海に消えた対馬丸 学童疎開船の悲劇 ⑨ 小さな命が海に沈んだ
海に消えた対馬丸学童疎開船の悲劇⑨小さな命が海に沈んだ沖縄出身の芥川賞作家・大城立裕は「対馬丸」の著書の中で、沈没を経て漂流者となった人たちの様子を次のように表現しています。「無数の叫び声が」、刻々ひとつづつ減っていく。死だ。いくつもの死。次々と無造作に作られていく屍体が、海面を次第に分厚く覆っていった。あがき、叫ぶ人たちは、流れていくうちに、それらの屍体に行き当たった。それらは、今さっきそこで筏を奪い合った相手かもしれないし、昨夜一緒に「さらば沖縄」を唄った仲間かもしれないし、ふとしたことで仲たがいした親友かもしれなかった。あるいは、わんぱくでてこずらせた恩師かもしれないし、よくできて可愛がった教え子かもしれなかった。……生きている者は、漂っているそれらの屍体にぶつかると、反射的に屍体をはねのけた。運の...海に消えた対馬丸学童疎開船の悲劇⑨小さな命が海に沈んだ
2023/08/29 06:30