海風の徒然なるままに新着記事

中途報告、いやこれを報告するべきか・・・・・・

ご機嫌・・・・・・最悪になるくらい、あっついですね～汗が滲んでベタベタ、溶けてドロドロになりそうだわ。水道ひねっても出てくるのはぬるま湯です。ですがクーラ…

2025/06/18 11:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十七節②

― 瘴気にむせる川 ― 決行の朝、誰もが無言で準備を始めた。こういう時、状況察知能力の高いフニは、自分が役に立たないと分かっている為、率先して雑用を引き受…

2025/06/14 13:38

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十七節①

― 瘴気にむせる川 ― 牛から馬、馬から徒歩で、瘴気の手前まで来たテギョンはドンジュンに瘴気の分析をするように言うと、時を計るのに天を仰いだ。空はまだ青く…

2025/06/07 12:24

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑩

― 金鉱教 ― 「じゃあ後は、アン教主をどうするかだね。」そう言ったのはジェルミだった。瘴気を払うにしても、この金鉱に留まったままでは何もできない。 …

2025/05/31 20:49

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑨

― 金鉱教 ― 「ダメだ。」身体に巻かれた布団のために、身動き取れずに喘ぐミニョの背を、テギョンの手は優しく押し上げたが、その声は無常な響きで否定した。…

2025/05/24 12:39

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑧

― 金鉱教 ― 「アン教主、罪をお認めになりますか。」シヌが掠れた声で訊いた。「認めない。認めるわけがない。」アンは考えることなく答える。即…

2025/05/17 13:52

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑦

― 金鉱教 ― テギョンはジフンを見て、付け加えるようにこう言った。「すべては、あんたの欲望が発端だ。」「生きたいと思うのは欲望か。」即座にアンが…

2025/05/10 11:28

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑥

― 金鉱教 ― アン教主の目が泳ぐ。額に手を置き、そんな簡単な事だったかと自問する。だがこの問いはアン自身が何度も繰り返してきたもので、その答えはとうに…

2025/05/03 12:48

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節⑤

― 金鉱教 ― 「事件・・・・・・たしか今、事件を紐解くと言ったが、それはどの事件の事だ。」曖昧な解決が図れないと考えたアンは、ならばいっそこちらから追…

2025/04/26 12:48

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節④

― 金鉱教 ― 「人ならざるモノが棲むという縹炎。そこから来たファン宗主も、ユ・ヘイ嬢同様、姿を消すことが出来るのではないのかね。」アン教主は、ゆった…

2025/04/19 13:46

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節③

― 金鉱教 ― 教徒が案内したのは石造りの大きな部屋だ。ガランとしたその部屋の、前方中央に置かれている豪奢な長椅子には毛足の長い敷物が掛けられ、その上にア…

2025/04/12 15:12

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節②

― 金鉱教 ― アン教主は、まさかテギョンが生還するとは思っていなかったからか、狂喜乱舞するフニの後ろで複雑な笑みを浮かべていた。シヌたちもテギョンが無事…

2025/04/05 12:27

後書きにはまだ早いのですが・・・・・・

ご機嫌如何ですか。先日春をすっ飛ばして初夏か？って感じる日があったのに、ここ数日は冬に戻ったのかように寒い日が続いています。このブログでは永遠の二十歳の海風…

2025/04/02 12:58

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十六節①

― 金鉱教 ― シヌは、ジフンが継承者を名乗るのには能力が低いことを最初に見抜いていた。しかし風林堂は聖人君子であり陰口や見下しといった行動は禁じていて、…

2025/03/29 22:14

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十五節③

― 金鉱教崖下 ― 落ちてくる砂や砂利、中にはつぶてとは言えない大きさの石も交じっていて、テギョンはそれらを防ぐように片手をかざして顔を上げた。しかしそ…

2025/03/22 11:12

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十五節②

― 金鉱教 ― 暗闇の中、目を覚ましたミニョは辺りを見回しても自分がどこにいるのか分からなかった。そこは明かり取りの窓が閉じられているのか、とにかく暗くて…

2025/03/15 11:46

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十五節①

― 金鉱教 ― 「話さないよう言ったでしょう。」アン教主以外誰も入れないはずの私室で、突然ヘイの声が響いた。振り返ったアンは開いた管の蓋を手をで押さえ…

