時と永遠
波多野精一/岩波書店1943年6月25日初版、1972年8月15日改定初版、1975年5月30日改定第三版。この本は45年ほど前にいつか読んでやろうと購入したもので、本棚の隅にずっと鎮座していた。大学の宗教哲学の教科書でもあった。少し読み始めたこともあったかと思うが、あまりにも哲学的でしかも旧文体、旧仮名遣いで挫折してしまったように思う。ここで突然読み始めたのは他に適当な本が見当たらなかったからである。「時」は人間の生にとって避けることの出来ない絶対的な有限と認識されるものだが、ここに認識論の限界のようなものがある。この限界を宗教(信仰)的展開によって克服し、永遠性を得ることを試みたのが本書の趣旨と言えるだろう。生の一線を画す「死」というものの認識は、宗教をもってしても簡単に説明し切れるものではないが、過去があ...時と永遠
2022/01/31 16:49