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  • 読書感想:『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』 (講談社現代新書) ~つながるふりからの脱却。みんなちがうのは、大変なんだ~

    8年近く前の本。 だけど、巷で言われている「コミュニケーション能力」の必要性、そして実際の対策が実態と乖離しているという、本書の指摘は今なお全く変わることなく残ってしまっている。 もし、今、「コミュニケーション能力」という言葉に違和感を覚えている方がいたら、その答えを、本書は示してくれているかもしれない。 “みんなちがって、みんないい” じゃなくて “みんなちがって、たいへんだ” 本書で示された強烈なフレーズが、まさにこの問題の根底を示している。 “みんないい”がつながりあえることが前提にある「逆算思考」”ならば “たいへんだ”は混じり合わないことを前提にした「混沌思考」に近い。 でも、そこか…

  • 読書感想:『信長が見た戦国京都 ~城塞に囲まれた異貌の都』 (歴史新書y) ~応仁の乱から進まない京都 信長上洛によって起きた変化と対立~

    桶狭間前年、信長が訪れた京都は戦火で規模を縮小した、衰亡の都だった。 応仁の乱から政争の渦中にあった京都。 どんな時を経て、信長にその姿を見せていたのか。 本書によると、実は僕たちが知る京都の枠組みは秀吉(豊臣政権)以降に出来たもので、それ以前の概要(都町の規模や位置など)を示す史料は限られてくるらしい。 その少ない史料と今に残る京都の道名・街名の由来などから、応仁の乱後の京都の実態を明らかにしたのがこの本だ。 内裏のすぐ側まで麦畑だったとか 狭い地域での町同士の対立、自衛と自治の状況 応仁の乱から進まない復興 そして信長との対立 などなど、見えてくる歴史の側面が満載。 天皇や公家が困窮してい…

  • 読書感想:『塞王の楯』 第十回(小説すばる 2020年 5月号 [雑誌]) ~秀吉が残した呪いの一言 天下争乱前夜~

    天下人・太閤秀吉の死。 再び訪れそうな混乱を予期してか、世情は不穏な雰囲気に。 穴太衆はこれまで以上に仕事が減り、身の振り方を考え始める者が現れた。 他家の仕官。 それは独立不羈の姿勢からの脱却にして、穴太衆への裏切りを意味していた。 雇われによる生活の安定か、使命を前提にした職人魂か。 穴太衆内部のひずみに憤慨しつつ、匡介は先々を見据えて、石の切り出しを依頼。 大津城での日々を通じて得た、自らの理想に向かって動き始める。 目指すは、永劫の泰平。 墜ちない城、攻めようという意欲を削ぐ城を作ること。 争乱が起きたとき、また悲劇を繰り返さないために。 そして“最強の矛”国友との激突をも制するために…

  • 読書感想:『剛心』 第七回(小説すばる 2020年 5月号 [雑誌]) ~その志を失うな! 広島議事堂建築 完結編~

    日清戦争のため、臨時で政府が広島へ移動。 そのために作られることになった臨時の議事堂、いよいよ完成間近。 が、ここにきてミスが発生。 突貫作業だからこそ起きてしまうヒューマンエラー。 現場の愕然とした雰囲気の中、職人達は口を揃える。 仕方がない 時間がない 材料がない ないないづくし妥協の声。 そこに大迫が仕事の意義をぶち込んでいく。 「お前はそれで満足か?」 「(手を抜けば)手にするはずだった美しさを永遠に失うことになる」 「(最上のものを造り上げようとしている)同志の仕事を裏切る権利は、ここにおる誰にも与えられとらんのじゃ」 背筋の伸びる名台詞の数々が、今一度現場を引き締める。 その一方で…

