舞の誕生日のことをすっかり忘れていた。もう16歳になるのか。早いものだ。しみじみと思い出に浸りながら舞が生まれた時のことを考えた。自分が蒔いた種とはいえあの頃…
漆黒の瞳の中に光るものが見つかるとまるで宇宙を見ているようで吸い込まれそうなほど俺は彼女に釘付けだった。彼女の好きな話や抱えているもの色んな話をした。そのたび…
紗代ちゃんが風呂から上がったので俺も入ることにした。湯舟に浸かりながら舞の言葉を思い出す。もしも舞の会っている女性があの静香だったら俺は舞に連絡先を聞いただろ…
舞が口にする、しーちゃんについて紗代ちゃんはどれほど知っているのだろうか。少し前に尋ねたことがあったが紗代ちゃんは探りを入れるような顔をして普通の回答をした。…
あれはもうずっと前のこと。あの子も言っていた。【あなたのような陰のある人が好き。全てを包んであげたくなるの】そんなことを言われるとは思わなかった。大学デビュー…
紗代ちゃんには感謝している。しても、しきれない。彼女がいなければ俺はずっと結婚をしていなかったと思う。だけど彼女を心の底から愛したのかと問われるとスッと心が冷…
「そういえば今度新しいお客さんが来るの」昼飯を終えて買い物をしている途中に紗代ちゃんが言った。『へー!久しぶりだね』紗代ちゃんの料理教室はここしばらくの間常連…
ショッピングモールで買い物をしてから中にあるレストランで昼ご飯を食べようと伝えると出不精の凜はあまりいい顔をしなかったが文句は言わなかった。「凛、ピザ食べる?…
遅くに帰宅をすると玄関に寿司桶が置いてあるのを見て今夜は出前の寿司を頼んだことを知った。いいなぁ、食べたかった。と、心の中で呟きながらリビングに戻ると紗代ちゃ…
翌日夫は朝から車に乗って出かけて行った。「お父さん、取材?」『うん。そうみたい』「じゃぁ今夜は外食?」『そうしよっか』「やったぁ!」喜ぶ舞とは反対に出不精の凛…
舞がせっかく勉強のやる気を出しているのに私が心配しすぎなだけだろうか。能天気な夫を見ながらそう思った。『そういえば、松原さんは旅行から帰ってきたの?』「とっく…
この日も舞は熱心に勉強をしていた。『今日も勉強?』「うん。まだなりたい仕事が決まってないから…」「え?保育士じゃなかったの?」凛が驚いたように言った。「でも、…
『ねぇ』「ん?」夫は呑気な顔でビールをグイっと口に流すと幸せそうな顔を向けた。こちらは松原さんのことでモヤモヤしているというのになんだか納得がいかない。『信じ…
舞の急激な変化に未だ気持ちが付いていかないままリビングに戻ると夫がビールを片手に夕食を食べていた。松原さんが彼氏と共に旅行に行ったことについて夫の機嫌はまだ直…
夜遅くに夫が帰宅した。以前の金曜とは打って変わって今週の金曜はかなり遅い時間だった。『あれ?今日は飲み会だった?』「いや、残業だよ」『随分と遅いじゃない』「今…
「ねぇ!お母さん聞いて」ある日のことミミちゃんのソロコンサートから帰ってきた舞が飛びつくように私のところへ向かってきた。『おかえり。まずは手を洗ってきなさい』…
「それにしてもさぁ」未だに食事を続けている舞はリビングのソファでテレビを見る凜に視線を投げつつ夫や私に向かって言葉を発した。「私もお父さんも、お母さんのことは…
舞は顔を隠すように自分の部屋へと行ってしまった。彼女が生まれた時のことを思い出すと今でも涙が出そうになる。夫への信用も信頼も無くし孤独な中での出産だった。夫は…
【続きの前にお知らせです】昨日、更新した記事ですが修正したものが反映されておらず修正前の内容がUPされたため今日の内容と一部繋がらない部分があります。今朝改め…
「ねぇ、舞は?」とある金曜日の夜。いつもより早く帰宅した夫は帰ってくるなり次女の凛しかいないことに気付いて私に尋ねた。『舞なら遊びに行ってるよ』「え?こんな時…
『松原さんって面白い人ね』「だろ?」夫はいつしか毎日のように松原さんの話をするようになった。人事部にいたころは会社へ行く楽しみがあまり感じられなかったが今は松…
「金持ちのせいか知らないことも多くてさ」夫は松原さんとの身分違いの話が面白いようで色んな話をしてくれた。『知らないことって?』「たとえば、夏に俺たち旅行に行っ…
松原さんは夫のアシスタントにあたる女性だった。彼が初めて広報部に赴任した際身の回りのことや、業務内容について細かく教えてくれたのがこの松原さんだったらしい。彼…
「行ってくるよ」『行ってらっしゃい』夫の笹塚浩介は1年前、部署を異動した。それまでは人事部で部長をしていたが現在は広報部という全く違う畑に移ったことによりまる…
なぜ、しーちゃんが仮想の恋人について質問するのか舞にはわからなかったが今の素直な気持ちをしーちゃんに応えていった。好きな人に彼女がいたら諦める。でも、その人が…
「舞ちゃんはどんな男性がタイプ」しーちゃんは唐突に舞の好きな男性のタイプを聞いた。舞は恥ずかしそうに俯きながらこれまで好きになった人を思い浮かべる。去年のバレ…
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