2025/03/08 13:01

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十四節⑤

― 金鉱教 ― ―――どこで計画が狂ったか。問われたアン教主は声も発せず眉を寄せて立ち尽くしていた。そのような言葉が出るはずがない、知る由もないはずだと…

2025/03/01 15:43

テギョンはその肩を抱きよせって縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十四節③

― 金鉱教 ― 暗く引き攣った顔で、開いた門扉から出てきた若い教徒はテギョンを見てギョッとした。ミニョを抱きしめていたからだ。赤らめた顔を慌ててそらし声…

2025/02/22 15:01

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十四節③

― 金鉱教 ― 「アン教主は問題の起きた模諜から来られた以上、すぐにはお会いできないとの事で、三つの質問に答えて頂いた後、お会いするかどうかをお決めになられ…

2025/02/15 15:26

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十四節②

― 金鉱教 ― 金鉱教の自室に籠るアン教主は、壁を見つめたまま届けられた知らせを握り潰して考え込んでいた。その知らせに何が書かれていたのかも知らない教徒は…

2025/02/08 16:29

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十四節①

― 金鉱のめし処 ― 店に入ってきたフニはとても暖かそうな衣に身を包んでいたが、同時に冷気も纏っていてフニが近づくとともにその場の空気がひんやりとした。 …

2025/02/01 19:06

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十三節⑥

― 金鉱の門 ― 「密告者！？」ジェルミは思わず発してしまった自分の声に、慌てて手で口を覆った。それからすぐに声を落として訊き返す。「誰が・・・…

2025/01/26 20:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩うかなりの数が

― 金鉱に向かう道 ― 牛であれ馬であれ乗り換えるのは難しい事ではない。良いと思うものを選ぶだけだ。しかし、この牛に限って良し悪しの見立てができないと…

2025/01/19 17:14

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十三節④

― 金鉱に向かう道 ― 牛車が砂利道に戻ってミニョとジェルミは中へと乗り込んだが、テギョンだけは御車台にいるフニの隣に座っていた。お喋り好きのフニの話し声…

2025/01/11 12:35

新年あけましておめでとうございます

今年もすっかり明けて4日目の朝を迎えました。窓から見える空は薄青く、白い雲が陽の光を浴びて輝きながら、ゆったりと流れています。みなさまもよい年をお迎えのことと…

2025/01/04 11:20

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十三節③

― 金鉱へ向かう道 ― 偶然見つけた窪みに牛車を隠したテギョンは一人牛車から離れると、一目散に駆け抜けていく人馬の集団を見送った。だがその姿が見えなくな…

2024/12/29 21:22

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十三節②

― 金鉱の最初の宿 ― 昨夜は特別話し合う事もしなかったが、示し合わせたようにジフンもドンジュンも早朝から起きてくると、シヌと共に出発準備を始め出した。た…

2024/12/22 17:48

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十三節①

― 金鉱に向かう道 ― どれほど獰猛な顔つきをしていても、牛は馬の如く軽快とはいかない。ムチをくれるのも躊躇いがちになる。「宗主、この辺りなら、まだ馬…

2024/12/14 18:18

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十二節⑤

― 金鉱の最初の宿 ― 別行動をとるのかを訊くシヌに、テギョンは「そうだ。」と答えて理由を話す。「アン教主が冷静なら、おとりの馬車を追った密偵が行方知れ…

2024/12/07 17:24

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十二節④

― 金鉱の最初の宿 ― 怪物のような牛を見た後で宿の部屋に通されたミニョは、耐えられないほどではないがひんやりとした宿の空気に身を固くしながらテギョンの少し…

2024/11/30 11:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十二節③

― 金鉱に向かう馬車の中 ― テギョンの予測が当たって模諜の空に火の手が上がった。故郷の空に昇る黒煙に馬の足が止まり、馬車の周りにいた教徒たちからの動揺す…

2024/11/16 17:43

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十二節②

― 金鉱の最初の宿 ― テギョンはジフンの手をドンジュンの背に当てた。「冷たさを感じるか。」落ち着いた声に威圧感はなかったが、ジフンと言う人間は何か…

2024/11/09 16:54

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十二節①

