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  • 変態というイメージ(一)

    どんな街にも個性的なファッションをした中高年の一人や二人が徘徊しているものである。 私の地元では、全身にピンクの花柄衣装をまとった老人がチラホラ目撃されていた。私も一度見かけたことがある。噂通りのド派手な姿で、間近で見ても性別不詳の老人がカラカラと自転車を引いていた。自ら目立つ格好をしている割に、別に目立とうともしていなさそうな態度が印象的だった。その人を見かけると幸せになれるという、本人にとっては迷惑そうな噂まで勝手に流されていた。 真冬の新宿駅で、白い短パンに白いハイソックスを履き、赤いタンクトップを着て赤いリュックを背負ったおじいさんを見かけた。その場にいた人の殆んどが「寒くないのかな……

  • 盗聴

    ついつい他人の話を盗み聞きしてしまう。悪趣味なことは分かっている。しかし、これがめちゃくちゃ面白い。 待ち合わせに遅れるという連絡が友人から来たので、時間を潰すためにタリーズに入った。ソファが向かい合う二人席を陣取り、一人でぼけ~っと、恐らくラテか何かを飲んでいた。 ふと、隣の席の女性たちの会話が耳に飛び込んできた。 「ほら、私達って、普通の主婦じゃないじゃない?」 一体彼女たちは何者だったのだろうか。その後すぐに友達が「ごめんごめん」とやってきてしまったので、結局正体は分からず仕舞だった。 強烈に印象に残っているのは大学三年生の冬に遭遇した奥様達の会話だ。就職活動中の私は、面接前にドトール(…

  • 思い出し愚痴愚痴(二)

    朝方まで起きていると人間ロクなことをしないものだ。 人間の記憶って不思議だなぁ。父を通して私の怒り方について考えていたのに、下の記事を書くまで思い出しもしなかった嫌な思い出がずらずら書かれている。特に大学時代のサークルの話。単に思い出したから書いただけであって、そこまで根に持っているわけではない。でも当時はフオオオオオとなっていた。それは事実だ。 無理やり(了)。

  • 思い出し愚痴愚痴(一)

    ずっと父親を反面教師として見て育ってきた。 父はすぐに大声を出す。くしゃみもでかい。足をつったときも「いってえええええええ!!」と大絶叫だ。気に食わないことがあると怒鳴る。私は歌を歌うとき以外に大声を出すことをやめた。 父はものすごく早口だ。北関東訛りの荒い言葉を矢継ぎ早にぶつけられると、内容に関係なく「責められている」という印象ばかりが残る。私は決して早口にならないように、ゆっくり喋るように努めた。 おかげで初対面では多くの人に「おっとりした優しそうな人」という印象を持たれるようになった。しかし悲しいことに、私の性格は兄妹の中で最も父のそれを受け継いでいた。 父は所謂「正論厨」というやつであ…

  • 適職:自宅警備員

    インターネットで無料で出来る「適職診断」をやってみると、九割の確率で「芸術家、音楽家、俳優」という結果が出て来る。 これは「あなたには芸術的な才能がありますよ」という意味ではない。正しくは「おまえに一般社会に出られては迷惑なので引きこもって好きなことやってろ」である。 たかがネットの無料自己診断じゃないか、と笑い飛ばしたいところだが、そうにもいかない事情がある。R-CAP診断という有料の自己分析・適職プログラムを御存知だろうか。就職活動を間近に控えた大学三年生の秋、私は学校でこの診断を受けた。結果、向いている職業の第一位は「俳優」であった。以降「イラストレーター」「デザイナー」「小説家」「ミュ…

  • アニメじゃない! ※アニメです

    テレビのアンテナをつけていないので、ニコニコ生放送はとても助かる。助かるといっても、私はあまりアニメを見る習慣がない。注意力が散漫なため、ちょっと目を離した隙に展開が分からなくなってしまったり、聞き取れない台詞があったりするとイライラしてしまうのだ。同じ理由で映画やドラマも苦手である。映像作品全般に向いていないのだろう。よっぽど原作が好きな作品でも、最後まで一気に完走できた記憶がない。 夫は結構アニメ好きな方である。DVDを買うにまでは至らないが、ニコ生一挙等があると、大して興味がないものでもタイムシフト予約している。先日、夫につきあって三本のアニメをチラ見した。以下、アニメをあまり知らない者…

  • 命日

    今日はA先輩の命日である。

  • バーコードじじぃ

    以前にも言及したが、私の一番古い記憶は、父との壮絶な大音量バトルである。 母親の胎内にいた頃の記憶を持つ人もいるという。何をどこまで覚えているかに平均はないと思うが、それでも他人の記憶が気になる。私の夫は中学生になる前の記憶があまりないという。彼は十一歳まで、父親の仕事の都合で世界各地を転々としていたので、あまりにイベントが多すぎて全てをいちいち記憶していないのかもしれない。 「俺の自我は中一で発生した」 さすがにそれはどうかと思う。しっかりしろ。 私は東北の片田舎でのんびりと育ち、大した事件も起きなかったせいか、乳幼児の頃の体験を結構覚えている方だ。 母方の祖父は私が三歳の頃(たぶん)に亡く…

  • 禁酒禁煙禁女

    音楽の流行にすっかり疎くなってしまった。 こう書くと「最近のJ-POPはクソ」とでも言いたいようだが、そうではない。かつて自分が好きだったバンドや歌手にまで疎くなっている。音楽全体に対して新規開拓の精神を失っているのだ。 大学時代は軽音楽部に所属していた。ギターは最後までほとんど上達しなかったが、ベースは自分でも素人女子にしては上手い方だったと自負している。半日で20曲の耳コピを仕上げたこともあるし、外部のイベントに参加したこともある。こう見えてロックな女だったのである。酒も煙草もギャンブルもやらないが。 昔はよくライブに行った。モッシュやらヘドバンやらで動き回り過ぎて翌日半死半生、という状態…

  • 私って、人格障害?

