小説 死神 第十四章 もう一つの仕事
第十四章もう一つの仕事台風の風は先ほどより収まってきたものの、雨は激しくなってきた。病院に姉夫婦が来た。自動車保険の会社との話も一段落し、私の事故の話を聞いて慌てて駆けつけてくれたので、身支度を整えるために一度会津に戻るようだ。私の様態も安定してきたらしい。良くない方向で。姉たちは私の軽のミニバンで会津に帰るのだろうか?毎日クルマに乗っている人たちなので大丈夫だろうけれど天気が気になった。懐かしい顔が来てくれた。同級生の星慎吾ちゃんだ。慎吾ちゃんはこちらで、鉄筋工の仕事をしている。私が建設会社に出向になった時にいろいろ力になってくれた同級生。今日はこの天気で仕事にならないのか?私の携帯電話の住所録に入っているので、姉が連絡してくれたのだろう。集中治療室の窓から私の姿を見るなり、慎吾ちゃんは腰を落として泣き崩れて...小説死神第十四章もう一つの仕事
2020/11/30 00:00