西郷入水に関する吉井友実の回想——西郷入水後の大久保利通について
前回、前々回に引き続いて西郷入水騒動と大久保利通について。今回はまず、小河一敏が筆録した吉井友実の回想を紹介したい。 吉井友実が語る入水後の西郷 西郷は16日の午後四時頃、人々に介抱されながら家に帰った。ただ眠るが如き状態で無言だったが、夜の九時頃になり尿意をもよおすと訴え、吉井に扶けられて尿をし、ふたたび褥(しとね)に戻ると、「己の紙入れを見よ、月照の辞世あるべし」と言ったので、吉井が濡れた紙入れをひらくと、月照の辞世の歌があった。 以上は『明烏』にある吉井の回想を読みやすくするため現代語表記にし、また原文の意味を損なわない程度に簡略な表現に直したものである。吉井によれば人々に介抱されながら…
2016/02/25 07:19