    たまに自分が人格障害を患っているのではないかと疑う。自己愛性とか、演技性とか、そういうやつだ。インターネットで出来る無料診断では特に引っかかったことはない。 人間関係の話だ。相手が一気に距離を詰めてきて、身内も同然な態度でいる。私としては相手は友人の一人でしかない。相手は失礼なことを平気で私に言ったりしたりする。当然私はそれに怒る。そうすると「幻滅した!!」といきなり手の平を返され、ボロクソに嫌われるのである。 これが一回や二回なら「やれやれ大変な目に遭ったぜ」で済むのだが、覚えている限り七回は似たような目に遭っている。これはつまり、私自身に問題があるのではないだろうか。 傾向として、初めのう…

  • 幼児の脳みそ

    「幼稚園」と「遊園地」がごっちゃになり、妖艶な血を想像させる「ようえんち」という何やらただれた言葉になってしまうことがある。薔薇の敷き詰められた真っ赤な風呂に熟れた体を沈める美女。彼女の頭上には拷問の末に殺された処女の死体が吊るされ、熟女は血のシャワーを満足そうに浴びている。妖艶血……。 話がそれた。恐らく私は四歳だった。入園試験を受けるために、母と一緒にとある小さな幼稚園を訪れていた。試験と呼べるほどでもなかったかもしれない。園長先生と言葉をかわし、ここがトイレですよ、ここが教室ですよ、と同い年の子どもたちとずらずらと案内してもらっただけのような記憶がある。私はそこで、とある組の名前を発見し…

  • 悪夢しか見ない

    夢は睡眠中に脳内で行われる記憶整理作業の副産物だと聞いたことがある。 眠りが浅いので夢をよく見る。夢とは大体が不条理なものだが、それでも私の夢は意味が掴めないことが多い。偶然この記事を凄腕の夢占い士が見てくれないかなぁ、と淡い期待を抱きつつ紹介しよう。 これは恐らく学生の頃に見た夢だ。コンビニで友人と買い物をしていると、客としてドラゴンボールのセルが現れた。 「やべっセルだっ!!」 私と友人は咄嗟に陳列棚の裏に隠れた。セルはチラチラと商品を物色している。陳列棚の隙間から、セルのあの何とも言い難い緑色のぶつぶつっとした肌が覗いている。私たちの存在を知ってか知らずか、セルは全ての棚を見て周るつもり…

  • 違法ロリvs合法BBA

    法を犯していてもなお前者の圧倒的勝利である。 「はてな女子」という言葉を目にした。そういう名前のカテゴリー(?)があって、運営に「あなたは女子だ」と判定されると追加されるらしい。自ら入出を選択することは出来ないようだ。まぁ「私をはてな女子から外せ! 外さねば貴様らの娘の命はない」くらいまで言えば外してくれるだろうが。というか社会そのものから外されるだろうが。 確か、年齢を問わず女であれば誰でも「女子」であったはずだ。十代に限らずとも女であれば「女子」である。百歳を越えていても「女子」である。死んでもなお「女子」である。でも自分の母親が「五十代女子です★」などと言い出したら私は母を羽交い絞めにし…

  • モー娘。を潰す会(二)

    私の地元ではASAYANを日曜の夕方五時に放送するというTV局のファインプレイがあったので、娯楽の少なかった小学生時代にテレビっ子であった私はモー娘。についてちょっとだけ思い出がある。 平家みちよがデビューしたオーディションの余り者で結成されたグループ、それがモーニング娘。だ。初期メンバーは安倍なつみ、中澤裕子、石黒彩、福田明日香、飯田香織の五名。正直石黒彩は「LUNA SEAのふくよかなドラマーと結婚した人」、飯田香織に至っては「ジョンソン*1って一期だっけ? 二期だっけ?」とWikipediaを確認するまで記憶があやふやだった。 小学生だった私にCDを買う金などなかったので、ほとんどの曲は…

  • モー娘。を潰す会

    友人Kが遊びに来てくれた。 彼女とは十八の頃からの仲である。お互いテキストサイトを開いていて、そちらでの交流はなかったくせに何が何だかマイミク*1になり、音楽の趣味も似ていて、学生の頃はよくライブ会場で顔を合わせたものだ。インターネットで作った友達としては、長い付き合いである。 「小五から中一くらいにかけてな、アイドルめっちゃ嫌いやったん。辻加護アンチ。ぶりっ子嫌いでな。塾で「モー娘。を潰す会」っていうの結成しとった」 活動内容は「自分たちが通う各中学でモー娘。の悪い噂を流す」。 大爆笑である。 四国の狭い範囲で信憑性の薄い噂を流してモー娘。を潰せると思うなんて、何とも愛い話ではないか!(笑)…

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