枕草子を読んできて(100)その3
八七返る年の二月二十五日に(100)その32018.11.24暮れぬれば、まゐりぬ。御前に人々おほくつどひて、物語のよきあしき、にくき所などをぞ定め言ひしろひ、涼・仲忠が事など、御前にもおとりまさりたる事仰せされける。「まづこれいかにとことわれ。仲忠が童生ひのあやしさをせちに仰せらるるぞ」など言へば、「何かは。琴なども天人おるばかり弾きて、いとわろき人なり。御門の御むすめやは得たる」と言へば、仲忠が方人と心を得て、「さればよ」など言ふに、「この事もとよりは。昼忠信がまゐりたりつるを見ましかば、いかにめでまどはましとこそおぼゆれ」と仰せらるるに、人々「さてまことに、常よりもあらまほしうこそ」など言ふ。「まづその事こそ啓せむと思ひてまゐりはべりつるに、物語のことにまぎれて」とて、ありつる事を語りきこえさすれば、「た...枕草子を読んできて(100)その3
2018/11/25 15:39