ジェシルと赤いゲート 26
「……ジェシル、今の聞いたよな?」「ええ、聞いたわ……」ジャンセンはドア枠に駈け寄った。ジェシルも続く。二人でドア枠を見る。ジャンセンは拳を軽く握ると、ドアをノックするようにドア枠を叩いた。「う~ん……木製だったら、もっとこんこんと言った気持ちの良い音がするんだけどなぁ……」「そうね、中に何かがありそうな音だわ……」「そんな感じだね」ジャンセンは鞄に手を突っ込んだ。あちこちを探って、やっと目当てのものを見つけたようで、手の動きが止まる。鞄から手を引き抜いた。手にはカッターナイフがあった。「どうするの?」ジェシルの問いにジャンセンがにやりと笑む。「このカッターナイフで削ってみるのさ」ジャンセンは刃先をドア枠に押し当てた。「中に何かがあればすぐに分かるだろう?」「でも、これは歴史的には貴重な物なんじゃないの?...ジェシルと赤いゲート26
2023/03/25 10:00