マルコ・バルツァーノ「この村にとどまる」1919年、オーストリア=ハンガリー帝国の一部がサン=ジェルマン条約によりイタリアの領土になった。その一部が今は湖に沈むクロン村。ドイツ語を話す人たちが暮らしていたが、ドイツ語教育は封じられ、教師を目指していた少女たちは夢を叶えることができなかった。そんな少女の一人が語り手となって、その後の村の様子が描かれている作品です。生まれ育った場所に暮らしているのに、戦争によって、権力によって翻弄されて、家族や友達がバラバラになった人たちが描かれています。この作品は小説だけど、この村は実際にあって、似たような村民たちはいたのですよね。とても静かで悲しい物語ですが、魅力的な人物が何人もいました。この著者の他の作品も読んでみたいです。マルコ・バルツァーノ「この村にとどまる」