  • 読書感想:『布武の果て』 第三回(小説すばる 2020年 5月号 [雑誌]) ~一歩間違えれば消えてしまう? 若き三人の織田勤め始まる~

    堺が信長に屈服し、彦八郎ら3人は織田勤めをすることに。 結局動きが見られない三好、アナザーエンドを象徴するかのように燃やされた尼崎を戒めにして、堺を守る戦いが始まった。 そして「茶」というキーワードに誘われるように、明智光秀が初登場。 将軍家に仕えていたとはいえ、文化芸術に詳しいわけではない、という設定は、従来の光秀像よりは最新の研究に近づけているのだろうか。 やばい、やばいよ~という心の声が聞こえそうな光秀(笑) おそらく光秀のように、都(将軍)仕えがにわかに始まり、予備知識(経験)がないメンバー、多かったんだろうなあ。 一方、信長への謁見をきっかけに、信長の考える「茶」というツールに興四郎…

  • 読書感想:『はぐれ鴉』 第二回(小説すばる 2020年 5月号 [雑誌]) ~幕府隠密でも掴めない竹田藩の謎 鍵を握るのは姫ダルマ?~

    見れば見るほど、聴けば聴くほど、引っかかることだらけ。 竹田の観光旅情作品として楽しみの反面、謎は深まっていく。 やっぱりなにかある竹田藩。 ホントに一部の人しか知らない謎があるのか、みんな口を閉ざしているのか・・・ 脳天気で、都会に憧れるムチャぶり上司など、地方にいそうな(竹田という土地から連想される田舎風情の)方々が出てきていて、ついついそこに引っ張られてしまう。 どこまでが実態なのか、うーん。 小藩にしては多すぎる銃火器 多すぎる火災の数 そして、気持ちを削ぐ怪しげな怪談話 これらは表向き、まあわからなくはないなあ、ということだらけ。 隠れ蓑にしているんじゃないか、と勘ぐりたいところなん…

  • 読書感想:『チンギス紀』 第三十七回(小説すばる 2020年 5月号 [雑誌]) ~一瞬の隙を突くジャムカ!鉄と刃こぼれと逝く命~

    反金国連合軍VSテムジン。 かつてのジャムカ率いる連合軍撃破の後も、次々と現れる敵。 しかし、その時ほど切迫な雰囲気はない。 むしろテムジンが前面に出ずとも、打ち倒せる体制が整ってきた。 動員兵数はもちろん、分割行動する部隊すら万単位。 物語初期から考えられないほど広大な領土を手にしたテムジン軍は、カサルやテムゲらが泥臭い後方攪乱を展開。 もはや遊牧民族の戦い方を越えた組織戦、かたや超個人技をみせるクブライ・ノヤンの活躍でナイマン王国、タヤン・カンを討ち果たし、また一つ、統一へ近づいていく。 しかし、スキをみせたら迫ってくるジャムカ。 もはや必殺奇襲人状態(笑) 勝ったものの、個人技としては負…

  • 読書感想:『8000万人社会の衝撃 地方消滅から日本消滅へ』(祥伝社新書)~データでみる人口減の実態 僕らはどこまで自分事にできるのか?~

    日本が抱える最大の問題と言われる人口減。 人口といえば、1億2,000万人というのがだいたいの数値だったけれど、過去の話になるのかもしれない。 (ちなみに、令和2年4月の人口概算値は1億2596万人で、前年同月より約30万人減少しているとのこと) 国会討論ではしょっちゅうこの問題が国家的難題として認知され、様々な施策が採られる一方、出産に関する政治家の失言名言が飛び交っているのも記憶に新しい。 そもそもこの問題、なぜ起きているのか? 人口減によって起きる問題は何か? そしてなぜ改善(解決)しないのか? これらの疑問と回答が細かく紹介されているのがこの1冊。 データがとにかく充実していて、ビジネ…

  • 読書感想:『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書) ~書評って何?プロから学ぶ「人への伝え方」~

