【南北朝負傷統計を見直す5】南北朝時代の切傷統計を見直す(前)
今回からは前編後編に分けて、軍忠状・手負注文等から発見できた南北朝期「切傷」類の具体例を全て確認していきます。これは太刀や薙刀などによる白兵戦負傷と考えられるグループです。他にも、この時代の合戦絵巻や『太平記』には斧の類を持つ武士の姿も見られるのでこちらによる切傷が含まれる可能性もありますが、いずれにしても攻撃側の武器に関する情報は稀で、基本的に何による切傷なのかは不明になります。 メトロポリタン美術館蔵『秋夜長物語絵巻』(パブリックドメイン) 南北朝負傷統計の先行研究では、 ■トーマス・コンラン 『南北朝期合戦の一考察 ――戦死傷から見た特質――』(※1)太刀 178(引用者注:1333年(…
2025/06/20 20:46