物語り
「物語り」とは、様々な出来事と関係しあうネットワークの中に存在している、「私たちはどんな未来へと進んでいくべきか」という思いが反映されている「実在」のこと。それは、「唯一無二の真実の歴史」ではないが、「物語=虚構」ではない。<以下、この記事(ミラー)からの抜粋/太字は引用者による> ・・・・・「物語り」とは、過去のさまざまな史料や出来事同士の関係性、結びつきのことだ。古戦場を訪れても、私たちが目にするのは草木の生い茂る野原だけだ。しかし、そこから出土する武具や人骨、残された文書や絵画などを相互に関係づけることで、私たちは過去の戦いの「実在」を確信できる・・・・・歴史的出来事は単独で存在しているわけではなく、ほかの様々な出来事と関係しあうネットワークの中に存在している。その相互関係のネットワークを「物語り」と呼べば、歴史的出来事の存在は物語りの文脈に依存し、それに支えられている・・・・・歴史的出来事が「実在した」と認められるには、他の出来事や史料と整合的であることが求められる。それが虚構である「物語」との決定的な違い・・・・・「ナチスによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)はなかったという新たな証拠を見つけた」と主張する人がいたとしても、部分的な証拠では、膨大な史料から専門家集団が築き上げた、歴史のネットワークの中で根拠づけられた「ホロコーストの実在性」は覆せない。織物の中にほつれた糸が何本かあっても、全体の図柄は変わらないのと同じ・・・・・都合のよい史料や出来事だけを継ぎ合わせた主張が「歴史」の名に値しないのは当然です。と同時に、いかに史料と整合的であっても「唯一無二の真実の歴史」なるものも、実は存在しません・・・・・歴史には紡ぎ手の「私たちはどんな未来へと進んでいくべきか」という思いが反映されているからこそ、意味があります・・・・・。**************...
2022/03/31 14:33