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ある老年男性。妻の葬儀のため一時退院してきた夫は、何も言われなくても病弱ということが明らかだった。痩せ細った身体は、誰かの介助がないと部屋を移動することもままならない様子。本来なら、一時退院できるような身体ではなかったのに、無理を言って一時帰宅したとのこと。「長年連れ添った妻の葬儀」と言えば病院側も承諾せざるを得なかったのだろう。夫は弱々しい中にも力のこもった言葉で、妻の亡骸に向かって何度も「ありがとう」「ありがとう」と声を掛けていた。そして、「もうじきそっちに行くから待っていてくれ」とも。作為的な脚色だけど、その別れのひと時は、老夫婦が最期の輝きをみせた瞬間に見えて神妙な気分になった。その一週間後、私は同じ家に行くことになった。現場に到着するまで同じ家だとは気づかないでいた。その家の玄関に到着して、「ん...パートナー
2024/06/24 07:30