一号

一号

2010年、渓が開いた。2月の終わり、信州の里川へ向かった。降り続いていた雨は上がり、空は薄っすらと明るくなっていた。枯葦の川縁に立ち、逸る気持ちのなか小さな毛鉤を結んだ。水面に目をやると、ユスリカやクロカワゲラが流れている。これは期待が持