(35)ドレフェス事件
フランスは1870年に起こった普仏戦争に敗れ、経済の低迷が続いていた。国民は一方的に戦争を仕掛けられ、鉄鉱石や石油の豊富なアルザス・ロレーヌ地方を奪っていったドイツを恨んでいた。そんな状況の中、1894年にあるスパイ事件が起きた。フランス陸軍情報部にてドイツに関する機密情報が漏洩したのである。参謀本部は情報を知り得る立場にいたユダヤ人砲兵大尉のアルフレッド・ドレフェスを容疑者として取り調べていた。証拠もなく、容疑者も否定している事件を、反ユダヤ系新聞の「自由言論」がすっぱ抜き大々的に報道した。「祖国を裏切るユダヤ人」「軍部は売国奴を庇って公表しない」と報じた。国民の反ユダヤ人感情に一気に火をつけた。慌てた軍上層部は証拠不十分ながら非公開の軍法会議を行い、ドレフェスを有罪にする。公衆の前で官位剝奪式を行い、剣を折...(35)ドレフェス事件
2021/11/09 14:56