春子さんの茶の間 その4
今日も暑いなあ。ガラス越しに見る庭の木々もぐったり。連日の猛暑にげんなりの春子さん。 一人の午後、コーヒーでもと立ち上がったら電話が鳴った。 「暑いけど何かしてる?別に予定なかったら出かけて来ない?」 Hさんだ。少し涼しくなったらと、ずっと前から誘われていた。 「暑いからと思ったのだけど、家の中は涼しくしてあるし、思い切って出ておいで。」 「嬉しいわ。ぼんやりしていたところだからお言葉に甘えてお伺いするわ」 春子さんは即座に決めた。歩いても七、八分バイクなら三分だ。 Hさんとは子供が同い年で知り合いになったから、もう五十年近いお付き合い。 旦那様は銀行員で、春子さんのことが男?らしくて話が面白いから好きだと言ってくれる。 Hさんが春夫さんの淡彩画の会に入っていたので、こちらも気心のしれた間柄。 特に定年後みんなが暇になってから、そして春夫さんが逝ってからは優し..
2018/08/27 16:49