ボルネオ”という飲み屋の向井清吉の好意で泊めてもらったが、富岡はそこで清吉の女房おせいの若い野性的な魅力に惹かれた・・・(映画.comより一部抜粋)煮え切らない男・富岡に森雅之、それを知りながら愛し続けて墜ち...成瀬巳喜男・22~『浮雲』

  • 成瀬巳喜男・21~『女の座』

    『女の座』(成瀬巳喜男監督、1962年)を観た。舞台は、東京の下町らしき雑貨屋。店の奥は大家族が暮らせるような造りとなっている。住んでいるのは、石川金次郎(笠智衆)とあき(杉村春子)夫妻と、亡くなっている長男の嫁・芳子(高峰秀子)とその息子の健。それに、次女の梅子(草笛光子)、四女の夏子(司葉子)、五女の雪子(星由里子)が同居している。あきは後妻のため、次女・梅子とは血が繋がっていない。その梅子は婚期を逃し結婚の意思もなく、離れで生け花を教えている。四女の夏子は会社が倒産し家にいて、五女の雪子は映画館の切符売り場で働いている。このような前提があって、物語は金次郎が倒れたということで、長女の松代(三益愛子)や次男の次郎(小林桂樹)も集まってくる。しかし容体は大したことがないと言うことで、九州の三女・路子(淡路恵子...成瀬巳喜男・21~『女の座』

  • 『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を観て

    新作の『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(タイラー・ニルソン/マイケル・シュワルツ監督、2019年)を動画配信で観た。家族に棄てられたダウン症のザックは養護施設で暮らしているが、子どもの頃からプロレスラーになるという夢を持ち続けている。そのため、憧れの悪玉プロレスラーであるソルトウォーター・レッドネックの養成学校に行こうと、施設から脱出する。兄を亡くして孤独な思いのタイラーは漁師をしているが、他人のカゴから蟹をかすめ取り、挙げ句は追われるはめになる。この逃げるタイラーのボートに、たまたまザックが隠れていた。タイラーが行こうとする先はフロリダ。ザックの憧れるプロレス養成学校は、途中のノースカロライナ州のエイデン。タイラーはザックが途中まで同行するのをしょうがなく許し、二人は、それぞれの目的に向かって一緒に行動を...『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』を観て

  • 成瀬巳喜男・20~『驟雨』

    『驟雨』(成瀬巳喜男監督、1956年)を観た。結婚後4年、並木亮太郎と妻文子の間には冷い倦怠の空気が流れている。ある日曜日の朝、些細なことからいさかいを始め、亮太郎はプイと家を出て行った。味気ない思いの文子が買い出しから帰ると、新婚旅行に行っているはずの姪のあや子が待っていた。旅行先で、花婿が偶然会った友人とそのまま飲みに出かけて、朝帰りしたので喧嘩をしたという。帰ってきた亮太郎もその話を聞き男の立場を弁護してみたものの、夫に不満を持つ文子は嫌みを言う。数日後、隣家に新婚間もない今里念吉と雛子が引っ越して来て、亮太郎には雛子の若々しい肢体が眩しく映った・・・(映画.comより修正)亮太郎と文子は二人暮らしで結婚してまだ4年だというのに、完全に心が離れている。たまの日曜日ぐらいどこかへ一緒に出掛けようと言う亮太郎...成瀬巳喜男・20~『驟雨』

  • 『人間の時間』を観て

    『人間の時間』(キム・ギドク監督、2018年)を観てきた。7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が7都府県に発令され、名古屋飛ばしということで愛知県知事が本日、県独自の緊急事態宣言を発表した。私にとって、どうしても観たい映画は不要不急の外出であるとは思っていないが、それでも宣言が出れば自粛しようかなとの思いも強くなるから、その直前に行ってきた。劇場は40席のミニシアターで、客はほとんどいないだろうと想定していたら、20名近くもいて驚いた。と言っても、マスクをしているし隣り同士も一席離れているし、ましてや発声すらしないのでウイルス感染に極端に萎縮する必要もないではないか、それよりか、このようなミニシアターが経営難となるほうが、文化的損失が大きいのではないだろうかと考える。休暇へ向かうたくさんの人々を...『人間の時間』を観て

