「スパイの妻」(20・日)80点
・個人と社会を追究し続ける黒沢清のラブ・サスペンス。太平洋戦争へと向かう激動の時代、神戸の貿易会社経営夫婦のミステリアスな展開を描いたエンタテインメント・ストーリー。「ドライブ・マイカー」(21)の濱口竜介が野原位と共同でオリジナル・シナリオを書き、山本晃久プロデューサーによって映画化が実現した。20年6月NHK・BS8K放送の劇場版で、黒沢清監督がヴェネチア映画祭銀獅子(最優秀監督)賞を受賞している。ホラーの巨匠として海外でも名高い黒沢だが「トウキョウソナタ」(08)以降は現実社会の歪みや問題を背景に個人の在り方はどう在るべきかを追求する描写にウェイトを置いている。本作は監督が予てより願望していた時代<太平洋戦争開戦の不穏な時期>を再現するために、撮影場所や衣装・美術などにかなりの拘りが見られる。そしてアップ...「スパイの妻」(20・日)80点
2022/02/18 15:29