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CNBLUEのBL小説ブログです。ジョンシン×ヨンファ、ジョンヒョン×ヨンファの話を書いています。

haru
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2016/03/09

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  • その男、不遜につき 32

    その男、不遜につき 32

    瞬く間にジョンシンの広い胸に抱き込まれ、身体が軋むかと思うほどの手加減なしの抱擁にヨンファは慌てふためいた。「ちょっ……痛いって。力、弱めろよ」「嫌だ」あっさり即答されてしまい、困惑したヨンファが身を捩じって拘束から逃れようとすると、腕の力は緩むどころかかえって躍起になって離れまいとする。負けじと肩を押して引き剥がそうと試みたが、ヨンファの首筋に顔を埋めた男はびくともしやしない。まるで聞き分けのない...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 105

    蒼き運命 -アオキサダメ- 105

    珍しく弾んだ響きとともに数メートル先から悠然とした足取りで近づいてくる兄貴分に、ジョンヒョンは向き直って慣例的に頭を下げた。世の中を知り尽くしたような強者の風格と威厳を漂わせているグンソクは上等なスーツを颯爽と着こなし、鋭利な眼光さえ除けば、やり手のエリートビジネスマンに見える。統率力と洞察力に優れており、様々な特技や強みを持った個性豊かな組員らを束ねることができる組内きっての切れ者だ。「ドンゴン...

  • その男、不遜につき 31

    その男、不遜につき 31

    ジョンシンの予期せぬ発言は、頑ななヨンファの心を突き動かすには十分すぎたようだ。自分でも驚くほど素直にぽろりと心情を吐露した途端、ジョンシンの動きがぴたりと止まった。女性との出会いに苦労したことがないと自負しているのに、よもや同性に告白する日が来ようとは。こんなイレギュラーな事態を誰が想像しただろうか。つられてしまった感は否めないものの、不思議と後悔はしていない。己の気持ちを初めて言葉にしたことで...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 104

    蒼き運命 -アオキサダメ- 104

    いよいよ暮れも押し迫ったその日は、朝からずっと雨だった。午後十時半を過ぎた今も尚、静かに降り続けているのが飲食店等のネオンサインの煌めきとともに、下ろされたブラインドの隙間から確認できる。酔客で賑わう繁華街の一角にある青龍組の事務所内は決行を目前に控え、いつになく空気がピンと張り詰めていた。組員たちが慌ただしく出入りする中、ジョンヒョンは装備品一式が整然と保管されている部屋でひとり黙々と身支度を整...

  • その男、不遜につき 30

    その男、不遜につき 30

    なんとなく、ひと呼吸置いた方がいいような気がして、ヨンファはさりげなく提案してみた。寒かったのもあるし、ジョンシンと真摯に向き合いたいとごく自然に思えたからだ。決して、うやむやにするつもりではない。「お前の淹れたコーヒーって、冗談抜きで美味いんだよな」リップサービスでも何でもなく、日頃から思っていることを素直に言うと、腰に巻きついていた腕からすっと力が抜けるのがわかった。ほぼ同時に、上から重ねてい...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 103

    蒼き運命 -アオキサダメ- 103

    どこか心地よい温もりと重みを感じて、微睡みの中を彷徨っていたヨンファは唐突にふっと眠りから覚めた。うっすらと瞼を開くと、焦点が定まらない目に見慣れないフローリングの床が映る。間接照明がかすかに灯る中、枕に顔を埋め、横向きで寝ていたヨンファはぼんやりした頭で何度か瞬いた。「……………」暗めに調節されたベッドサイドのライト、部屋を包み込む静謐な空気、さらりとしたシルクサテンの感触。ひとつひとつをおぼろげに...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 102

    蒼き運命 -アオキサダメ- 102

    情欲の滲んだ眼差しを向けられるだけで、まるで魔法をかけられたみたいに全身が火照ってくる。どうしようもない衝動に駆られたヨンファは、上になった愛しい男を迎えるように刺青が彫られた広い背中に腕を回した。熱を帯びた硬い筋肉だけでなく、のしかかってくる重みまでもがたまらなく心地よく感じ、静かに目を閉じる。明確な意図を持った手のひらに腰から太腿のラインをやんわりと撫でられて、ヨンファはびくんと首を仰け反らせ...

