枕草子を読んできて(104)その4
九一職の御曹司におはしますころ、西の廂に(104)その42019.12.30「これいつまでありなむ」と、人々、のたまはするに、「十よ日はありなむ」ただこのころのほどを、ある限り申せば、「いかに」と問はせたまへば、「正月の十五日までは候ひなむ」と申すを、御前にも、「えさはあらじ」とおぼしめしたり。女房などは、すべて「年のうち、つごもりまでもあらじ」とのみ申すに、「あまり遠くも申してけるかな。げにえしもやはあらざらむ。ついたちなどぞ申すべかりける」と、下には思へど、「さはれ、さまでなくと、言ひそめてむ事は」とて、かたうあらがひつ。◆◆中宮様が「この雪山はいつまでありおおせるだろうか」と仰せあそばすと、女房たちは、「十日あまりはありおおせましょう」と、いちずにこの日あたりの期間を、そこに居る全部の者が申し上げるので、...枕草子を読んできて(104)その4
2018/12/30 16:19