― 金鉱の最初の宿 ― 金鉱の山々から吹き降ろしてくる風が、北の地に来たことを知らせる冷たさを運んでくる。ドンジュンにとって風はいつも心地よいものだったが…

2024/11/02 15:04

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十一節②

― 金鉱へ向かう道 ― テギョンは眠ろうとして眠れないのか、何度も身体を動かしていたが唐突にミニョの腕を引き寄せた。驚いたミニョだったが、引っ張られた腕に…

2024/10/26 14:15

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十一節①

― 金鉱教 ― 空を飛んで届く情報に、地を走る情報。そのどれもがアン教主の謀略の、失敗を伝えるものだ。華美な装飾がなされた部屋は、まだ昼日中だというのに…

2024/10/19 13:55

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十節③

― 金鉱へ向かう道 ― テギョンが挙げた第一と第二については、ジェルミも勿論知っていた。当然だが今回の旅で知ったのではない。同年代の教徒たちと子供の頃に…

2024/10/12 21:48

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十節②

― 金鉱へ向かう道 ― 模諜の都を夕暮れ時に出発した馬車は、北京と西京の境を通って金鉱へと続く北大門を抜けた。急ぐでなく、さりとてのんびりでもない二台の馬…

2024/10/05 14:51

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第三十節①

― 金鉱へ向かう道 ― 模諜枢教での話を終えたテギョンたちは、四人ずつに分かれて馬車の中にいた。ミニョは隣に座るテギョンを、目だけを動かして伺い見ると、困…

2024/09/28 13:38

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節⑧

― 模諜枢教 ― 硬い床に立っていたはずが、いつの間にか床が崩れて砂になり、ズルズルと流れる砂が足の指の間に入ってくる。でもテギョンの目に映るのは、砂の世…

2024/09/21 11:59

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節⑦

― 模諜枢教 ― 吃音の混じった声に誰もが即座にジフンを見る。日頃から存在感がないに等しいジフンだが、光焔教にゆかりのある者なら、なぜ金鉱教の継承者と呼ば…

2024/09/14 13:47

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節⑥

― 模諜枢教 ― 「そっそそ・・・・・・そんそんなあ・・・・・・」あり得ないって顔で、ジフンは視線を彷徨わせながら呟いた。「そそんなの想像だ…

2024/09/07 12:14

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節⑤

― 模諜枢教 ― 「私を恨んでいないのなら、ここで手を引きなさい。」ファランはゆったりとした動きで、ほんの少しばかり目を細めて見降ろしたテギョンにそう言…

2024/08/31 14:30

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節④

― 模諜枢教 ― テギョンに纏わりつくように立ち上る黒い影が、すっかり過去の事にしかけていた悪霊憑きを思い出させた。意識を失う前のテギョンを思えば、過去に…

2024/08/24 12:57

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節③

― 模諜枢教 ― 押し開けた扉に片肘ついたテギョンは、片側の口角を上げている。よろけたのでも、見えずに手を突いたのでもない。先ほどとはまったく違う姿に、…

2024/08/17 14:02

残暑お見舞い申し上げます。

毎日毎日暑いですね～、皆様元気に過ごされていますか。さて、いつも通りなら明日は更新日なのですが、海風ただいま首が動かなくなっておりまして、事の発端は火曜の朝、…

2024/08/09 22:22

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節②

― 模諜枢教 ― ミニョの首を掴んだままでテギョンは首を傾けた。握っているのは砂ではなく空気のはずだが、手にはしっかりとした存在感がある。しかもそれは逃…

2024/08/03 12:54

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十九節①

― 西京の闇賭場 ― 熱く燃え上がったものが一気に冷めていく。まだブスブスとくすぶってはいるが、先ほどまでの熱量とは程遠い。これほどの人数を相手に戦った…

2024/07/27 11:54

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十八節③

― 模諜枢教 ― 広い西京の都でファン・テギョンを探し出した模諜枢教の教徒たちは、今やただ遠巻きにその姿を眺めるだけだ。彼らは経験の為に連れ出された十代の…

2024/07/20 11:58

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十八節②

― 模諜枢教への道 ― 昨日から馬車に揺られているシヌは、明け方になって訪れた疲労感に目を閉じていた。二日眠ってないのだから疲れて当然だ、少しは眠っておこ…

2024/07/13 13:32

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十八節①

