宗教的人格が陥りやすい「優しさの罠」とは(中編)
(「Aの幸福はBの不幸である」という考え方に欠けているもの)それと、もう一つ、これは哲学的な考え方にもあるのですが、個々をバラバラに見ていく考え方が一つあるのです。例えば、「Aの幸福はBの不幸である」というふうな考え方があると思うんですね。マルクスの考えなどもそうです。「ある人が幸福になれば、それで損をする人が出る。傷つく人が出る」という考え方です。これはわりあい多くの人間の頭のなかに入っている考えでもあるのですが、はたしてそうだろうかということです。この考え方でいくとどうなるかというと、例えば、会社勤めをしていると、「自分が出世すると、ほかの人の出世が遅れる」という考え方が出ます。「自分が課長になれば、誰かが課長になれない」と。いいですか。「自分が結婚すると、その結果、誰か結婚できない人が出てくる」と。こうい...宗教的人格が陥りやすい「優しさの罠」とは(中編)
2022/02/28 07:00