    ご存じの方もいるかと思うが、ぼくはまがいなりにも書評やっている身だ。 note.com note.com プロではないけれど、だからといっていつまでも“まがいもの”を垂れ流すわけにもいかない。 クオリティを高めるためにも、プロのお話し聞いておかないと、ってことで読んでみたのが今回の1冊。 正直、はぐらかされている印象は否めず、食い足りないところは多々あるけれど、“書評”というコトに対する姿勢や考え方、工夫など、発信者としておさえておくべき要素がたくさんある。 誰もが発信できる世の中だからこそ、プロとアマチュアとの差は、外側(ユーザに対する)分析と内側(自分自身のスタンス)分析をきちんとしている…

  • 読書感想:『瞬間の記憶力 競技かるたクイーンのメンタル術』 (PHP新書) ~かるたクイーンが語る、自分に合ったやり方の作り方~

    集中力。 一口に言っても、内実は長続きするものと短期のものがあると思っていた。 ところが、根っこは同じというのが本書のお話し。 『ちはやふる』で注目が集まる競技かるた。 そのクイーンが語る、かるたの魅力や練習方法、クイーンになるまでの道が記されている1冊。 特に注目すべきなのは、その練習方法や、競技中に心がけることが、他の選手と異なっていて、しかもそれを気にせず肯定していること。 例えば、集中力については練習を繰り返すこととは別に「疲れてきてからいかに集中力をあげるか」という戦略の基に、日常の集中力をキープしようとしていたこと。 つまり、練習により短期・通常のレベルをあげることによる“短距離”…

  • 読書感想:『東京どこに住む? 住所格差と人生格差』 (朝日新書) ~つながれないから、職住近接を再考する~

    緊急事態宣言で僕たちが切られた、肌感覚を前提にしたつながり。 オンライン化は(半ば強制的に)加速している。今後、これが前提(もしくは大きな選択肢となって)色々なことの前提が変わるのだろう。 会社経営者なら、この状況下で会社事務所(オフィス)維持費を意識してしまうかもしれない。 買い占めによる物不足を気にする方にとっては、物がある程度確実に手に入る区域へのニーズが高まるかもしれない。 おそらく、場所に関する価値基準の変化が、目に見えて起きてくる。 よくよく考えると、コロナショックの前は、一極化打破のための郊外への移動と、暮らしと職場の近接ニーズとが混合する状況だった。 こんな時だからこそ振り返り…

  • 読書感想:『政宗の遺言』~野望の火は消えていない?独眼竜政宗、最期の言葉~

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 江戸時代・三代将軍家光の時代。 老いた独眼竜・伊達政宗。は、未だ家督を譲らない中で自身が最期と銘打った江戸への参勤を行った。 ところが、病を押してまで行く理由について、様々な憶測が流れる。 中には、幕府への叛逆を企てているのでは?という不気味な噂も・・・ 道中で、そして江戸で起きる様々なトラブルや事件。 体調の良くない政宗への懇ろな対応をする将軍と、嫌がらせのように伊達屋敷へはびこる老中。 そして突然現れる幕府の密偵。 その先には、野心の残り火・叛逆への動かぬ証拠をめぐる幕府との暗闘が待っていた。 果たして、その証…

  • 読書感想:『黒田官兵衛』 (平凡社新書)~才覚鬼謀は平坦では成らず。苦労と苦難の先にあった黒田家飛躍~

    ちょいと調べたいことがあって再びこの本を手に取る。 で、この際だからと再読してしまった(苦笑) 改めて読むと、疑わしきところにはコメントを挟んだり、関ヶ原時の官兵衛(如水)野望説に否定的だったり、と、初読時じゃ気付かなかった小和田解釈の数々、結構掲載されていたな(汗) もっとも、物語的には野望説の方が人気があるけどね(苦笑) 官兵衛の人生は苦難の方が大きかった。 それも才覚があるが故に、足元を見られなかったという、人生の落とし穴で命の灯が消えるような日々が彼を襲う。 信長に目を付けたところはさすがだったものの、(如水後はともかく)その後は本家や実家との板挟みになったり、幽閉されて命を危機にさら…

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