― 模諜枢教 ― 斐水門の継承者、ミニョの従弟であるドンジュンたちが、表門に着いたとの一報はミニョにも届けられた。表門は模諜枢教のいくつかある大門の一つだ…

2024/07/06 11:57

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節⑨

― 西京の盛り場 ― （一体なぜこんな事になってしまったのか。）折り重なって床を埋め尽くす者たちに目を落としたシヌは嘆息する。少し離れたところに立つテ…

2024/06/29 15:02

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節⑧

― 西京の盛り場 ― テギョンとシヌは、数人の男たちに囲まれて薄暗い階段を降りて行く。途中まで降りると、上からの声に交じって階下からも聞こえてくる歓声、た…

2024/06/22 12:25

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節⑦

― 西京の盛り場 ― 「ファ・・・・・・テギョン！」シヌはとっさに宗主と呼ぶのをやめて名を呼んだ。宗家の者が暴力事件となれば厄介だが、場所が場所だ。…

2024/06/15 12:42

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節⑤

― 西京の宿 ― 噛みしめられていたヘイの唇が、ゆっくりと弧を描くと閉ざされた戸に向かって動く。「テギョンさん、ミニョさんの事で話があるの。」固く閉…

2024/06/08 12:45

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節④

― 模諜枢教 ― 「コ・ジェヒョン門主は元気だったかしら。久しぶりに会って来たのでしょう。」何かを思い出したように微笑んだファランは、口の端に笑みを残…

2024/06/01 11:46

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節④

― 西京の宿 ― テギョンに問われたジフンは、どう答えるかを考える前にそっと目だけを動かしてヘイに助けを求めてみた。しかしすぐに諦めて視線をテギョンの足元…

2024/05/25 12:53

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節③

― 模諜枢教 ― 広々とした堂閣、その一辺に壇上があり、壇上に置かれた背面の高い椅子にモ教主ファランが座っている。四方の壁は丹念に磨かれた黒檀で、天上に向…

2024/05/18 13:15

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節②

― 西京の門 ― ジェルミも言ったように西京の門は模諜宗家の管理下にない。そして模諜枢教と対立している宗家も西京の宗家ではないのだ。とはいえ何かと交渉す…

2024/05/11 12:29

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十七節①

― 苔むす山寺 ― テギョンは夢を見ていた。一見いつもと同じ夢に見えるが、目の前にいるのはミニョの前世ではなくてミニョ自身だ。戸惑い困惑する表情も、キョ…

2024/05/04 12:18

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十六節②

― 西京の門 ― 夜が明けると柔らかな日差しが馬車を包み込んでいた。ここに着いた時は、まだ水滴を落としていた馬車も今では薄っすらと朝露が滲む程度だ。馬車…

2024/04/27 12:55

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十六節①

― 西京の門 ― 山寺を出発したばかりの頃は雨足も強くなかったから、馬も軽快に走って馬車を引っ張ってくれていたが、雨が強くなるにつけ立ち止まる事が多くなった…

2024/04/20 15:16

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十五節③

― 苔むす山寺 ― ミニョとジェルミを見送った五人は、テギョンを起こさないようテギョンの眠る部屋から、一番離れた所に集まっていた。といっても各々がそれぞれ…

2024/04/13 12:21

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十五節②

― 模諜への道外れにある山寺 ― ミニョの説得で山寺に向かう事になった一行は、かつては光焔だった模諜の地を後にした。とはいえ行く先である山寺は、かつての光…

2024/04/06 12:36

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十四節④

― かつての光焔 ― 手を上げたジフンに顔を向ける。どの顔も不思議そうな表情だ。ジフンがこの場で何か言う事があるとは想像すらできないからだ。一瞬の迷い…

2024/03/30 16:56

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十四節④

― かつての光焔 ― いざ寝ようという段になると、テギョンがミニョとは夫婦だからと突然一部屋を要求してきた。誰もが声も出せないほどに驚いたのは当然だが、そ…

2024/03/23 14:22

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十四節③

― かつての光焔 ― 「その模諜の都へは、祭りが始まる前に行くのかしら、それとも終わってからかしら？」ヘイは小首を傾けて、しなを作りながら立てた指を顎に…

