ジェシルと赤いゲート 41
「ジェシル……」ジャンセンが声をかける。ジェシルは振り返る。ジャンセンの顔には驚きがあった。「……いやいや、大したもんだなぁ」ジェシルは長たちを見る。皆が座り直して話し合いを始めていた。誰もこちらを見ていない。それが分かると、ジェシルは思い切り不機嫌な顔になった。「何がよ?」ジェシルの声にも不機嫌さがにじんでいる。「何が大したものなのよ?」「何をそんなに不機嫌なんだい?」ジャンセンは不思議そうな顔だ。「威厳のある立派な態度だったじゃないか。ぼくの知っているジェシルからは思いもよらないよ」「それだけ、社会で揉まれているのよ!」ジェシルは、いつも偉そうな態度のトールメン部長を思い出していた。ジェシルはトールメン部長の偉そうにしているところを真似してみたのだ。結果は長たちの様子に表われていた。効き目があったと言...ジェシルと赤いゲート41
2023/07/31 10:00