  • 成瀬巳喜男・19~『秋立ちぬ』

    『秋立ちぬ』(成瀬巳喜男監督、1960年)を観た。夫を亡くし信州から上京した親子、茂子と秀男は、銀座裏で八百屋をしている伯父・常吉のもとへやってきた。今は夏休みの秀男は小学六年生。信州から持ってきたかぶと虫を可愛がっている。着いた早々、茂子は、兄の家に二人も厄介になれないと、近くの旅館「三島」に住み込みで働き始める。残された秀男は、ここの長男・昭太郎と一緒に寝起きし、八百屋の仕事を手伝いながら少しずつ都会の生活に慣れていった。ある日、昭太郎から母の勤める「三島」へ野菜を届けるように頼まれた秀男だが、途中で、地元の少年たちとケンカになってしまった。秀男は勝ち、少年たちが逃げていった後、一人の少女が落ちたトマトを拾ってくれた。少女は順子と言い、秀男の母親が働く「三島」の女将の娘であった。「三島」で、久し振りの母を待...成瀬巳喜男・19~『秋立ちぬ』

  • 成瀬巳喜男・18~『あらくれ』

    『あらくれ』(成瀬巳喜男監督、1957年)を観た。お島は庄屋の娘だが、子供の時から農家に貰われ、結婚話をいやがって東京に逃げ出して来た。植源の世話で神田にある罐詰屋の若主人鶴さんの後妻になるが、女出入のはげしい主人と、気の強いお島との間には悶着がたえない。遂に腕力沙汰の大喧嘩の果て彼女は腹の児を流して家を出た。落着いたのは、草深い寒村の旅館浜屋。そこの女中となったのである。胸を病んだ妻と別居している旅館の若旦那は、彼女に想いをよせて関係を結ぶが、細君が回復して戻って来るとなれば、また家を出なければならぬ。東京へ帰って洋服店につとめるようになった。そのうち、同業の職人小野田を知り、ミシンを習って下谷に店をもつ。小野田は怠け者だが、勝気なお島によって、どうやら商売も軌道に乗るようになった。しかしやがて小野田の父が同...成瀬巳喜男・18~『あらくれ』

  • キム・ギドクの『STOP』を観て

    『STOP』(キム・ギドク監督、2015年)を観た。2011年3月11日に発生した東日本大震災。それに続いて福島第一原発で事故が発生し、原子炉がメルトダウンを起こす。これにより、原発から5km圏内に住んでいた若い夫婦は、東京への移住を決意。妊娠中の妻は、赤ん坊に対する放射能の影響に不安を覚え、次第に正気を失ってゆく。そんな中、謎の政府の役人が現れ、強引に中絶を促す。写真家の夫は、妻を安心させるため、美しい自然や動物の写真を撮ろうと単身、福島に戻る。だが、そこで目にしたものとは・・・(MovieWalkerより)福島に戻った夫が“そこで目にしたものとは”、要は、原発の立入り禁止区域内に残っていた若い女がひとりで出産し、その赤ん坊は奇形児だったということ。この地域にはもうひとり、放射能汚染されて野生化したウサギを解...キム・ギドクの『STOP』を観て

  • 成瀬巳喜男・17~『おかあさん』

    『おかあさん』(成瀬巳喜男監督、1952年)を観た。元、クリーニング店だった福原一家。戦後の貧しい中、父良作は工場の守衛をし、母正子は露店売りをしている。そして娘の年子は、少しでも家計の足しにと、小屋掛けで今川焼きを売っている。この家族には後、繊維工場の勤めで肺を病み寝込んでいる長男進と、小学生の久子、それに母親の妹の子の哲夫がいる。努力の末、やっとこの一家も元のクリーニング店を開くことができた。しかし店の開店準備中に、家恋しさに療養所から逃げ出してきた長男が死ぬ。店は、父の弟子だったシベリア捕虜帰りの木村も手伝ってくれるが、それと引き換えに父も寝込んで死んでしまう。母親の正子は、子二人と小学生成りたて程の哲夫も抱えながら、馴れない店を木村の手ほどきを受けながら切り回すことになった・・・貧乏の中で、母正子が生活...成瀬巳喜男・17~『おかあさん』

