【義経の指示した水夫への攻撃が壇ノ浦合戦の勝因とする幻想①】序論:否定された幻想
日本史や歴史小説に興味のある方は、以下のように描かれる源義経のイメージや壇ノ浦合戦の展開を何がしかの形でご覧になったことがあるのではないでしょうか。 ■小説 司馬遼太郎・著 『義経』(※1) 1968年単行本刊行 該当回の雑誌掲載は『オール讀物』67年10月号 ・戦いの初動期において敵船の船頭や梶取に矢を集中してかれらを殺してしまえばどうか。かれらさえ殺せば敵船は進退をうしなう。進退をうしなったところでゆるゆると名ある者を狙撃する。卑怯だろうか。「どうであろう」 と、義経は水軍通の船所正利にきいた。正利はおどろいた。「それは水軍の作法ではありませぬ」 はげしくかぶりをふった。陸上の騎射戦におい…
2022/03/23 21:09