東部バリ・クサンバの伝統塩田 文字数:1004
バリ通の中でも「通中の通」しか知るまい、東部バリ・クサンバの伝統塩田。ぱっと見ただけでは、古びた小屋と素朴な木の板が並ぶ風景にすぎない。だが、この木枠に張られたヤシの幹と藁の構造、それを傾けて一滴一滴、太陽と風だけで塩を結晶化させていくこの方法は、バリで数百年続く「手づくりの塩」の現場である。この地に降る雨は少なく、しかし黒い火山灰の砂は熱をよく吸い、蒸発を促す。男たちは天秤で汲んだ海水を肩に担ぎ、この砂浜に何度も撒き、それを一晩かけて天日で乾かし、再び集めて濾し、天日干しのこの木枠に移す――**「塩は、天と地のあいだで生まれる」**という言葉がそのまま形になったような製塩法である。日本の能登にも揚浜式という手法があるが、それと酷似しているのも面白い。海から生きるために塩を採る方法は、どこの文化にもあった...東部バリ・クサンバの伝統塩田文字数:1004
2025/06/04 20:08