2024/03/16 13:34

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十四節②

― かつての光焔 ― テギョンの酷い物言いに、ジェルミは顔を真っ赤にして「失礼だ！」と憤った。だがテギョンはそれすらも小馬鹿にしたように笑うから、隣でミニ…

2024/03/09 14:56

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十四節①

― かつての光焔 ― 「あの～、もしかしてずっと起きてました？」フニは奥の間にいる二人を気にして、シヌに近づいてからかなり小声でそう訊いたが、聞いていた…

2024/03/02 13:33

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十三節⑤

― かつての光焔 ― フニは引き戸の前に座っていたが、そこは小さな窓があるだけの、いわば奥の部屋の前室だ。座った時はまだ外からの陽射しが届いていたが、いつ…

2024/02/24 13:22

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十三節④

― かつての光焔 ― 昨夜と同じ部屋（続き間の大部屋）をそのまま使える事になると、テギョンたちはする事がなくなった。これまでは宗家に身を寄せた時以外、連泊…

2024/02/17 13:17

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十三節③

― かつての光焔 ― そっその笑顔は反則よ――テギョンから目を背けたミニョは顔が熱くなっているのを感じる。さらには胸に広がる喜びや嬉しさに、自然と顔が緩ん…

2024/02/10 12:25

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十三節②

― かつての光焔 ― ミニョが言わんとする事はジェルミにだって分かっていた。「だけど、ミニョだって疲れてるのに・・・・・・」ミニョの膝で眠るテギョ…

2024/02/03 12:51

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十三節①

― かつての光焔 ― ミニョは夢を見ていた。ただ、いつもの夢とは違って崩れ落ちるのはミニョではない。傷を負い、戦い疲れたテギョンがミニョの目の前で倒れる…

2024/01/27 13:05

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節⑥

― かつての光焔 ― （何も写さない眼は何を捉えて攻撃を仕掛けるのかしら。なぜ彼らは私たちを敵だとみなしたの。彼らの望みが分かればいいのに。）ミニョ…

2024/01/20 12:12

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節⑤

― かつての光焔本殿内陣 ― テギョンは傷口が開かないよう片腕を身体に沿えて、ゆっくりと動き出した。眠っているかに見えた時も、彼は休んでいなかった。 …

2024/01/13 14:10

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節④

― かつての光焔 ― ジェルミにとっての光焔事件は、生まれる前の事件であって、概要も成長してから説明を受けた。それは光焔の宗家が悪企みをして、母であるモ教…

2024/01/03 23:54

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節③

― かつての光焔 ― 「まだだ。」（まだ・・・・・・だ・・・・・・？）ヘイはテギョンの言葉を頭の中で反復した。テギョンが火神だとしても今は人間で、能…

2023/12/23 11:30

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節②

― かつての光焔 ― 突然の声で目を開けたミニョは、目の前を塞ぐ見慣れない胸板に瞬いた。遠い昔、誰かの胸で眠った記憶が呼び覚まされたが、そこには二つのまー…

2023/12/16 20:40

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十二節①

― かつての光焔 ― 光焔―――、フニの言葉を聞いて飛び起きたテギョンは、怪我を負った方の肩を押さえて苦痛に顔を歪めた。だがそれでも確認せずにはいられない…

2023/12/09 19:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十一節②

― 風林と模諜の境 ― 風を裂いて飛ぶ矢の音に、いち早く気付いたのはシヌだった。避けろという声を聞いたミニョだったが、正面に飛んできた矢に驚いて、その場に…

2023/12/02 12:50

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十一節①

― 風林と模諜の境 ― ヘイの陰謀に必要な谷風。谷さえあれば風を吹かす事はできると思っていたが、思いもかけずその地形が姿を現し、ヘイの望む風が舞い上がった…

2023/11/25 14:03

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十節④

― 風林の宿 ― 二人を覗き見ていたヘイは、二人の関係がミニョの告白によって劇的な変化が訪れなかった事に安堵し、その後ミニョが布団に入り、何事もなかったよう…

2023/11/18 13:29

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十節③

