私(聖書納言)は、元々はウェスレー(メソジスト)系の教会で洗礼を受け、同じ教団の神学校に通い、同じ教団で30年間、牧師を続けてきました。現在は現役を引退し、自宅の近くにある聖霊派の教会(ペンテコステ系ではない)に通っています。ウェスレー(メソジスト)系の教会は、予定説に関しては、カルヴァンの二重予定説ではなく、16世紀末のオランダの神学者アルミニウス(1560〜1609)の神学の影響を受けています。カルヴァンは「神はある人を救いに、ある人を滅びに予定しておられる」と主張しました。それに対して、アルミニウスは「神はすべての人を救おうとしておられるが、それを受け入れるかどうかは各個人の自由意志による。」と主張したのです。今日は、ワインクープ博士の著書『ウェスレアン=アルミニアン神学の基礎』をテキストにして、カ...カルヴァンの予定説の問題点
幼子イエスと出会った人たち〜シメオンとアンナルカ2章21〜39節いよいよイエスの人としての生活が始まります。8日目に割礼を受けるために神殿に行き、イエスと命名し、律法で命じられているとおりの献げものをしました。そのとき神殿には2人の老人がいました。シメオンとアンナです。2人とも、正しい生活をし、救い主キリストを待ち望むという旧約的な生き方をしていました。旧約的な生き方を象徴しているような2人が、待ち望んていたキリストと出会ったことにより、歴史家ルカは旧約時代の終結を表していまず。シメオンの信仰生活「そして、主のキリストを見るまでは決して死を見ることはないと、聖霊によって告げられていた。」(26節)"シメオンはかなり高齢になっていました。「主のキリストを見るまでは決して死を見ることはない」という神様の約束が...幼子イエスと出会った人たち〜シメオンとアンナ
大作曲家メンデルスゾーンの苦悩私(聖書納言)は、クラシック音楽を聴くのが好きなのですが、特にロマン派の音楽が好きです。子どもの死を契機にカトリックの聖職者になったF.リスト、長年オルガニストとして教会に仕え続けたブルックナー、フランク、フォーレ、サン=サーンス。死者のためではなく、後に遺された遺族に希望を与えるためにドイツ・レクイエムを作曲したプロテスタント信者のブラームス。オペラ王と呼ばれたヴェルディもクリスチャンでした。しかし、今日ご紹介したいのは、ユダヤ教からキリスト教(プロテスタント)に改宗したメンデルスゾーンです。メンデルスゾーンの苦悩メンデルスゾーンというと裕福な銀行家に生まれ、生涯恵まれた生活を送ったと思われがちですが、そうとは言い切れません。一番彼が悩んだのは、自分がユダヤ人であったという...メンデルスゾーンの苦悩
今日は、ルカ2章1〜20節からデボーションをします。「男子の初子を産んだ。そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。」(7節)ヨセフとマリアはベツレヘムに着きました。しかし、イエス様が生まれそうになっても、宿屋はどこも満員で泊めてもらえず、やっとのことで家畜小屋に泊めてもらえました。1.神様がおられるなら、なぜもっと快適な場所を備えられなかったのかと思います。しかし、それでも神様がなさることは《最善》なのです。ちなみに、家畜小屋と飼い葉桶は、羊飼いたちがイエス様と出会いやすくなるためでもありました。私たちも自分が今置かれている環境や境遇に不満があるかもしれません。しかし、神様がなさることは《最善》なのです。2.宿屋はどこもお客さんでごった返していて、そのため...ルカ2章1〜20節
ルカ1:69〜80ザカリヤの預言"この救いは、私たちの敵からの、私たちを憎むすべての者の手からの救いである。主は私たちの父祖たちにあわれみを施し、ご自分の聖なる契約を覚えておられた。私たちの父アブラハムに誓われた誓いを。主は私たちを敵の手から救い出し、恐れなく主に仕えるようにしてくださる。"(ルカ1章71〜74節)変わることのない約束趣旨は、神様はアブラハムとの約束――「あなたの子孫は敵の門を勝ち取る。(創世記22章17節b)」――を忘れないで覚えておられ(72〜73節)、約束を守って(約束どおりに)、敵の手から救い出してくださった。そして私たちが敵を恐れることなく(おびえることなく)主に仕えることができるようにしてくださった。ということです。ザカリヤは、おそらく、エジプトの奴隷であったイスラエルの民を救...ザカリヤの預言と私たちの信仰
神に従うことの喜びルカ1:57〜66いよいよ洗礼者ヨハネが誕生します。この箇所をデボーションしていて思ったことは、神に従うことにこそ本当の喜びがあるということです。59節では、まず生まれて8日目に割礼を授けます。この日は親族がみな集まり、おそらくユダヤ教の祭司か指導者も招いて、子どもが生まれたことを共に喜び、割礼を授け、さらに子どもに名前を付けます。さていよいよ子どもの名前を付ける段になって、一悶着が起こりました。まず集まって来た人たちが生まれた子どもに「ザカリヤ」と命名しようとします。すると、父親のザカリヤはしゃべれないので、代わりに母親のエリサベツが「名はヨハネとしなければなりません」と言いました。(60節)当時は子どもの名前は父親(女の子の場合は母親)か親族の名を取って付けることになっていました。驚...神に従うことの喜び
