■小説「傾国のラヴァーズ」その59・聖名の苦悩

■小説「傾国のラヴァーズ」その59・聖名の苦悩

聖名はさっきは学生ノリで元気よく答えていたが、それは俺の目にはどうしてか不自然に見えていた。ウェーブのかかった長い金髪を後ろでひとつにまとめた髪型は俺も気に入っていて…俺は目のやり場に困っている。もう自分がどうにかしているのは明らかだった。助手席の聖名は、車の中ではニコニコしていていい雰囲気だったが、部屋に帰ってFAXの音が流れていたのがいけなかった。聖名は、それらのFAXに目を通すと、がっくりと座り込んでしまった。聖名を促したが、なかなか渡してくれなかった。受け取った紙の内容を見ると、それはもうひどいものだった。…ファーストレディにしてやると言って、うちの娘に近づき、三股で弄ばれた。それで娘は妊娠した…俺は怒りを覚えた。「ひどいな、これ…」■小説「傾国のラヴァーズ」その59・聖名の苦悩