エリック・ホッファー『魂の錬金術』

エリック・ホッファー『魂の錬金術』

2身を焦がす不平不満というものは、その原因が何であれ、結局、自分自身に対する不満である。自分の価値に一点の疑念もない場合や、個人としての自分を意識しないほど他者との一体感を強く抱いているとき、われわれは、何の苦もなく困難や屈辱に耐えることがっできる。これは驚くべきことである。7あらゆる激しい欲望は、基本的に別の人間になりたいという欲望であろう。おそらく、ここから名声欲の緊急性が生じている。それは、現実の自分とは似ても似つかぬ者になりたいという欲望である。12山を動かす技術があるところでは、山を動かす信仰はいらない。40人間とは、まったく魅惑的な被造物である。そして、恥辱や弱さをプライドや信仰に転化する、打ちひしがれた魂の錬金術ほど魅惑的なものはない。58知っていること、知らないことよりも、われわれが知ろうとしな...エリック・ホッファー『魂の錬金術』