オープン・ロードの聖母様~サラ・ピンスカー①
感染症の蔓延と、「生」ではなくても、ステージを手軽に楽しめるホログラムが音楽産業の主要なコンテンツとして「蔓延」したおかげで、ライブがすっかり廃れてしまった時代に逆らって、わずかに残るファンを相手のギグにこだわって、町から町へと、どさ回りの日々を送るバンドの物語です。主人公は、バンドのリーダーである、中年過ぎの女性ロッカー、ルース。ベースのシルヴァ、ドラマーのジャッキーと、「カシス・ファイア」という名のバンドを組み、楽器とアンプ、手売り用のTシャツ、LPやグッズ類、そして車上生活用の一切合切を、15人乗りの大型バンに積み込んで、次の目的地へと、ハイウェイをひた走ります。サラ・ピンスカーの短編集「いずれすべては海の中に」の一篇です。ケリー・リンクのような、現実が不思議に歪み、答えが曖昧で、違和感、不安に誘う...オープン・ロードの聖母様~サラ・ピンスカー①
2024/06/26 20:56