おにぎりセット
3時。本来なら眠りの世界の中にいて、運ばれてきた無意識をナイフとフォークで切り分け一口サイズの夢にして、その苦味をブニブニした食感と合わせて食べている頃だった。しかし火山が噴火するくらい力強い空腹が、薄っぺらい毛布にくるまって眠りの世界へ運ばれかけていた僕の全身を突き動かした。毛布を蹴飛ばし、ベッドから勢いよく立ち上がると簡単な着替えだけ済まして、家のドアを開けた。外へ出ると夏の熱さが夜闇にまで溶け込んでいるのか、白いシャツ一枚だというのに肌寒さは感じなかった。何の熱も感じない空気の中をふらふらと歩いていると、外気と自分の体の境目がわからなくなり、夢の中を歩いているような感じになった。フィッシ…
2021/07/26 02:58