よりみち読書・昔話にまつわる論考ふたつ
物語の比較研究は「こんな遠く離れた場所にも共通点を持つものが……!」という驚きをいつも与えてくれるので楽しい。もちろんこの視点に拘泥しすぎると見えなくなる箇所が多くあり、学生時代に講師から指摘された文化への眼差しを念頭に置きつつ、ここではその話はしない。今回は特にマケドニアのおはなし〈テンテリナとおおかみ〉の終盤にも "(逃走時に)背後へ投げた粘土が沼地に、くしがいばらの藪に、石鹸が高い山になる" ……という描写があると知れて面白かった。民話〈三枚のお札〉や、『古事記』ではイザナギの逃走時にもみられるその展開を。
2025/06/30 14:08