ユートピア老人病棟
江川晴/小学館文庫2009年9月9日初版。主人公湯浅マキがマダラボケ(初期認知症)になり、息子夫婦が専門病院へ連れて行く。本人はだまされた感覚なのだが、入院生活をするうちに人生を見直すきっかけになる。認知症に対する患者への愛情と理解をより深めるために一冊、或いは老いの価値の再認識ともいえる一冊であった。人(老人)が闊達にいきいきと暮らすには、1.好奇心、物事に興味を抱くこと2.得意なこと、好きなことが出来る環境3.安心、そして愛されること得意なことをすることで人が喜び、その貢献を褒められることが「生き甲斐」につながり、生きる張りになる。これは老人でなくても、人が生きる上で最も基本的なことなのではないだろうか。著者は長く介護の仕事をされたようだが、そんな仕事への暖かい眼差しがあふれているように感じられる。医療制度...ユートピア老人病棟
2018/12/29 11:09