  • 成瀬巳喜男・16~『妻よ薔薇のやうに』

    『妻よ薔薇のやうに』(成瀬己喜男監督、1935年)を観た。東京。OLの君子は母との二人家庭で、婚約者らしき精二もいる。父親はひと山当てようととうの昔に家を出たまま、今では信州で妾と暮らしている。趣味の短歌に没頭する母は晩ご飯などの支度もせず、君子が仕事から帰宅して作る。ある日、母が教えている短歌仲間から仲人を頼まれる。仲人となると片親だけではいかず、元々父親が家に帰ってほしい君子は、これをきっかけに長野の山あいの村へ父を訪ねる・・・君子は、父を奪った妾のお雪が憎い。何があっても父親を連れて帰り、母と三人で暮らしてみたい。この意気込みで来た君子は、父俊作の家を通りかかった中学生に聞く。その中学生・堅一は、それは僕の家だと答える。堅一に、家に案内をしてもらった君子はお雪と会い、自分が想像していた相手とは随分と違うと...成瀬巳喜男・16~『妻よ薔薇のやうに』

  • 成瀬巳喜男・15~『鶴八鶴次郎』

    『鶴八鶴次郎』(成瀬己喜男監督、1938年)を観た。鶴次郎と鶴八は、浄瑠璃の一流派・新内節の芸人である。鶴次郎は幼い頃から、今は亡き鶴八の母に弟子入りし、鶴八と二人して一緒に芸を仕込まれた。そして今では、名人会にも出演しその看板にもなっていた。しかし、二人には喧嘩が絶えない。鶴次郎は、鶴八の三味線の腕を認めるが、ここが違うと注文をつける。それに対して鶴八は、母の娘としてこの道を受け継いでいるプライドがある。ある時、二人を贔屓にしている旦那の松崎が鶴八と食事をする席で、鶴次郎との結婚を盛んに勧めてみたが、彼女にはそんな気は毛頭なかった。だったら自分と結婚したらどうかと、松崎は言う。そのような状況の中で、鶴次郎と鶴八は協会の幹部の勧めで温泉にいく。そこで鶴次郎は鶴八に求婚し、鶴八はそれをずっと待っていたのに話がない...成瀬巳喜男・15~『鶴八鶴次郎』

  • 成瀬巳喜男・14~『君と行く路』

    『君と行く路』(成瀬己喜男監督、1936年)を観た。鎌倉の海岸にある別荘地に、天沼朝次と弟夕次、それに母親の加代が住んでいる。朝次は会社勤め、夕次はまだ大学生である。芸者上がりの妾だった加代は、亡くなった旦那からこの別荘を貰い受け、財産もあった。すぐ近くの別荘には尾上家が住んでいて、その家族に娘の霞がいた。朝次と霞は、相思相愛の仲であった。だが最近、凋落ぎみの尾上家ではその危機を救うために、霞を北海道の資産家の老人に嫁がせようと考えていた。しかし霞としては、一緒になる相手は朝次のほか眼中になかった。そうは言っても尾上家では、妾の子とは一緒にさせられない、と朝次を相手にせず、そのため彼は霞との結婚を諦めていた。そんな時、霞の友人呉津紀子が東京から、朝次から霞宛ての手紙を持って、電車で尾上家にやって来る。たまたまそ...成瀬巳喜男・14~『君と行く路』

