書家・かな743/猿丸大夫
<釈文>おくやまにもみじふみわけなくしかのこえきくときぞあきはかなしき百人一首第5番=猿丸大夫=<意味>奥山で紅葉踏み分けて妻を慕って鳴く鹿の声を聞くときこそ、取り分けて秋は悲しいことだなぁ。という意味です。<観賞>秋も深まり、山は紅葉の葉もだいぶ落ちました。葉が落ちたことによって、木々の黒っぽい幹や枝が見え、地面は赤や黄色に埋め尽くされています。そんな静かな秋のある一日に、カサッカサッと音がするなか、鹿の鳴く声が、「ケーン」、「ケーン」と澄み渡った空気のなかに、響いてきます。そんな景色が目に浮かぶような和歌です。猿丸大夫は、奥山に入っていたのでしょうか?ひとりで散策をしていたのかもしれませんし、多くの同僚とともに景色を愛でながら管弦の宴に参加していたのかもしれません。ひとりでいるときよりも大勢のなかにいるとき...書家・かな743/猿丸大夫
2019/06/30 19:14