その14~急転直下の退院劇
寝入り端の深夜だった。真っ暗な病室のベッド脇にペンライトを持った男がヌーッと現れた。「明日、退院出来ます」夢か幻か?ボーっとした頭の中が、起動しない。何せドレーン(体液排出管)の外れた解放感に浸りながら熟睡中のこと。見慣れぬ顔の男が、ボソボソと語りかけたのだ。創部(術部)の穴はちゃんと閉じてはいない。ドレーンを抜いた穴はまだポッカリ空いている。【院内の窓から映した最後の日の出】【院内の窓から映した最後の夕焼け】「えっえっ?」夢うつつの頭は回転しない。2度聞き直した。しかも、こんな夜に告げるの?次第に目覚めてきた。「いや、退院は嬉しいけれど、もう少し延ばしてくれませんか?まだ、体に穴ぼっこ空いたままやし、不安です」ドレーン抜き退院を快哉したのもつかの間。今度は唐突の退院指示。入院暮らしは初めてだが、当然、退...その14~急転直下の退院劇
2024/05/31 23:11