◆小説「傾国のラヴァーズ」その60・聖名の叫び
俺の言葉を聞いて俺を見上げた聖名は、言葉をのみ込むようにロを堅く引き結んだ。そこにまたFAXが流れてくる。今度は手書き、それも年配者の筆跡のように見えた。…私の700万円を返して下さい。社長だなんていって、あなたのやっていることは結婚詐欺です…異性関係だけかと思ったら……あなたは北海道の成田後援会スタッフの男の子にみだらな…もう聖名は何も言わない。それにしても、急にFAXが流れてきたのはなぜなのか。聖名が帰ってきたのを見ていたとでもいうのだろうか。「聖名、これ、俺の部屋に保管しておくね」すると聖名は突然叫び始めた。「何のために?オレ、早く捨ててしまいたいんだけど!」「わかるけど、何かの証拠になるかもしれないだろう?」「証拠?何のために?証拠なんて何になるの?そんな、やってる人間もわからないのに…」「何かの...◆小説「傾国のラヴァーズ」その60・聖名の叫び
2023/08/30 18:37