キンポウゲのような君に
自席について眺めていた手許の書類から顔を上げるなり、オーター・マドルは短く息を吐いた。気休めに過ぎないが、おもむろに丸眼鏡を外して鼻の付け根を指先で揉む。強度近視により網膜や視神経に持続的に負荷がかかるため、疲れ目は日常茶飯事だった。特に、目の酷使で疲労が蓄積される夕刻は症状が顕著に表れるようで、ものが見えにくくなるのだ。椅子の背凭れに寄りかかって瞼を閉じようとしたら、ほのかに甘い香りがオーターの...
2025/06/16 20:47
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