紀尾井ホール室内管第136回定期(9月22日)
秋のシーズン幕開けは首席指揮者トレヴァー・ピノックを迎えたオール・メンデルスゾーンのプログラムだ。この作曲家は総数750もの作品を生み出したそうだが、そのうち宗教曲が90作品にも及ぶという。しかしそんな宗教曲を我々がコンサートで聞ける機会は意外と少ないのではないだろうか。そした意味で今回はとても貴重な機会だった。どれも主を賛美する内容で統一されており、私自身はキリスト教者ではないのだが、とても満たされた豊かな心持ちになって帰途についた。前半はオラトリオ「聖パウロ」の序曲、それに続いて独唱つきの合唱曲詩篇第42番《鹿が谷の水を慕うがごとく》だった。ピノックの指揮は明快にして良く歌い豊かな感情を紡ぎ出す。ソプラノのラウリーナ・ベンジューネイテの美しくリリカルな歌声が心に染みる。そして新国立劇場合唱団の清澄さと...紀尾井ホール室内管第136回定期(9月22日)
2023/09/23 07:01