■彼は誰れ時に魔と再逢004■
「じゃあ解散だ。文句あんめえな?自由になれる分、不自由も再確認すっことになるが、其れでも全滅するよかは良かっぺさ」刃丈太蛮治(はたけだばんじ)の口利きで、村民は新天地へと散って行く。外界との接触は電波だけな隔絶された村落で生まれ育ち、現金に触ったことがない人間が、誘惑溢れる大都会に解き放たれた。読み書きが得意でない者は人足に。料理が出来る者は厨房に。其々が得意としたり興味があった職種に就いた。しかし労働に勤しんだ経験の無い田舎人がいきなり暮らしていける程に稼げる訳もなく、一般では耳にすることはない生活補助制度に庇護される。化け物に襲われ命を落とす危険は無くなったが、激変する価値観に悩まされる様に。都会は刺激的で、今まで画面や紙面でしか見た事がない物が溢れていた。全ては鼻先で匂いだけを嗅がせてくれるだけで、手に入...■彼は誰れ時に魔と再逢004■
2019/12/21 20:58