  • 成瀬巳喜男・13~『雪崩』

    『雪崩』(成瀬巳喜男監督、1937年)を観た。富豪の日下家の御曹司、五郎は一目惚れした蕗子と名古屋へ駆け落ちをした。そして五郎は、名古屋のホテルまで迎えに来させた父親に、蕗子との仲を承諾させる。五郎には、元々、相思相愛の幼馴染の弥生がいた。五郎の両親は、病気がちの弟との二人きりの弥生を心配して家族同然に扱い、五郎との間のことも認めていたのだった。五郎と蕗子は結婚し、駆け落ちから一年が経つ。五郎は又、弥生への思いが高じてゆき、再び彼女と会うようになる。そして父親に、「蕗子との結婚は間違いだったから離婚しようと思う」と言うが・・・父親は、従順な蕗子のことを庇う。「お前を信じている蕗子を、夫としてその責任を放棄するのか」でも五郎は言う、「愛情もないのにこのまま生活し続けるのは蕗子のためにも良くなく、嘘の生活は出来ない...成瀬巳喜男・13~『雪崩』

  • 成瀬巳喜男・12~『女人哀愁』

    『女人哀愁』(成瀬己喜男監督、1937年)を観た。銀座のレコード店に勤めている河野広子には、母と弟正雄がいる。新聞社勤務の従兄の北村良介とは幼なじみで、何でも話せる仲である。今日も広子は良介を呼び出し、見合いをしたことに対し意見を聞く。自分を古い女だからと思っている広子は、結局、見合いをした裕福な堀江家の新一と結婚する・・・堀江家には新一の父母と、女学生の妹道子に小学生の弟がいる。父母は、何事にもつけ広子がかいがいしく働くのを有り難がり重宝する。わがままな道子も何かと頼み、小学生の弟は少しでも勉強の相手をしてもらおうとする。女中がいるのに堀江家の家族は広子に、全ての用事を言いつける。そして夫は、仕事で遅くなるからとバーから電話して、毎晩のように帰りが遅い。そればかりか、広子がたまたま銀座に出掛けて、久し振りに良...成瀬巳喜男・12~『女人哀愁』

  • 『淑女は何を忘れたか』を観て

    前回の『流れる』(成瀬己喜男監督、1956年)の栗島すみ子を見て、人気当時の作品をと『淑女は何を忘れたか』(小津安二郎監督、1937年)を観てみた。東京の、麹町のしゃれた佇まい。医師で大学教授の小宮とその妻時子。そこへ大阪から姪の節子がやってきた。助手の岡田が、小宮が依頼した本を家まで届けにきた。時子は、お喋り友達から頼まれていた家庭教師の口を、岡田が丁度いいと思い紹介する。小宮が休みの日、時子は、小宮を無理やりゴルフに出かけさせようとし、自分は自分で出かけてしまう。気が進まない小宮は、岡田のアパートを訪ね、ゴルフバックを預けて、一人行き付けのバーに行く。そこへ、どうした偶然か節子がやってきて、小宮と飲むうち、“芸妓が見たい”と言い出す。小宮は、料亭で散々酔っ払ってしまった節子を、呼び出した岡田に送らせて、自分...『淑女は何を忘れたか』を観て

  • 成瀬巳喜男・11~『流れる』

    『流れる』(成瀬己喜男監督、1956年)を観た。東京の花街にある芸者置屋の「つたの家」。そこへ、職安の紹介で新しい女中がやってくる。女中の名は梨花だが、女将のつた奴がお春にしようと決める。この置屋には、若いなみ江となな子、それに年がいった染香の芸者がいるが、なみ江は、つた奴の娘勝代と喧嘩し出ていく。前には7人いた芸者もなな子と染香だけとなり、今では「つたの家」も落ちぶれてしまっている。つた奴は父親違いの姉おとよに借金し、その返済を催促されている。そんな家に、つた奴の妹米子も夫から別れ、子供を連れて転がり込んでいる・・・原作は幸田文。それを成瀬はいつものパターンで、借金でにっちもさっちもいかない状態の中での人間模様を見せる。つた奴が山田五十鈴で、その娘が高峯秀子。お座敷の余り掛からない染香は杉村春子。つた奴の父違...成瀬巳喜男・11~『流れる』

