平塚市美術館で中村正義展。どの絵からも紛れもない天才だということが伝わってくる。映画『父をめぐる旅』も久しぶりに観た(恵比寿の映画館で観たときは共同監督のひとりが近藤真左典さんだと知らなかった)。権力への反逆や映画・雑誌とのコラボレーションなど才能のゆえにそうならざるを得なかったのかなという印象もあった。期用だと言うとちょっとネガティブになるけれど。男女がむつみあっている《太郎と花子》が1960年、その後の大傑作《男と女》が1963年。大島渚の『青春残酷物語』(1960年)も想起させる作品だけど、正義は意識していたのかな。●中村正義武重邦夫・近藤正典『父をめぐる旅異才の日本画家・中村正義の生涯』(2012年)中村正義展@平塚市美術館