  • その男、不遜につき 29

    その男、不遜につき 29

    かなり強引ともいえる態度で連行されたヨンファは、自動的にライトが点った玄関に押し込まれた。パタンとドアが閉まったのとほぼ同時に施錠する音が聞こえ、これはすぐには帰れないだろうなと結論づける。できるだけ波風を立てずに、どのようにしてジョンシンを宥めればいいか――。知らぬ間に配慮している自分に対し、なんでこっちが折れなきゃいけないんだと思わないでもないが、大人げない気がしてぐっと言葉を吞み込んだ。そうだ...

  • 決まりました Part2

    決まりました Part2

    ついこの間、年が明けたばかりだったのに、もう二月末ですね。今年はいつもより月日が早く経つような気がします。さて、私事で恐縮ですが、次女の受験がすべて終わりまして、行き先が決まりました。昨春、新型コロナで学校と塾が数ヶ月休校になった時はどうなることかと思いましたが、東京二校、関西二校にご縁をいただき、長女と同じ東京に送り出すことになりました。嬉しいのと同時に気が抜けてしまい、何だか憑き物が落ちたよう...

  • その男、不遜につき 28

    その男、不遜につき 28

    誤解を招くようなチャニョルの物言いに、瞠目したままヨンファを見つめていたジョンシンの顔色が一変した。信じられないことを聞いたように漆黒の双眸をきつく眇めたかと思うと、瞬時に剣呑な気配を漂わせる。露骨なまでにわかりやすく渋面を作った男がつかつかと脇目も振らず真っすぐに詰め寄ってくるのがわかり、まるで時間が止まったように立ち竦んでいたヨンファはぎくりと不自然に固まった。「こいつと飲むとは一言も聞いてな...

  • お久しぶりです

    お久しぶりです

    冬真っ只中ですが、お変わりありませんか?前回からかなり間が空いてしまいました。まったく更新していなかったにもかかわらずご訪問下さり、ポチポチと拍手ボタンを押して下さってありがとうございました。とても有難く嬉しく思いました。お待たせしてごめんなさい。次女の受験が終われば、多少はまったりのんびり過ごせるはずなのですが、もうじき本番なので、まだ当分気を揉む日々が続きそうです。極力平常心でありたいなと、フ...

  • その男、不遜につき 27

    その男、不遜につき 27

    ビジネスシーンでは、取引先をもてなすという意味合いから、接待をする時とされる時がある。そのため、縦社会に従って同席するのは業務の一環と割り切るしかない。上司の計らいもあって、珍しく定時で仕事を切り上げたヨンファは先輩ディーラーとともに、指定されたW証券との会食場所へと向かった。重要な取引先であれば、日頃の感謝の意を形にして表す絶好の機会なのだろう。リラックスした雰囲気の中で親睦を深めることができ、...

  • その男、不遜につき 26

    その男、不遜につき 26

    金曜日に差しかかると、仕事の疲労がピークに達しているのが常だ。しかし、その日はいつにもまして寝覚めがよく、頭と気分がすっきりしていた。まだ明けきらぬ暁闇の空の下、出勤途中に立ち寄ったコンビニエンスストアの駐車場でエンジンをかけたまま待つこと三分。煌々と明るい店内から、その要因であるヨンファが出てきた。整った容貌によく似合う細身のデザインスーツを身に纏い、手にレジ袋を提げている。なまじ見場がいいだけ...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 101

