透明な執着
彼がいないと生きていけない、なんてわたしが言いだしたら彼はどう思うだろう。 最近、彼と執着の話になった。表面的な性質でいうと、わたしたちは正反対である。 彼は大地だ。木々や花々、動物たちが安心して暮らせるような。根づく豊かさを育てるような。そんな器がある。再現性もある。責任感もある。実際に社会的にも立場がある。 彼が大地なら、わたしは空か海だろう。雲も波も、一瞬でも目をはなしたら、一秒前とは姿形が変わっている。安定などしていない。別にそれが悪いわけじゃない。むしろ、それでこそ空であり海である。瞬間に価値を宿し、うつろう豊かさを体現している。不安定さが安定であり、わたし自身、その状態を仕事にして…
2025/03/25 18:03