  • 成瀬巳喜男・10~『山の音』

    『山の音』(成瀬巳喜男監督、1954年)を観た。尾形信吾は、妻の保子、息子の修一、その嫁の菊子と一緒に鎌倉で暮らしている。修一は、重役である信吾の会社に一緒に勤めている。信吾は、美人で笑顔を絶やさず家事を献身的に行う菊子に好感を抱いていた。しかし修一は他に女を作り、夜遅くになって帰る日々が続く。そのような状態の時、嫁いでいる娘の房子が夫に愛想がつきたと二人の子供を連れて、父親である信吾の家に帰ってくる。房子は、菊子にまだ子どもがいないことや、自分が菊子のように美人だったら、と嫌みを言う。それに対し、信吾は菊子にも苦労があると、彼女をかばう・・・舅信吾は何かにつけ、嫁の菊子をいたわり、慈しむような愛情も抱いている。残念ながら私は、川端康成のこの名作を読んでいない。だから信吾が、妻保子の若くして亡くなった姉の面影を...成瀬巳喜男・10~『山の音』

  • 成瀬巳喜男・9~『放浪記』

    『放浪記』(成瀬巳喜男監督、1962年)を観た。昭和の初期。林ふみ子は行商をしながら、母と駄菓子屋の二階で暮らしていた。彼女が八歳の時から育てられた父は、九州から東京まで金を無心にくるような男だった。隣室に住む律気な印刷工安岡は不幸なふみ子に同情するが、彼女は彼の好意を斥けた。自分を捨てた初恋の男香取のことが忘れられないのだ。母を九州の父のもとへ発たせたふみ子は、カフェ「キリン」の女給になった。彼女の書いた詩を読んで、詩人兼劇作家の伊達は、同人雑誌の仲間に入るようすすめた。まもなく、ふみ子は本郷の伊達の下宿に移ったが、彼の収入だけでは生活できず牛めし屋の女中になった。ところが、客扱いのことからクビになったふみ子は、下宿で日夏京子が伊達にあてた手紙を発見した。新劇の女優で詩人の京子は、やがて伊達の下宿へ押しかけて...成瀬巳喜男・9~『放浪記』

  • 成瀬巳喜男・8~『めし』

    『めし』(成瀬巳喜男監督、1951年)を観た。大恋愛の末に結ばれた岡本初之輔と三千代。結婚から5年を経て、今は大阪に在住する夫婦は倦怠期に突入していた。世間からは美男美女の幸福な家庭と見られているが、些細なことで衝突が続く。そんな中、初之輔の姪である里子が家出して、東京から大阪へやってきた。家計をやりくりしながら家事に追われるだけの日々に、疑問を持ち不満をつのらせていた三千代は、初之輔と里子の楽しそうな姿にも苛立ちを覚える。三千代は里子に帰京を促し、里子を送る名目で東京の実家に里帰りする。そして久々に、のんびりとした時間を過ごす。三千代は自立も考えていとこに東京での職探しを頼み、悶々としていた・・・(Wikipediaより一部修正)岡本夫婦は、上原謙と原節子。小津作品で見慣れているはずの原節子が、所帯やつれで痛...成瀬巳喜男・8~『めし』

  • フランソワ・トリュフォーの『あこがれ』を観て

    フランソワ・トリュフォー監督の短編『あこがれ』(1958年)を観た。フランスののどかな田舎町。若い女性ベルナデットが自転車で町や林道を颯爽と走る。ひるがえるスカートからのあらわな脚。少年たち5人は、ベルナデットが走るのを夢と欲望をもって見る。ベルナデットが木に自転車を立て掛けていけば、走りよりサドルに鼻をつけ、彼女の匂いを嗅ぐ。ときめきと官能のうずき。ベルナデットの恋人ジェラールは、体育の先生をしている。二人がデートしキスをしている所を見つけると、少年たちは追いかけ冷やかす。5人にとって、二人の現場はとっておきの遊び場に変化する。休日にテニスをする二人。少年たちはそこへ行って、短スカートからベルナデットの脚がむき出しになるのを楽しむ。ボールが柵を越え、彼女が近づいてくると、汗ばんだシャツの匂いに気が遠くなるほど...フランソワ・トリュフォーの『あこがれ』を観て