    蒼き運命 -アオキサダメ- 101

    突如、ジョンヒョンが心の内を明かすように語り出し、広々とした開放的なリビングスペースはこれまでとは違う雰囲気になっていた。眦の切れ上がった双眸は過去を振り返るようにわずかに細められ、固まったまま動けずにいるヨンファをどう思ったのか、こちらを真っすぐに見据えながら低く抑えたような口調で続ける。「ヨンファは俺に純粋な好意を寄せてくれていたんだろうが、俺が抱いていたのはそんな綺麗なもんじゃない。後ろ暗く...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 100

    蒼き運命 -アオキサダメ- 100

    ジョンヒョンがジョン家の屋敷に連れられてきたのは、ヨンファが小学三年生の七月のことだった。見上げた空は雲ひとつなく青く澄んでいて、手入れの行き届いた広大な庭園に美しく咲き誇るムグンファにも強い日差しが照りつけていたのを、ヨンファは今もなお鮮明に覚えている。よく晴れたその日はちょうど日曜日だったため、朝から妙にそわそわしてしまい、ジョンヒョンと顔を合わせるまでずっと落ち着かない気分で過ごしたものだ。...

  • その男、不遜につき 25

    その男、不遜につき 25

    「ジョン君、ちょっといいかね?」新年を迎えて、初めての週明けの月曜日。会議室で定例の朝ミーティングを終え、書類を手にしたヨンファがディーリングルーム内の自席に向かおうとした時、ふいに背後から名指しで呼び止められた。振り返った先には直属の上司である資金証券課長のアンの姿があり、為替チームのメンバーたちと立ったまま話し込んでいたらしく、輪から離れてこちらに近づいてくる。あと三十分で株式市場の前場が開く...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 99

    蒼き運命 -アオキサダメ- 99

    「好きなように寛いだらいい」とジョンヒョンに勧められるままに、ボートネックニットにジーンズというラフな服装のヨンファは、光が反射して鏡のようになった窓辺に立っていた。大きな窓ガラスに顔を寄せ、眼下の美しい夜景を眺めているだけで不思議と無心になれる。どのくらいそうしていただろうか。「ヨンファ、ちょうど飲み頃だと思うぞ」ふいに背後からかかった声で我に返り、「ああ」と反射的に答えながら振り返ると、着替え...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 98

    蒼き運命 -アオキサダメ- 98

    ジョンヒョンが裏口のドアを開けて建物から出るなり、外の冷気がすうっと入ってきて、あとに続いていたヨンファの頬を撫でた。咄嗟にコートの襟に巻きつけたマフラーに顔を埋めたものの、温まっていた身体がぶるっと震える。午前零時を回ったマンション周辺はしんとした静寂に包まれており、聞こえるのはふたりの足音だけだった。幹線道路から外れた場所に位置しているため、昼夜を問わず車の通りが少ないのだ。美しい星々が瞬いて...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 97

    蒼き運命 -アオキサダメ- 97

    「へえ、丸々ひとつか……。これはまた、タイムリーな差し入れだな」経緯を説明しながらヨンファが冷蔵庫からホールケーキを取り出すと、脱いだ上着をダイニングチェアの背凭れにかけていたジョンヒョンは意外そうに目を瞠った。「そうなんだ。こっちは当たり前のことをしているだけなのに、その気持ちがとても有難いなって思うよ。ひとりでは到底食べきれない量だから、ヒョニが来てくれてよかった」仕立てのいいロングコートを身に...

  • 蒼き運命 -アオキサダメ- 96

    蒼き運命 -アオキサダメ- 96

    「ヨンファ先生、患者さんは以上で終了です」自分の父親くらいの年配の患者が頭を下げて診察室から出ていくのを見送ったところで、受付カウンターにいたシニョンから声がかかった。デスクの上に次の患者のカルテが置かれていないことを確認し、「わかりました」と答えたヨンファは手許のカルテに診察結果等の所見を詳細に書き込む。「すみません、これをお願いします」数分後に記入し終えたカルテをシニョンに手渡すと、途端に白衣...

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