来世で会う
いつものアナウンスを、今日は聞き逃していた。誰かに押された私の体は、踏ん張っていられず、私も誰かを押していた。 今朝のことなど、すっかり忘れていた。夫が帰宅後の、最初の会話のやり取りを思い返していた。いろいろ考えていると、ふと車内の光景が蘇った。 申し訳ない気持ちで隣にいた女性に頭を下げた。しかし女性は、とても嫌そうな顔をしていた。 「電車が揺れますので、お気を付け下さい」と、いつも流れる車内アナウンスが、どのあたりを通るときに聞こえてくるのか覚えていない。 途中の駅から、立つだけで精一杯になり、四方八方、私の体は誰かに触れていた。駅に着くたび、その状態のまま、体はどんどんと奥へ流れていく。電…
2023/11/28 23:58