  • 成瀬巳喜男・7~『鰯雲』

    『鰯雲』(成瀬巳喜男監督、1958年)を観た。東京近郊の、厚木附近の農村。東洋新聞の厚木通信部の記者・大川は農家の実態を記事にするため、八重の家を訪ねた。ハ重は夫を戦争で失い、姑のヒデをかかえ、一人息子の正を育てながら農事に精出してきた。彼女は女学校を出てい、たまたま大川と一緒に入った町の食堂「千登世」の女主人は、そのときの同級生の千枝だった。八重の兄・和助は同じ村に住んでいるが、親子八人の大世帯である。昔は十町歩からの大地主だったが、農地改革でわずか一町八反しか残らなかった。今の嫁は三人目であった。長男の初治の嫁探しを八重は頼まれていた。大川の持ってきた話を調べに二人は山奥の村へ行った。その娘みち子の義理の母は、和助の最初の妻とよだった。農事がうまく出来ぬと、和助の父がむりやり追い出したのだ。八重と大川は、そ...成瀬巳喜男・7~『鰯雲』

  • 成瀬巳喜男・6~『晩菊』

    『晩菊』(成瀬巳喜男監督、1954年)を観た。芸者上りの倉橋きんは、口の不自由な女中静子と二人暮し。今は色恋より金が第一で、金を貸したり土地の売買をしていた。昔の芸者仲間たまえ、とみ、のぶの三人も近所で貧しい生活をしているが、きんはたまえやのぶにも金を貸してやかましく利子をとりたてた。若い頃、きんと無理心中までしようとした関が会いたがっていることを、飲み屋をやっているのぶから聞いても、きんは何の感情も表わさない。しかし、以前燃えるような恋をした田部から会いたいと手紙を受けると、彼女は美しく化粧して男を待った。だが田部が訪ねてきた理由は借金のためで、それがわかったきんは、たちまち冷い態度になり、今まで持っていた彼の写真も焼きすてた・・・(MovieWalkerより一部修正抜粋)きんだって、若い頃は色恋に夢中になり...成瀬巳喜男・6~『晩菊』

  • 『1917 命をかけた伝令』を観て

    『1917命をかけた伝令』(サム・メンデス監督、2019年)を観てきた。1917年4月6日、イギリス兵である第8連隊に所属するスコフィールドとブレイクは、ある重要なメッセージを届ける任務をエリンモア将軍から与えられる。マッケンジー大佐率いるデヴォンシャー連隊第2大隊は退却したドイツ軍を追っていたのだが、航空写真によって、要塞化された陣地をドイツ軍が築き、待ち構えていることが判明。退却に見せかけた用意周到な罠だった。このままでは、マッケンジー大佐と1600人の友軍は、ドイツ軍の未曽有の規模の砲兵隊によって全滅してしまう。なんとしてもこの事実をマッケンジー大佐に伝え、翌朝に予定されている戦線突破を止めなければならない。あらゆる通信手段はドイツ軍によって遮断され、もはやスコフィールドとブレイクの伝令が最後の頼みの綱だ...『1917命をかけた伝令』を観て

  • 成瀬巳喜男・5~『稲妻』

    『稲妻』(成瀬巳喜男監督、1952年)を観た。小森清子は、東京の遊覧バスガイドをしている。彼女には、長姉の縫子、次姉の光子、兄嘉助がいて母がいる。だがこの兄弟姉妹は、母おせいが生んだとしても全員父親が異なっている。清子は、洋品店を経営している光子の家に下宿している。はきはきしてしっかり者の清子と、控え目で大人しい光子はとっても気が合う。縫子は夫がいるというのに、両国でパン屋を営む綱吉と付き合っている。そして、清子に綱吉との縁談を持って来る。夫を尻に敷きズケズケしている、そんな縫子を清子は嫌い、どう見ても計算高くて胡散臭さうな綱吉をも毛嫌いし、避けようとする。嘉助は復員してから、パチンコをしたりしてずっとブラブラしている。ある日、光子の夫呂平が急死してしまう。葬儀も落ち着いた頃、縫子や嘉助が、もし保険金が下りたら...成瀬巳喜男・5~『稲妻』

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