― 風林の宿浴場 ― 戻って来たヘイはすぐに浴場に入ることなくもう一度覗いた。さっきと変わらずミニョはぼんやりと座ったままだ。（考え事、まさかね。 …

2023/11/11 11:43

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十節②

― 風林の宿 ― 風林の都でも一、二を争う大きな宿は、風林堂から連絡が入れられていて予約が入っている。だから急ぐ必要はないとは言え、テギョンとミニョが並ん…

2023/11/04 12:14

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第二十節①

― 斐水 ― 翌朝早くに斐水を出て、経由地点である風林を目指す。大舟は大河の流れに乗って悠々と河を渡り、斐水でも風林でもない村に着くとそこからは来た時と同…

2023/10/28 15:24

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十九節②

― 斐水の宿 ― テギョンはミニョに口づける事でこの結婚は嘘ではないと証明してみせると、後の事をフニとドンジュンに任せてさっさと宿へと引き上げた。というの…

2023/10/21 11:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十九節①

― 斐水 ― 斐水門を出発する朝、ミニョは頭から白い薄布をすっぽりと被りその顔を覆い隠して舟に向かう。だがそれは明らかな花嫁衣装で、桟橋でミニョを待ってい…

2023/10/14 12:39

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節⑦

― 斐水門 ― 舟は、無言という重い空気に包まれて、ゆっくりと水路を滑っていく。こんな時、気の利いた船頭なら歌ったり喋りかけたりするものだが、門徒ではそれ…

2023/10/07 15:40

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節⑥

― 斐水門 ― テギョンの指がそっとミニョの涙を拭う。「何を泣く？」テギョンの低い声にミニョの心臓がドキンと跳ねる。本当の事は言えない、だけど嘘も…

2023/09/30 13:21

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節⑤

― 斐水門 ― 「道に迷ったか？」テギョンに声を掛けたコ門主は、軽口のように問いはしたが、ここは一本道でそれはあり得ないだろうと前後の道を見回してみせる…

2023/09/23 13:41

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節④

― 斐水門 ― 昼餉を挟んで、話し合いはなおも続いていた。距離、日数、変装、模諜での似顔絵の有無まで、シヌにはまだまだ考えておくべき事が尽きないようだが、…

2023/09/16 12:19

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節③

― 斐水門 ― ミニョはテギョンと二人で外に出て、少し離れて立つ。出てきた部屋を振り返ると、障子窓にはずらりと顔が並んでいる。ミニョは小さくため息をつい…

2023/09/09 12:22

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節②

― 斐水門 ― テギョンの部屋を出たフニは、宗主が誰かに興味を持つなどこれまでになかった事だと思いながら部屋に戻ると、誰かに相談できる事でない事に頭を悩まし…

2023/09/02 11:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十八節①

― 斐水門 ― フニは水の如き斐水の酒を堪能し、気持ちよく眠りについたからか、早朝だというのになんとなく目が覚めて、部屋を出た。散策といっても建物内と小さ…

2023/08/26 11:19

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十七節⑦

― 斐水門 ― 「僕に母と対立しろと？」ジェルミは少し怒った口調でそう言ったが、この時驚きはしていても怒ってはいなかった。ミニョとの未来を考えれば、こ…

2023/08/19 13:19

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十七節⑥

― 斐水門コ・ミニョの部屋 ― ミニョは遠い昔の夢を見ていた。幼い幼い子供の姿で、そこはあの日の水路工事だ。斐水門の外に出る事のないミニョには、何も…

2023/08/12 11:18

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十七節⑤

― 斐水門 ― テギョンたちは場所を移して夕餉という名の宴の真っ最中だ。「昔からお腹がすくと泣く子だった。」これはコ門主が泣きそうなミニョを見て言っ…

2023/08/05 11:00

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十七節④

― 斐水門 ― 『泣くな』この一言に喜んだのは誰でもない、姿の見えないヘイだけで、水の壁に閉ざされた空間の中で全員が全員、責めるような目をテギョンに向ける。…

2023/07/29 11:09

縹炎と斐の水沫第三章邂逅に揺蕩う第十七節③

― 斐水門 ― 「俺は模諜枢教と対立するつもりはない。」テギョンは、ミニョの利用を問うコ門主にそう答えた。「最初の計画では模諜に行く予定もなかった。…

2023/07/22 11:00