神の器――バッハとヘンデル※昨年6月にnoteに発表したものを、ここに転載いたしました。教会べったりのバッハ音楽の父と呼ばれる大作曲家のバッハは、毎日曜日の礼拝のために、毎週、礼拝音楽(カンタータなど)を作曲し続けなければなりませんでした。バッハが作曲を始める時には、楽譜の一番上に"JJ"(=JesuJuvaの略。「イエスよ、助けたまえ」)と記し、作曲が完成した時には、楽譜の一番最後に"SDG"(=SoliDeoGloriaの略。「ただ神にのみ栄光を!」)と記したそうです。日曜日には教会に通っているクリスチャンも、平日はそれぞれの業があります。仕事、家事、育児、老後の自由な生活、人それぞれ過ごし方は違いますが、今日も1日主の助けとお守りがあるように、必要な知恵と力が与えられるように、そして神の栄光を汚さな...神の器――バッハとヘンデル
※昨年6月にnoteに発表したものを、ここに転載いたしました。パウロとヨハネの時代聖書(使徒行伝など)に記されていることは割愛させていただきます。重要な項目だけを挙げておくと、初代教会は、ペテロとヨハネを中心にして指導されました。しかし、ステパノの殉教後まもなく、当時、厳格なユダヤ教徒であったサウロ(ローマ名:パウロ)がキリスト教に劇的な回心をします。第1世紀のキリスト教会の教理的な問題は大きく分けて2つありました。一つは、パウロ時代(A.D.30年代〜60年代)に起きた割礼などの律法問題です。そして、もう一つは1世紀の終わりごろに起きた仮現論問題です。前者(律法問題)はパウロらによって解決を見、後者(仮現論問題)はヨハネらによって解決を試みられました。1.律法と信仰義認(パウロ)パウロは書簡や説教、討論...パウロとヨハネの功績
ルカ1:39〜56聖徒の交わり〜聖霊による喜び"それから、マリアは立って、山地にあるユダの町に急いで行った。そしてザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつした。エリサベツがマリアのあいさつを聞いたとき、子が胎内で躍り、エリサベツは聖霊に満たされた。」"ルカの福音書1章39〜41節新改訳2017聖徒(クリスチャン)どうしの交わりと、この世の人たちとの交流。どちらも楽しいですね。しかし、この2つの交流には大きな違いがあります。それはクリスチャンどうしが交わるときには、聖霊が働かれるということです。そしてそこには、この世では味わえない喜びがあるのです。最近はネット配信などで、リモートで礼拝を守ることもできますね。確かに足が不自由だったり、近くに教会がなかったりして、教会に行きづらい場合は便利です。しかし、リモ...聖徒の交わり〜聖霊による喜び
ルカ福音書1章26〜38節の「受胎告知」の記事には、キリストがどのような御方であるかというキリスト論が明確に記されています。それはA.D.451年のカルケドン公会議で正式に制定された「キリストは全き神であり、同時に全き人でもある」という命題です。処女降誕の意味マリアによるイエスの処女降誕には、どのような意味が秘められているのでしょうか。それは、救い主キリストは、人間どうし(ヨセフとマリア)が「そろそろ救い主を作ろうか」と、お互いに話し合って(相談し合って)生み出したものではないということを表しています。処女降誕は、神様が罪深い私たち人間を救うために、神ご自身の御子を救い主キリストとして私たちにプレゼントしてくださったということを表しています。キリストは完全に神の御子なのです。救い主キリストの誕生は、人間の...受胎告知とキリスト論
ルカ1章5〜38節デボーション・テキスト『みことばの光』では、1月4日(土)にルカ1:5〜25のザカリヤ物語を、1月5日(日)にルカ1:26〜36の受胎告知物語をやることになっていますが、今日は2日分をまとめてやってしまいます。なぜザカリヤ物語と受胎告知を一度に行うのかと言いますと、ザカリヤの信仰姿勢とマリアの信仰姿勢を比較してみたいからです。1.ザカリヤザカリヤは神殿で神様に仕える祭司であり、なおかつ「"二人とも神の前に正しい人で、主のすべての命令と掟を落度なく行って」いました。(6節)一言で言えば、ザカリヤ夫妻は神様の一番近くにいて、いつも神様と共に歩んでいました。しかし、それなのに、ザカリヤは神様からお言葉をいただいたとき、神様のことばを信じなかったのです。御使いはザカリヤにこう言っています。「見な...御言葉を聞く2人
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