木にやどる神
クリスチャンではないので、教会にはあまり縁がないが、旧軽井沢の聖パウロカトリック教会のことは強く旅の印象に残っている。その素朴な建物に魅せられたのだった。引き寄せられるように教会の中に入ってしまったが、居心地が良くて、しばらくは出ることができなかった。周りの木々に調和した木造の建物は、柱や椅子、十字架にいたるまで、木が素材のままで生かされており、木の温もりがあり、その温もりの中に神が宿っていそうだった。ただそこに居て、木の椅子に座っているだけで、誰かに抱きしめられているようで心地よかった。「初めに言葉あり、言葉は神とともにあり、言葉は神なり」と規定される西洋の神よりももっと古い、言葉よりももっと古い神が、木には宿っているような気がしたし、私らが慣れ親しんでいる神があるとすれば、そのような木の神に近いものだ...木にやどる神
2024/06/19 14:36