マキリップ《アトリックス・ウルフの呪文書》土地を愛した老魔法使い、森の女王の娘、魔法を学ぶ王弟の歩む道はいかにして交わるのか
カルデスとペルシールの間に戦が起こった。放っておけば、美しき山々と魔法学院を擁する土地ショームナルド……山羊飼いやさすらい人たちの憩いの地も、間違いなく巻き込まれる戦だった。それを止めるため、通常であれば力のバランスを保つため人界にはかかわらない魔法使いの長老、アトリックス・ウルフはカルデスの陣地に赴いた。自ら王を説得するために。しかし彼の訴えはカルデス公から退けられる。ただ何かを得るための争いを正当だと思っている王に、それがどれほどの惨禍を生むのか説く、アトリックスの言葉は全く通じない。どころか「我々に手を貸してくれればショームナルドを荒らしはしない」と持ち掛けてきた王に対し、老魔法使いの怒りは爆発する。結果、雪の中に「闇の乗り手」が現れた。
2024/08/10 20:59