片付けられない「私」と向き合う

幸せオニオン

わぁ、いつだってそうだが、今日も食卓が色とりどりで賑やかだ。ひと際目を引くのは、カップに入った食材である。うちの冷蔵庫にだってある食材だが、丸ごと頂くのは初めてである。 私達が到着したことで、全員が揃い、揚げ物の準備をしてくれる。その間、次々と食卓に別の料理が並べられていく。 集合時間に正確な時間はない。皆いつも、適当である。深和ちゃんが一番に到着していた。その後、私達が続く。一緒に訪ねた”私達”、樹希ちゃんと私は、来る途中で偶然会ったのではない。さっきまで、彼女は私の家に居た。二人で制作しているものの最終打ち合わせのためだ。いよいよ、明日というところまできた。 最終打ち合わせという区切りが付…

2025/05/30 21:56

とにかく使う

机の上には、いや、正確には机として使っている収納ケースの上には、メモが散乱している。メモにはやらなければいけないことや、買い物リストなどが綴られている。 頭の中で覚え続けるのは困難なので、思い付いたらすぐに紙に書く。 いくつもの紙を眺めて、さて今日は何が優先事項なのだと考える。スーパ―に行く前には、その中から買い物リストのメモを探し出す。 メモに使う紙はたくさんある。途中まで使った学校のノートや、頂いた可愛い柄のメモ用紙など。使い続けて、ようやく収納しているカゴの半分以下の量になった。収納かごが空っぽになるまで積極的に用紙を使う。 ”クリームを塗る”習慣が付いた。とはいえ、決まったところをチョ…

2025/05/27 23:30

生活音

”がちゃっ”という音と共に目が覚める。私のアラーム音の代わりである。ベッドから起き上がり、よろよろと部屋を出る。 ダイニングから玄関に続くドアが開いた音だ。部屋を出ると、夫は背を向けて靴を履いている。”行ってらっしゃい”と声を掛けて、今日が始まる。 すっかりこのパターンが定着してしまった。 一日の終わりには、気付いた者が風呂の湯を溜める。大体は私である。自身が入るタイミングで準備をする。 その間、自室に籠っていると、ガラガラガラと風呂の蓋を開けた音が聞こえる。さてそろそろ入ろうかという時に、”お先に”という無言の知らせの代わりである。狭い家なので、風呂まですぐそこではあるが、自室から三つもドア…

2025/05/23 23:27

二人の証人

確信があったはずだが、だんだんと自信が持てなくなってしまった。記憶違いかもしれないと思えてきた。 「そんなことないんちゃう？」とA氏。 「覚えていない」 とB氏。 唯一答えに辿り着けそうな二人に聞いてみたが、結果どっちだが分からない。 実は二人に聞く前に、答え合わせをする方法をネットで探してみた。しかし、手数料と時間がかかるとのこと。その上、提示する情報が不足していれば、答えが”不明”という結果もあり得るとのことだ。この方法を選択するのは辞めた。 この度”お金の勉強”をいろいろと始めることにしたのだが、そのうちの一つが”簿記の資格を取ること”である。 三十年前の話。簿記の講座を受けていたことが…

2025/05/20 23:50

まだまだ

どこを探してもない。 財布にはレシートが溜まりがちである。レシートに紛れてあるはずだがない。捨てたりもしない。 買い物へ行く途中、店の前を通って思い出した。先日出したクリーニングをまだ取りに行っていない。 財布の中をざっと見た感じ、受取証が見当たらない。受取証がなければ引き取れないのだが、どのみち買い物した荷物が重いので一度帰宅する。 ちゃんと見ればあるはずである。さっきは見落としただけだ。しかし、ない。レシートが溜まると、ごそっと財布から出す。前回出したレシートの山を見るが、やはりない。時系列を辿っても、財布の中にあるはずなのである。 思い出した。受取証は、スマホの中である。 先日、アプリを…

2025/05/16 22:00

有言実行

”ぎゅるる”という音は、店内に流れるBGMと隣で接客中の会話でかき消される。朝食を食べずにここへ来たことに気が付いた。 「お友達との時間、大丈夫ですか？」と声を掛けられる。私を映した鏡の横にスマホを置いてある。タップして時間を確認したことに気付いたようだ。 時計の見えぬ位置に座っていたので、何気に確認したが、待ち合わせ時間には十分間に合う。友達に会うって言ったっけ？と一瞬戸惑ったが、今しがた、”化粧どころか日焼け止めをしてくるのを忘れた”という話をしたのだった。そう友達に会うというのにと。 せっかく、ヘアスタイルは整えてもらっているのに、今朝は何もかも忘れている。とはいえ、化粧をしていてもして…

2025/05/13 22:02

整理整頓

印字された文字は、やはり統一感があって良い。なにせ、自分の字が好きではない。 本棚には十冊以上のファイルが並べられている。その背表紙にラベルを貼る。”ラベリングをする”がなかなか手つかずだったのだが、そう口に出した途端にやり始めた。なんだ、すぐ終わるではないか。 背表紙の厚さで文字の大きさを変えている。ご丁寧にそんなことをして、途中で終わらせていた。そこから日が空き、今回、そのことに気付かず印字した文字の大きさは、すべて同じだ。しかし気にしない。こだわっているのか、そうでないのか、中途半端である。 ここの書類を見てもらえば、私でなくても”家のこと”が把握できる。片付けの目的の一つはそれである。…

2025/05/09 22:52

たぶん、なんか始まる

「えっ、また？」 先日からどうしたことか、”久しぶり”と連絡をくれる友人達のラインの内容が、皆同じなのである。 今日一日、樹希ちゃんとの”作業日”に充てていた。一緒に制作しているものがある。お昼を済ませ、ホッと一息ついたところで一通のメールに目が留まる。 樹希ちゃんちに着いて早々、”返事はまだ来てない”と報告したばかりの、例の返事である。 「ダメだった～」 自分でもびっくりするほど”ショック”を受けているのだ。どこから来る自信なのか、ダメとも思わず、”そのつもり”でいた。 職業訓練校で学んだホームぺージ制作に携われる仕事を探していた。しかし、こちらは経験者もしくは、聞きなれない”ポテンシャル枠…

2025/05/06 23:58

嵐の夜

ガタンという音が聞こえて、ベランダに出た。部屋の灯りを頼りに見渡してみたが、うちではないようだ。物干し竿を括り付けている紐を確認して、部屋に戻った。 外は嵐だった。 ゴーゴーとなる風の音が気になって落ち着かなかった。日付が変わる頃には雨は止むようだが、強風はいつまで続くのだろう。眠れぬ夜になりそうだ。 風のせいだけではない。頭の中の”考えごと”がどんどん膨らみ、右往左往して着地点が分からず彷徨っている。方向性が決まって落ち着くまでは、まだしばらくかかりそうだ。 ”片付け”とは別のことばかり考えていると、”片付け”のことが頭の中を占拠することはなかったのだが、”まだ片付けが終わってないよ”と現実…

2025/05/02 22:54